非線形波動理論入門―波動伝播の基礎数理とその応用― 

書籍情報
ISBN978-4-320-11034-2
判型A5 
ページ数224ページ
発行年月2013年03月
本体価格3,800円
非線形波動理論入門 書影
非線形波動理論入門

これまでに浅水波の模型としてのKdV方程式やその厳密解であるソリトンの数理を解説した書籍は数多くあるが,本書はカマッサ‐ホルム方程式やその厳密解であるピーコンやコンパクトンの数理構造を本格的に解説した初めての書籍である。KdV方程式をはじめ,一連のソリトン方程式に帰属する非線形波動の伝播の数学的理論を,特に方程式の初期値問題を中心にこれらの解の構成と構造を詳述し,伝播の幾何学的全体像を明らかにする。線形の場合に限らず,非線形においても有効な多種多様な解法が紹介されている。これらの議論の基礎として,微積分,関数空間の入門的事項だけでもかなり有効である。加えてルベーグ積分論の他に位相に関する初等的概念や多様体などの入門的事項が用いられるが,高度の専門的な知識を多用することなく,議論の展開を比較的広範囲にわたって可能にしている。議論の対象とされた方程式(系)は,物理学,工学において実用的価値があるばかりでなく,数学として改変された一連の抽象的非線形方程式の解法理論のプロトタイプをなしている。本書をこの方面の古典的または標準的理論として,さらに進んだ一般的議論やその関連諸方面への議論の可能性を示唆している。
[原著名:Nonlinear Waves: An Introduction]

目次

1 コンパクトな進行波とピーコン解
1.1 入門と主要結果
1.2 定理1.1の証明
1.3 定理1.2の証明
1.4 定理1.1および定理1.2の一般化
1.5 細胞の神経回路網(CNN)の実現

2 進行波の存在と波形
2.1 入門
2.2 カマッサ‐ホルム型方程式
2.3 バーガーズ方程式の一般化
2.4 2成分カマッサ‐ホルム方程式系

3 3階の非線形偏微分方程式に対する特殊タイプの進行波解
3.1 入門と主要結果
3.2 定理3.1および定理3.2の証明
3.3 楕円関数と応用
3.4 細胞の神経回路網(CNN)の実現
3.5 サイン‐ゴルドン方程式に対するコーシー問題

4 KdV方程式の周期的進行波解の安定性
4.1 入門と主要結果
4.2 楕円関数論からのいくつかの結果

5 カマッサ‐ホルム方程式を満たす2個のピーコンの相互作用
5.1 入門.2個のピーコン解の構成
5.2 2個のピーコンの相互作用

6 ハンター‐サクストン方程式に適用された特性曲線法
6.1 コーシー問題の古典的解
6.2 ハンター‐サクストン方程式の弱解

7 カマッサ‐ホルム方程式の積分可能な多成分系への一般化
7.1 ハンター‐サクストン方程式のピーコン解
7.2 ピーコン型解の表示式

8 R2における仮線形双曲型方程式系のδ‐衝撃
8.1 δ‐衝撃の存在
8.2 スカラー保存則系の弱連続解

9 非線形波動の伝播の研究における超局所的アプローチ
9.1 R2t;xにおける跳躍不連続点の伝播
9.2 R3t;x1;x2における対数的特異点の生成