ここから始める言語学プラス統計分析

書籍情報
シリーズ名クロスセクショナル統計シリーズ 【4】巻
ISBN978-4-320-11120-2
判型A5 
ページ数360ページ
発行年月2016年04月
本体価格3,900円
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 本書は,これから言語学の勉強や研究を始めようという方や,言語学を始めてからまだ日が浅いという方が,「実験を用いた言語研究」の立場から言語について学び,科学的な研究を行えるようになるための入門書である。言語学,心理学,脳科学など多様な観点からの研究が取り上げられており,最先端の研究トレンドに触れながら言語学の基礎を固め,統計的な視点を養うことができる。

 本書は次のような構成となっている。第I部(第1~6章)では,言葉の世界を言語の単位(音,単語,文など)ごとに分けて紹介し,各章の前半でその章で取り上げる言語単位について知っておくべき基礎事項を解説する。各章の後半では,具体的な研究事例を掲載して研究手法や統計分析について紹介するとともに,興味深い言語現象なども取り上げる。第II部(第7~12章)では,言葉の世界を運用の観点から分類し,解説する。第II部の各章も前半で基礎知識を身に付け,後半でより実践的な事例に触れられるような構成になっている。第III部(第13~17章)では,言語の研究で有用な統計手法や統計ソフト,ならびにその使い方について,予備知識のない人にもわかりやすいように平易に系統立てて解説する。

 各章末には,練習問題とさらに学びたい人のための文献案内が掲載されている。練習問題の答案ができたら,巻末の「解答の手引き」でチェックしてみてほしい。

目次

第I部 言語知識の内容を探る

第1章 形態論(中谷健太郎)
1.1 形態論の歩き方
  1.1.1 異形態と異音
  1.1.2 自由形態素と拘束形態素
  1.1.3 内容語と機能語
  1.1.4 品 詞
  1.1.5 接辞と派生と屈折
1.2 研究事例
  1.2.1 研究事例1 語彙的使役と統語的使役
  1.2.2 研究事例2 複雑述語

第2章 統語論(小野 創)
2.1 統語論の歩き方
  2.1.1 句構造
  2.1.2 統語的曖昧性
  2.1.3 複文構造
  2.1.4 島の制約
2.2 研究事例
  2.2.1 研究事例1 数量詞遊離
  2.2.2 研究事例2 統語的飽和

第3章 意味論(八代和子・Uli Sauerland)
3.1 意味論の歩き方
  3.1.1 意味とは?
  3.1.2 単語レベルの意味
  3.1.3 文レベルの意味
  3.1.4 実験の意味論への貢献
3.2 研究事例
  3.2.1 研究事例1 文の曖昧性
  3.2.2 研究事例2 2項から成る真理値について

第4章 語用論(八代和子・Uli Sauerland)
4.1 語用論の歩き方
  4.1.1 グライス(1959)
  4.1.2 グライスの協調の原理
  4.1.3 スケーラー・インプリカチャー(scalar implicature)
  4.1.4 誇 張
  4.1.5 語用論への実験の貢献
4.2 研究事例
  4.2.1 研究事例1 スケーラー・インプリカチャーの言語習得
  4.2.2 研究事例2 端数のない数字の用法について

第5章 音声学(那須川訓也)
5.1 音声と言語研究
5.2 音声の生理学的様相
5.3 子音の構音
5.4 母音の構音

第6章 音韻論(那須川訓也)
6.1 音韻論の歩き方
  6.1.1 分節音と音素
  6.1.2 音韻素性
  6.1.3 モーラ
  6.1.4 音 節
  6.1.5 韻 律
  6.1.6 静的分布規則と動的交替規則
6.2 研究事例
  6.2.1 研究事例1 複合語第1要素の音韻的長さと連濁生起の関係
  6.2.2 研究事例2 複合語第1要素の使用頻度と連濁生起の関係

第II部 言語処理機構の性質を探る

第7章 言語産出(酒井 弘)
7.1 言語産出の歩き方
  7.1.1 言い間違いと言語産出モデル
  7.1.2 語彙標示(lexical encoding)過程と文法標示(grammatical encoding)過程
7.2 研究事例
  7.2.1 研究事例1 統語的プライミング効果を手掛かりとした研究
  7.2.2 研究事例2 言語産出時の視線を手掛かりとした研究

