多波長銀河物理学

書籍情報
ISBN978-4-320-04730-3
判型菊 
ページ数334ページ
発売日2017年07月12日
本体価格8,000円
多波長銀河物理学 書影
多波長銀河物理学

新刊

現代の銀河物理学は,極めて大規模な多波長深探査およびアーカイブデータの上に立脚して研究されている。本書はこの「多波長」を前面に打ち出したおそらく現時点で唯一の本格的教科書である。著者アレッサンドロ・ボセッリ教授は近傍銀河について,多くの波長で本格的な研究を推進してきた気鋭の研究者であり,多波長銀河研究の水先案内人として最適であろう。理論・観測的研究の垣根が事実上なくなってきた現代の銀河物理学・宇宙論において,この分野を目指す諸学者から,観測的方法論に不慣れな理論研究者,専門としない波長への拡張を目指す観測的研究者など様々なニーズに耐えうる専門書となっている。

目次

第1章 はじめに
1.1 銀河
1.2 多波長アプローチ
1.3 本書の目的


第I部 銀河における輻射源と輻射過程

第2章 X線
2.1 連続波
  2.1.1 離散的輻射源
  2.1.2 活動銀河のX線輻射
  2.1.3 高温ガス

第3章 紫外線-可視光線-近赤外線
3.1 連続波: 恒星からの輻射
3.2 輝線
  3.2.1 水素輝線
  3.2.2 金属
3.3 吸収線
  3.3.1 水素吸収線
  3.3.2 他の元素の吸収線
3.4 分子線
  3.4.1 H2近赤外輝線
  3.4.2 H2紫外吸収線

第4章 赤外線
4.1 連続波: ダスト輻射
4.2 輝線
  4.2.1 多環式芳香族炭化水素(PAHs)
  4.2.2 光解離領域(PDR)からの冷却輝線
  4.2.3 H2スペクトル線
  4.2.4 Lyα散乱輝線のダスト吸収

第5章 ミリ波およびセンチメートル波電波輻射
5.1 連続波
  5.1.1 熱制動(自由-自由遷移) 輻射
  5.1.2 シンクロトロン輻射
  5.1.3 ダスト輻射
5.2 輝線
  5.2.1 分子輝線
  5.2.2 HI輝線
5.3 吸収線
  5.3.1 HI吸収線


第II部 多波長データから導かれる物理量

第6章 高温X線放射ガスの性質
6.1 X線光度
6.2 ガス温度

第7章 ダストの性質
7.1 遠赤外線光度
7.2 ダスト質量および温度

第8章 電波の性質
8.1 電波光度への各成分の寄与の決定
  8.1.1 センチ波帯でのシンクロトロン輻射対熱制動輻射
  8.1.2 波長λ≤1.5 mmでの低温ダスト成分の輻射
8.2 電波光度

第9章 スペクトルエネルギー分布(SED)
9.1 紫外線-近赤外線領域
  9.1.1 紫外線, 可視光線, 近赤外カラー
  9.1.2 SEDへの種族合成モデルによるフィット
9.2 中間-遠赤外線領域でのダスト輻射
  9.2.1 中間, 遠赤外線カラー
9.3 熱的および非熱的電波輻射

第10章 スペクトルフィーチャー
10.1 輝線・吸収線による銀河の性質の決定
  10.1.1 中心核活動性の分類
  10.1.2 ポストスターバースト銀河およびポスト星形成銀河の分類
  10.1.3 輝線診断
10.2 輝線から求める金属量
10.3 吸収線から求める星の年齢および金属量

第11章 ガスの性質
11.1 ガス密度, 質量および温度
  11.1.1 中性水素HI質量
  11.1.2 水素分子質量

第12章 ダスト減光
12.1 銀河系による減光
  12.1.1 減光曲線
12.2 銀河内部の減光
  12.2.1 輝線の減光
  12.2.2 星連続波輻射の減光

第13章 星形成指標
13.1 初期質量関数
13.2 星形成率
13.3 星誕生率と比星形成率
13.4 星形成効率とガス消費タイムスケール
13.5 水素輝線
13.6 紫外線星連続波輻射
13.7 赤外線
  13.7.1 積分赤外線光度
  13.7.2 単色赤外線光度
13.8 電波連続波輻射
13.9 その他の指標
  13.9.1 X 線光度
  13.9.2 禁制線
  13.9.3 [Cii] 
  13.9.4 電波再結合線
13.10 種族合成モデル
  13.10.1 星形成活動の年代決定.

第14章 光度プロファイルと構造パラメータ
14.1 表面輝度プロファイル
  14.1.1 動径プロファイル
  14.1.2 早期型銀河の中心表面輝度
  14.1.3 晩期型銀河の鉛直方向プロファイル
14.2 構造パラメータ
  14.2.1 全等級, 有効半径と表面輝度
  14.2.2 バルジ-ディスク比
14.3 形態パラメータ
  14.3.1 中心集中度指標
  14.3.2 非対称性
  14.3.3 クランピネス
  14.3.4 ジニ(Gini) 係数Gおよび銀河の20%フラックス2次モーメントM20

第15章 星質量および力学質量
15.1 種族合成モデルによる星質量推定
15.2 力学質量
  15.2.1 円盤銀河の回転曲線とダークマター分布
  15.2.2 力学的観測による楕円銀河の全質量
  15.2.3 X 線観測による楕円銀河の全質量
  15.2.4 超大質量ブラックホールの質量


第III部 銀河進化の探求

第16章 統計量
16.1 銀河計数
  16.1.1 観測された銀河計数
16.2 光度関数
  16.2.1 光度関数のパラメータ
  16.2.2 光度分布と2変数光度関数
  16.2.3 観測された光度関数
16.3 光度密度
  16.3.1 宇宙の星形成史と星質量の成長

第17章 スケーリング則
17.1 分光測光的スケーリング則
  17.1.1 色-等級関係およびカラー-カラー関係
  17.1.2 星質量-金属量関係
  17.1.3 星質量-ガス質量関係
  17.1.4 星質量-星形成率関係
17.2 構造的スケーリング則
  17.2.1 表面輝度-絶対等級関係
  17.2.2 コーメンディ(Kormendy) 関係
17.3 力学的スケーリング則
  17.3.1 タリー-フィッシャー(Tully-Fisher) 関係
  17.3.2 フェイバー-ジャクソン(Faber-Jackson) 関係および基準平面
  17.3.3 k空間
17.4 超大質量ブラックホールスケーリング則

第18章 銀河の物質循環
18.1 星形成
  18.1.1 シュミット(Schmidt) 則
18.2 フィードバック
  18.2.1 AGNフィードバック
  18.2.2 大質量星フィードバック

第19章 銀河進化への環境の役割
19.1 銀河環境の指標
  19.1.1 高密度領域検出法
  19.1.2 他の高密度領域の定量的指標
19.2 銀河への擾乱の観測
  19.2.1 他の銀河擾乱の指標

補遺A 測光的赤方偏移とK補正
A.1 測光的赤方偏移
  A.1.1 紫外線-可視光線-近赤外線測光的赤方偏移
  A.1.2 遠赤外線-電波連続波測光的赤方偏移
A.2 K-補正

補遺B 広帯域測光
B.1 測光システム

補遺C 物理・天文学定数および単位換算

補遺D 輻射輸送の基礎
D.1 輻射の現象論:基礎概念
  D.1.1 輻射強度
  D.1.2 フラックス密度およびフラックス
  D.1.3 等級
D.2 輻射輸送方程式
  D.2.1 平衡平板層の場合の解
  D.2.2 熱輻射
  D.2.3 電波での応用