ベイズ統計モデリング―R,JAGS,Stanによるチュートリアル― 原著第2版

ベイズ統計モデリング 書影
ベイズ統計モデリング

新刊

 近年,国内でも盛んになってきているベイズアプローチを用いた分析の入門書。
 ベイズアプローチによる分析は,これまで帰無仮説有意性検定が中心であった領域においても,徐々に利用されつつある。またビジネスの現場においてもデータによる意思決定を行うためにベイズアプローチを採用する事例を耳にする。本書は,そのようなベイズアプローチを用いた分析の入門書である「Doing Bayesian Data Analysis: A Tutorial with R, JAGS, and Stan 2nd Edition」の翻訳書である。
 本書は三部構成からなる。第Ⅰ部では,基本としてベイズ推論やモデル・確率の基礎的な考え方と,以降実際に利用するRプログラミングについて解説する。第Ⅱ部では,2値データを用いて,近年におけるベイジアンデータ分析の重要な要素を説明する。特に,マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)や階層モデルなどについて,直観的に理解できるよう詳細に説明する。また帰無仮説有意性検定との対比においても,明確にその課題を指摘した上でベイズアプローチのメリットを説明している。そして第Ⅲ部では,一般化線形モデルをスタートに,実際のデータにベイズアプローチを適用する実践編である。
 また,このように分析した結果について,論文などで報告するときについても言及しており,理論と実践のどちらかに偏ることなく,この一冊で導入から実践,報告まで網羅している。そして,より高度な分析へとステップアップしていく際にも,本書を通読していればスムーズに理解できるだろう。

目次

第1章 本書はどのような本か(はじめに読むこと!)
1.1. 本書を読むことができるのは実在の人々です
1.2. 本書の内容
1.3. 第2版での改訂について
1.4. フィードバックのお願い
1.5. 感謝!


第Ⅰ部 モデル,確率,ベイズの公式,そしてR

第2章 導入:確信度,モデル,パラメータ
2.1. ベイズ推論とは確率の確信度を再分配すること
2.2. 可能性は記述的モデルのパラメータ値である
2.3. ベイジアン分析のステップ
2.4. エクササイズ

第3章 R言語
3.1. ソフトウェアの入手
3.2. Rの簡単な実行例
3.3. Rの基本的なコマンドと操作
3.4. 変数のタイプ
3.5. データの読み込みと保存
3.6. 実用的な関数
3.7. Rにおけるプログラミング
3.8. グラフの展開と保存
3.9. まとめ
3.10. エクササイズ

第4章 確率と呼ばれるものはいかなるものか?
4.1. すべての可能な出来事のセット
4.2. 確率:頭の外側か内側か
4.3. 確率分布
4.4. 2次元分布
4.5. 付録:図4.1のためのRコード
4.6. エクササイズ

第5章 ベイズの公式
5.1. ベイズの公式
5.2. パラメータとデータへの適用
5.3. コインのバイアスを推定する
5.4. なぜベイズ推論が難しいのか
5.5. 付録:図5.1,図5.2などのRコード
5.6. エクササイズ


第Ⅱ部 2値の確率を推定する基礎のすべて

第6章 正確な数学的分析による二項確率の推論
6.1. 尤度関数:ベルヌーイ分布
6.2. 確信度の記述:ベータ分布
6.3. 事後分布としてのベータ分布
6.4. 具体例
6.5. まとめ
6.6. 付録:図6.4のためのRコード
6.7. エクササイズ

第7章 マルコフ連鎖モンテカルロ法
7.1. 大きなサンプルによる分布の近似
7.2. メトロポリスアルゴリズムのシンプルな例
7.3. 一般的なメトロポリスアルゴリズム
7.4. ギブスサンプリングに向けて
7.5. MCMCの代表性,正確性,効率性
7.6. まとめ
7.7. エクササイズ

第8章 JAGS
8.1. JAGSとそのRとの関係
8.2. すべてが含まれるある事例
8.3. よく使う分析のためにスクリプトを単純化する
8.4. バイアスの差を推定する
8.5. JAGSにおける事前分布からのサンプリング
8.6. JAGSで使える確率分布
8.7. RunJAGSで並列処理することでより速いサンプリングを
8.8. JAGSのモデルを拡張するヒント
8.9. エクササイズ

第9章 階層モデル
9.1. ある造幣局で作られた1つのコイン
9.2. ある造幣局で作られたいくつかのコイン
9.3. 階層モデルにおける縮小
9.4. JAGSの高速化
9.5. 階層の拡張:カテゴリ内の参加者
9.6. エクササイズ

