生物数学入門―差分方程式・微分方程式の基礎からのアプローチ― 

書籍情報
ISBN978-4-320-05715-9
判型菊 
ページ数456ページ
発行年月2011年10月
本体価格5,800円
生物数学入門 書影
生物数学入門

 本書は生物学における様々な数理モデルの紹介とその解析手法を教授することを目的としている。必要な数学知識は微積分や線形代数,微分方程式の初歩的なものであるので,大学で理系の基礎的な数学を学んだ学生で,生物学における様々な興味深い現象を,数学を用いて理解することに興味をもつ日本の学生にとっては,役に立つ教科書である。
本書の特徴は生物現象の時空間ダイナミクスを理解するために必要な力学系
 (A) 離散時間モデル:差分方程式系
 (B) 連続時間モデル:常微分方程式系
 (C) 空間や年齢構造を含んだモデル:偏微分方程式系
の基礎理論をコンパクトにまとめていることである。
特に差分・常微分・偏微分方程式系の解析手法が1冊にまとめられている点,多くの例題が取り上げられている点,また練習問題が多くあげられている点が入門書として優れていている。
 また取り上げられている生物現象は個体群ダイナミクスや感染症モデル,神経系のモデルなど範囲が広い。MATLABやMapleプログラムが与えられているので,本書で取り上げられている数理モデルを簡単に数値シミュレーションすることが可能である。解説された数理モデルの定性的な性質を数値シミュレーションで視覚的に確認することができる。
 したがって,時間・空間発展する生物現象を調べるために必要な数学的手法と数学モデリングを学ぶための格好の入門書である。
[原書名:An Introduction to Mathematical Biology, Pearson Education/Prentice Hall]

目次

第1章 線形差分方程式:理論と例
1.1 序
1.2 基礎的な定義と表記法
1.3 1階方程式
1.4 2階,高階方程式
1.5 1階線形系
1.6 例:Leslie年齢構造化モデル
1.7 Leslie行列の性質
1.8 演習問題
1.9 第1章の参考文献
1.10 第1章の付録

第2章 非線形差分方程式:理論と例
2.1 序
2.2 基礎的な定義と表記法
2.3 1階方程式の局所安定性
2.4 1階方程式にたいするクモの巣図法
2.5 1階方程式の大域安定性
2.6 近似ロジスティック方程式
2.7 分岐理論
2.8 1階系の安定性
2.9 Jury条件
2.10 例:感染症モデル
2.11 遅れを持った差分方程式
2.12 演習問題
2.13 第2章の参考文献
2.14 第2章の付録

第3章 差分方程式の生物学への応用
3.1 序
3.2 個体群モデル
3.3 Nicholson-Baileyモデル
3.4 他の寄主-捕食寄生者モデル
3.5 寄主-寄生者モデル
3.6 捕食者-被食者モデル
3.7 集団遺伝学モデル
3.8 非線形構造モデル
3.9 ワクチン接種のあるはしかのモデル
3.10 第3章の演習問題
3.11 第3章の参考文献
3.12 第3章の付録

第4章 線形微分方程式:理論と例
4.1 序
4.2 基礎的な定義と表記法
4.3 1階線形微分方程式
4.4 高階線形微分方程式
4.4 1定数係数
4.5 Routh-Hurwitzの判定基準
4.6 高階方程式の1階方程式系への変換
4.7 1階線形系
4.8 相平面解析
4.9 Gershgorinの定理
4.10 例:薬物動態のモデル
4.11 離散的および連続的遅れ
4.12 第4章の演習問題
4.13 第4章の参考文献
4.14 第4章の付録

第5章 非線形常微分方程式:理論と例
5.1 序
5.2 基本的な定義と表記法
5.3 1階方程式の局所的安定性
5.4 相直線図
5.5 1階方程式系の局所的安定性
5.6 相平面解析
5.7 周期解
5.8 分岐
5.9 遅れをもったロジスティック方程式
5.10 定性的行列安定性を用いた安定性理論
5.11 安定性とLiapunov関数
5.12 存続と絶滅の理論
5.13 第5章の練習問題
5.14 第5章の参考文献
5.15 第5章の付録

第6章 微分方程式の生物学的応用
6.1 序
6.2 単一種収穫
6.3 捕食者・被食者モデル
6.4 競争モデル
6.5 トウヒノシントメハマキ(spruce budworm)のモデル
6.6 メタ個体群モデルとパッチモデル
6.7 ケモスタットモデル
6.8 疫病モデル
6.9 興奮系
6.10 第6章の練習問題
6.11 第6章の参考文献
6.12 第6章の付録

第7章 偏微分方程式:理論,例と応用
7.1 はじめに
7.2 連続型年齢構造化モデル
7.3 反応拡散方程式
7.4 平衡解と進行波解
7.5 臨界パッチサイズ
7.6 遺伝子の拡散と進行波
7.7 パターン形成
7.8 積分差分方程式
7.9 第7章の演習問題
7.10 第7章の参考文献

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