細胞の物理生物学

書籍情報
ISBN978-4-320-05716-6
判型B5 
ページ数992ページ
発行年月2011年12月
本体価格13,000円
細胞の物理生物学 書影
細胞の物理生物学

 ダイナミックな学問の変化を伝える一冊
 「物理生物学 (Physical Biology)」は,伝統的な生物物理学 (Biophysics) の立場からさらに一歩踏み込んで,物理学の考え方と方法が生物学の中核となったことを表す新しい言葉である。これまで物理学の方法を用いて,タンパク質や核酸などの生体分子が研究されてきたが,学問の進歩とともに,生体分子の複合体,ネットワーク,細胞小器官,細胞,そして進化までが物理学の対象となり,物理学的アプローチが生物学の中核となる段階にまで発展してきた。本書は,この発展を担う研究現場の息吹を,わかりやすく読者に伝える現代的な教科書である。
 本書を通して,現象を捉える出発点となる重要な物理量の見積もり,そしてモデル作りの発想と狙いが丁寧に説明されており,理論と実験の結果がわかりやすく定量的に比較されていて,本書を読むことで,物理学的アプローチとは何かが自然に理解できるように書かれている。
 本書は学部生および大学院生を主な対象にしており,大学の講義や演習で用いたり,自習に用いるための様々な教育的配慮がほどこされた教科書であるが,同時に本書に解説された研究のアイデアや発想は,若手の,あるいはベテランの研究者にとっても興味深く,刺激的である。生物学を学ぶ学生にも,物理学を学ぶ学生にもどちらにも無理なく読めるような配慮がされており,生物学の,あるいは物理学の研究者にとっても,手にとって楽しい本である。

目次

第I部 生命とは?
第1章 なぜ?―数を通して見た生命

第2章 何が?そして,どこに?―細胞と生物の構築プラン

第3章 いつ?―いろいろな時間スケールのストップウォッチ

第4章 誰が?―「小さき者たちに祝福を」

第II部 平衡状態としての生命
第5章 生細胞における力学的・化学的平衡

第6章 エントロピーにおまかせ!

第7章 2状態系―イオンチャネルから協同的結合まで

第8章 ランダムウォークと高分子構造

第9章 塩を含む溶液の静電気学

第10章 梁の理論―細胞と骨格の構築

第11章 生体膜―2 次元の生命現象

第III部 非平衡状態としての生命
第12章 水の数理

第13章 生物のダイナミクスを統計的に眺める

第14章 混み合って無秩序な環境にある生命

第15章 反応速度式と細胞内ダイナミクス

第16章 分子モーターのダイナミクス

第17章 生体電気とホジキン-ハクスリーモデル

第IV部 生命の意味
第18章 配列,特異性,進化

第19章 ネットワークの時空間ダイナミクス

第20章 物理生物学はどこへ行く?