第10章 モデル比較と階層モデリング
10.1. 一般式とベイズファクター
10.2. 2つのコイン工場の例
10.3. MCMCを用いた解法
10.4. 予測:モデルの平均
10.5. おのずと説明されるモデルの複雑性
10.6. 事前分布への過敏性
10.7. エクササイズ

第11章 帰無仮説有意性検定
11.1. 善意で舗装された道
11.2. 事前知識
11.3. 信頼区間と最高密度区間
11.4. 多重比較
11.5. サンプリング分布が役に立つこと
11.6. エクササイズ

第12章 点の(「帰無」)仮説検定に対するベイジアン・アプローチ
12.1. 推定アプローチ
12.2. モデル比較アプローチ
12.3. パラメータ推定とモデル比較の関係
12.4. パラメータ推定かモデル比較か?
12.5. エクササイズ

第13章 目標,検定力,そしてサンプルサイズ
13.1. 検定力への意志
13.2. 検定力とサンプルサイズの算出
13.3. 逐次的検証と精度の目標
13.4. 考察
13.5. エクササイズ

第14章 Stan
14.1. HMCサンプリング
14.2. Stanのインストール
14.3. すべてが含まれるある事例
14.4. Stanのモデルをトップダウン的に記述する
14.5. 限界と例外
14.6. エクササイズ


第Ⅲ部 一般化線形モデル

第15章 一般化線形モデルの概略
15.1. 変数のタイプ
15.2. 予測変数の線形結合
15.3. 結合された予測変数からノイズのある被予測データへのリンク
15.4. 一般化線形モデル(GLM)の形式的表現
15.5. エクササイズ

第16章 1つもしくは2つの群における量的変数を予測する
16.1. 正規分布における平均と標準偏差の推定
16.2. 外れ値とロバスト推定:t分布
16.3. 2つの群
16.4. その他のノイズ分布とデータの変換
16.5. エクササイズ

第17章 1つの量的変数で量的変数を予測する
17.1. 単純な線形回帰
17.2. ロバスト線形回帰
17.3. 個人と集団の階層回帰モデル
17.4. 線形2次式とデータの重み付け
17.5. モデル拡張の手続きとリスク
17.6. エクササイズ

第18章 複数の量的変数で量的変数を予測する
18.1. 重回帰
18.2. 量的予測変数を掛け合わせた交互作用
18.3. 回帰係数の縮小
18.4. 変数選択
18.5. エクササイズ

第19章 1つの名義変数で量的変数を予測する
19.1. 量的データの複数の群の表記
19.2. 伝統的な分散分析
19.3. 階層ベイジアン・アプローチ
19.4. 量的予測変数を含める
19.5. 異なる分散と外れ値に対する頑健性
19.6. エクササイズ

第20章 複数の名義変数で量的変数を予測する
20.1. 複数の名義予測変数を伴う量的データ群を記述する
20.2. 階層ベイジアン・アプローチ
20.3. 交互作用,等質性,正規性を変えうる再スケール化
20.4. 異なる分散と外れ値に対する頑健さ
20.5. 参加者内計画
20.6. モデル比較アプローチ
20.7. エクササイズ

第21章 2値の被予測変数
21.1. 複数の量的な予測変数
21.2. 回帰係数を解釈する
21.3. ロバストなロジスティック回帰
21.4. 名義的な予測変数
21.5. エクササイズ

第22章 名義的な被予測変数
22.1. ソフトマックス回帰
22.2. 条件付きロジスティック回帰
22.3. JAGSによる実行
22.4. モデルの一般化とバリエーション
22.5. エクササイズ

第23章 被予測変数が順序スケールの場合
23.1. 量的変数による順序データのモデリング
23.2. 単一集団の場合
23.3. 2群の場合
23.4. 量的予測変数のケース
23.5. 事後予測
23.6. 一般化と拡張
23.7. エクササイズ

第24章 被予測変数がカウント変数の場合
24.1. ポアソン指数モデル
24.2. 例:髪と目,再び
24.3. 例:交互作用対比,縮小,オムニバス検定
24.4. 分割表の対数線形モデル
24.5. エクササイズ

第25章 トランクの中の道具たち
25.1. ベイジアン分析を報告するときに
25.2. 最高密度区間(HDI)を計算するための関数
25.3. 再パラメータ化
25.4. JAGSの打ち切りデータ
25.5. この先は?

参考文献
訳者あとがき
索引