環境同位体による水循環トレーシング

環境同位体による水循環トレーシング
著者 山中 勤 著
分野 地球科学・宇宙科学  > 地球科学・地学  > 水資源
地球科学・宇宙科学  > 地球科学・地学  > 地球科学
環境科学  > 地球科学・地学
環境科学  > 土木工学
発売日 2020/08/13
ISBN 9784320047396
体裁 A5・258頁
定価 5,830円 (本体5,300円 + 税10%)
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    内容
  • 目次
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『水文科学』の応用編!
 21世紀は水の世紀とも呼ばれ、水に関わる諸問題の解決はSDGs(持続可能な開発目標)の中でも重要な位置を占めます。
 本書は、環境中に存在する水素と酸素の安定同位体をトレーサーとして、水の循環をシームレスに追跡するための基礎と応用を包括的に取りまとめたものです。様々な時空間スケールにおける水循環の実態を把握し、流域水循環計画の策定・遂行などに役立てることができる、多様な調査手法を網羅しています。英語の文献を参照しなければならない専門的な知見も、日本語で平易に解説しています。
 第1章では水の水素・酸素安定同位体をトレーサーとして利用する際の基礎的な概念・理論を概説し、第2章では陸域水循環のインプットとして重要性の高い降水の同位体的特徴を述べます。第3章~第9章では個別の水文過程に関する実践事例を紹介しており、第10章では技術的な情報として同位体分析やサンプリングの方法論を記載しています。個々の水文過程を独立した章にまとめていますが、通読することで「水循環の見方・考え方」が得られます。

【本書の対象】
地球科学・環境科学・土木工学・農学・林学・地理学などの研究者・学生、ならびに環境系コンサルタント、水供給事業者、行政職員 など
第1章 安定同位体トレーサーの基礎
1.1 水の安定同位体
1.2 同位体組成の表現方法
1.3 同位体分別
 1.3.1 平衡分別
 1.3.2 動的分別
Box1.1 平衡分別係数に関する様々な実験式
1.4 レイリープロセス
Box1.2 レイリー式の導出
1.5 δ ダイアグラム
1.6 Craig-Gordonモデル
Box1.3 Craig-Gordonモデルの導出と水蒸気輸送抵抗
1.7 蒸発濃縮
Box1.4 非平衡レイリー式の導出
1.8 同位体交換
1.9 混合解析
Box1.5 混合解析の誤差
1.10 使用上の注意
Box1.6 酸素17
参考文献

第2章 降水
2.1 同位体効果
 2.1.1 緯度効果
 2.1.2 温度効果
 2.1.3 降水量効果
 2.1.4 内陸効果
 2.1.5 高度効果
Box2.1 断熱冷却によるレインアウト
2.2 時間変動特性
 2.2.1 経年変動
 2.2.2 年周変動
 2.2.3 イベント間変動
 2.2.4 イベント内変動
2.3 降水アイソスケイプ
参考文献

第3章 浸透・降下浸透
3.1 浸透水の追跡
 3.1.1 散水実験
 3.1.2 自然条件下での追跡
Box3.1 土壌水移動と同位体輸送
3.2 地下水涵養量の推定
Box3.2 可動水と結合水:2つの水世界
3.3 窪地貯留水の蒸発濃縮
Box3.3 流出がある場合の平衡レイリー式の導出
3.4 蒸発濃縮と選択効果
3.5 森林における降雨の分配
参考文献

第4章 河川流出
4.1 降雨流出の成分分離
4.2 融雪流出の成分分離
4.3 流域通過時間の推定
Box4.1 滞留時間に関する諸概念
4.4 流出モデルとの融合
参考文献

第5章 地下水・湧水・温泉
5.1 涵養標高の推定
5.2 流動系区分
5.3 涵養源の寄与率評価
5.4 地下水流動モデルとの融合
5.5 温泉水
Box5.1 温泉の定義と分類
Box5.2 地圏の水
参考文献

第6章 蒸発散
6.1 土壌面蒸発
Box6.1 定常蒸発速度と土壌水δ値プロファイル
6.2 蒸散
6.3 蒸発散分離
 6.3.1 群落スケール
Box6.2 Keelingプロット
 6.3.2 流域スケール
 6.3.3 全球スケール
参考文献

第7章 根系吸水
7.1 利用水源・吸水深度の推定
 7.1.1 δ値の単純比較・混合解析
 7.1.2 根系吸水プロファイルの推定
 7.1.3 根系吸水モデルとの融合
Box7.1 SPACにおける水輸送抵抗
7.2 ハイドローリックリフト
参考文献

第8章 湖沼
8.1 湖面蒸発量の推定
 8.1.1 非定常水・同位体収支スキーム
 8.1.2 定常水収支・非定常同位体収支スキーム
Box8.1 流入・流出がある場合の非平衡レイリー式
 8.1.3 定常水・同位体収支スキーム
Box8.2 大気水蒸気同位体組成(δa) の与え方
8.2 地下水流入量の推定
8.3 湖水の混合と湖底湧水
参考文献

第9章 大気水循環
9.1 ローカルスケール
 9.1.1 水蒸気δ値の鉛直分布から見た混合
 9.1.2 水蒸気δ値の水平分布から見た混合
Box9.1 Keelingプロット法による水蒸気混合解析
9.2 大陸スケール
 9.2.1 大陸再循環
 9.2.2 d値による水蒸気起源推定
Box9.2 再循環率の定義
9.3 全球スケール
 9.3.1 予報型モデルとの融合
 9.3.2 診断型モデルとの融合
 9.3.3 リモートセンシング
参考文献

第10章 同位体分析・サンプリング
10.1 同位体分析手法
 10.1.1 質量分析
 10.1.2 分光分析
 10.1.3 ワーキングスタンダード
10.2 水試料のサンプリング手法
 10.2.1 降水
 10.2.2 土壌水
 10.2.3 河川水
 10.2.4 地下水
 10.2.5 湧水
 10.2.6 温泉水
 10.2.7 湖水
 10.2.8 植物体内水
 10.2.9 水蒸気
参考文献

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