第8章 言語理解(玉岡賀津雄・小泉政利)
8.1 言語理解の歩き方
  8.1.1 語の理解
  8.1.2 句の理解
  8.1.3 文の理解
8.2 研究事例
  8.2.1 研究事例1 かき混ぜと眼球運動
  8.2.2 研究事例2 語順と文脈

第9章 母語獲得(杉崎鉱司)
9.1 母語獲得の歩き方
  9.1.1 母語獲得とそれを支える内的メカニズム
  9.1.2 生成文法理論の母語獲得モデル
  9.1.3 生成文法理論に基づく母語獲得研究
9.2 研究事例
  9.2.1 パラメータに基づく母語獲得研究1 複合語形成
  9.2.2 パラメータに基づく母語獲得研究2 前置詞残留
9.3 まとめ

第10章 第二言語習得(遊佐典昭)
10.1 第二言語習得の歩き方
  10.1.1 母語獲得と第二言語習得
  10.1.2 転移による第二言語知識
  10.1.3 経験以上の第二言語知識
  10.1.4 第二言語知識と言語運用
  10.1.5 SLAと年齢の影響
  10.1.6 外国語教育への示唆
10.2 研究事例
  10.2.1 研究事例1 Yusa et al.(2011)
  10.2.2 研究事例2 Inagaki(2001)

第11章 言語の神経基盤(萩原裕子・秦 政寛)
11.1 言語の神経基盤の歩き方
  11.1.1 脳の構造と機能
  11.1.2 意味の神経基盤
  11.1.3 統語の神経基盤
  11.1.4 音韻・プロソディの神経基盤
11.2 研究事例
  11.2.1 研究事例1 「転位」の特性にかかわる神経活動
  11.2.2 研究事例2 単語復唱課題時における脳の血流変化

第12章 コーパス(後藤 斉)
12.1 コーパスの歩き方
  12.1.1 コーパスとは
  12.1.2 さまざまなコーパスとツール
  12.1.3 日本語のコーパス
12.2 コーパスの使用例
  12.2.1 「やはり」
  12.2.2 「卑下」

第III部 統計分析の手法に親しむ

第13章 統計の考え方(金 情浩)
13.1 統計的検定の流れを理解する
  13.1.1 帰無仮説を立てる
  13.1.2 有意水準を決める
  13.1.3 検定統計量を計算する
  13.1.4 統計量が有意水準より小さい確率か大きい確率かを確かめる
  13.1.5 最終的な判断を下す
13.2 変数(尺度)の種類

第14章 2つの平均の比較(t検定)(金 情浩)
14.1 対応のない場合のt検定
  14.1.1 帰無仮説を立てる
  14.1.2 検定統計量を計算する
  14.1.3 結果を報告する
14.2 対応のある場合のt検定
  14.2.1 帰無仮説を立てる
  14.2.2 検定統計量を計算する
  14.2.3 結果を報告する
14.3 まとめ

第15章 3つ以上の平均の比較(一元配置の分散分析)(金 情浩)
15.1 一元配置の繰り返しのない分散分析(被験者間の分散分析)
  15.1.1 帰無仮説を立てる
  15.1.2 検定統計量を計算する
  15.1.3 結果を報告する
15.2 一元配置の繰り返しのある分散分析(被験者内の分散分析,反復測定による分散分析)
  15.2.1 帰無仮説を立てる
  15.2.2 検定統計量を計算する
  15.2.3 結果を報告する
15.3 まとめ

第16章 3つ以上の平均の比較(二元配置の分散分析)(金 情浩)
16.1 二元配置の繰り返しのない分散分析(被験者間の分散分析)
  16.1.1 帰無仮説を立てる
  16.1.2 検定統計量を計算する
  16.1.3 結果を報告する
16.2 二元配置の繰り返しのある分散分析(被験者内の分散分析)
  16.2.1 帰無仮説を立てる
  16.2.2 検定統計量を計算する
  16.2.3 結果を報告する
16.3 まとめ

第17章 カイ2乗(χ2)検定(金 情浩)
17.1 適合度(一様性)の検定
  17.1.1 帰無仮説を立てる
  17.1.2 検定統計量を計算する
  17.1.3 結果を報告する
17.2 独立性の検定(test of independence)
  17.2.1 帰無仮説を立てる
  17.2.2 検定統計量を計算する
  17.2.3 結果を報告する
17.3 まとめ

練習問題解答への手引き

参考文献

索 引