確率変数の収束と大数の完全法則
―少しマニアックな確率論入門―
まず、確率論の基礎事項とも言える、確率変数列の確率収束、概収束、完全収束といった収束の定義の差異を紹介していく。次に、大数の完全法則の証明へと進み、さらに大数の法則と関係の深いグリヴェンコ・カンテリの定理の完全収束版に注目して議論を進めていく。最後に、セミノルム付き線形空間値の大数の完全法則まで議論する。
1.1 積み上げることと正負の打ち消しと
1.2 大数の強法則
1.3 ランダムウォークとアボガドロ数
1.4 大数の完全法則の証明のあらすじ
1.5 グリヴェンコ・カンテリの定理
第2章 実確率変数の不等式と収束のオーソドックスな入門
2.1 基礎不等式
2.2 収束と距離
2.3 実確率変数列の確率収束
2.4 実確率変数列の概収束
2.5 実確率変数列の完全収束
第3章 独立実確率変数列の大数の完全法則の証明
3.1 大数の完全法則の証明
3.2 ヒンチンの不等式
3.3 イェンセンの不等式と条件付き期待値
3.4 マルチンケヴィチ・ジグムンドの不等式
3.5 大数の強法則の初等的証明
第4章 セミノルム付き線形空間の少しマニアックな入門
4.1 セミノルム付き線形空間
4.2 ヒンチンの不等式の一般化(性質 Kr,q と K'U,r,q)
4.3 有限次元線形空間のノルム
4.4 有限次元線形空間は性質 K2,q を持つ
4.5 有界差異法による K'U,r,q の q = 1 への帰着
第5章 有界変動関数の空間と一般化したグリヴェンコ・カンテリの定理
5.1 単調関数の基礎性質
5.2 有界変動関数の線形空間 BV (R)
5.3 BV (R) は性質 Kr,q を持たないが性質 K'U,2,q を持つ
5.4 単調関数値に一般化したグリヴェンコ・カンテリの定理
5.5 Lp 空間は性質 K2∧p,q を持つ
第6章 一般化ヒンチンの不等式と線形空間値大数の完全法則
6.1 パンドラの箱
6.2 セミノルム付き線形空間値列の完全収束
6.3 確率空間と確率変数列への要請
6.4 セミノルム付き線形空間値の大数の完全法則
6.5 例:一様評価のノルム付き線形空間再訪