森林と物質循環

書籍情報
シリーズ名森林科学シリーズ 全13巻 【8】巻
ISBN978-4-320-05824-8
判型A5 
ページ数212ページ
発行年月2018年03月
本体価格3,300円
森林と物質循環 書影
森林と物質循環

生態系の物質循環を取り扱う学問分野は「生物地球化学(biogeochemistry)」と呼ばれ,生物と環境(非生物)をめぐる物質の動きや変化,相互作用を明らかにすることで,生態系の仕組みや環境保全機能を理解することに寄与している。本書では森林の物質循環,すなわち生物地球化学プロセスについて取り扱う。その中心的な役割を担うのは,樹木,土壌,微生物,その他の動植物であり,その場の気象や地形,地質条件などによって特有の生物地球化学プロセスを形成している。本書を通読することにより,さまざまな環境変動下において森林生態系の物質循環がどのような仕組みで成り立っているのかを多角的に理解し,今後の持続的な森林管理や環境機能保全に向けた取り組みがいっそう進むことを願う。

目次

第1章 序論(柴田英昭・大手信人)
はじめに
1.1 森林生態系における物質循環の概念フレームワーク
1.2 森林の物質循環を駆動する主な要因
1.3 本書のねらいと構成

第2章 大気窒素沈着による森林生態系の窒素飽和現象―安定同位体を用いた研究アプローチ―(木庭啓介)
はじめに
2.1 窒素安定同位体の利用
  2.1.1 重窒素(15N)トレーサーの利用による大規模プロット・森林集水域レベルの窒素循環解析
  2.1.2 15N自然存在比による森林の窒素循環解析
2.2 酸素同位体の利用
  2.2.1 重酸素(18O)自然存在比による森林の硝酸イオンの動態解析
  2.2.2 17O酸素同位体比の利用
おわりに

第3章 流域から河川へのリン流出機構(早川 敦)
はじめに
3.1 森林流域におけるリンの循環と河川流出の概要
  3.1.1 源流から下流までのリンの循環と流れ
  3.1.2 河川源流域におけるリン循環にかかわるさまざまな要素とプロセス
  3.1.3 リンの給源・存在形態
3.2 森林流域におけるリンの循環と流出機構
  3.2.1 物質収支法による森林源流域のリン循環の評価
  3.2.2 地質・土壌の影響
  3.2.3 植物のリン獲得戦略と植生や森林管理がリン濃度に及ぼす影響
  3.2.4 土壌内,傾斜地,河畔域におけるリンの流出
  3.2.5 河川内におけるリンの保持と循環
おわりに

第4章 土壌窒素動態の空間変動(浦川梨恵子)
はじめに
4.1 森林土壌における窒素無機化過程
  4.1.1 アンモニア化成作用
  4.1.2 硝化作用
  4.1.3 土壌の窒素無機化量の測定
  4.1.4 日本の森林土壌の窒素無機化・硝化速度の他地域との比較
4.2 窒素無機化・硝化を取り巻く環境要因
  4.2.1 空間スケールによる環境要因の変化と直接・間接的な作用
  4.2.2 日本の森林土壌における窒素形態変化と環境要因の関係
  4.2.3 環境要因間の関係と変動範囲
  4.2.4 パス解析による窒素形態変化を取り巻く要因
  4.2.5 要因解析の課題
おわりに

第5章 物質循環モデルと森林施業影響(大場 真)
はじめに
5.1 本章の背景となる考え方
  5.1.1 モデルとは
  5.1.2 境界分野におけるモデル
  5.1.3 モデル,シミュレーションの正確さ
5.2 森林を対象としたさまざまなモデル
  5.2.1 面的モデル
  5.2.2 生態学モデル
  5.2.3 人間社会とのつながりを意識したモデル
5.3 森林施業の影響:生態系サービスの観点から
  5.3.1 森林に対する認識の転換
  5.3.2 森林からの生態系サービスと社会変遷
  5.3.3 生態系-社会システム
5.4 森林物質循環モデルBGC-ES
  5.4.1 概略
  5.4.2 プロセス
  5.4.3 シミュレーションを行うための準備
  5.4.4 ケーススタディ
  5.4.5 まとめ
5.5 上流から下流までを空間・定量評価:BaIMモデル
  5.5.1 背景
  5.5.2 プロセス
  5.5.3 ケーススタディ
おわりに

索 引