認知モデリング

―ACT-R理論に基づく心の解明―

認知モデリング
著者 John R. Anderson 著・ 林 勇吾
分野 認知科学・心理学  > 認知科学
認知科学・心理学  > 心理学
情報・コンピュータ  > 人工知能
発売日 2021/08/31
ISBN 9784320094499
体裁 A5・344頁
定価 3,960円 (本体3,600円 + 税10%)
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人間が進化の過程で発達させてきた能力には、複雑で連続的なパターンを処理したり、認知を抽象的に制御したりする能力がある。これらの能力を運用する人間の認知システムは、さまざまな脳領野に関連付けられた、独立したモジュールによって構成されていることが明らかにされている。

本書では、認知心理学の記憶研究で扱われてきた宣言的モジュールと手続き的モジュールをはじめ、視覚・運動系の複数のモジュールがどのように組み合わされ統合されるのかについて、Adaptive Control of Thought-Rational(ACT-R)理論を用いて説明する。本書では、どのようにして人間が車を運転したり、子どもが代数学の方程式を解いたりできるのかを、この理論を用いて明瞭に解説する。ACT-Rは、認知科学が発足して以来、最も古くから完成度の高い認知モデルとして世界中で支持されている。ACT-Rでは、なじみのある知識表現である、チャンクやプロダクションルールといったアルゴリズムを用いて、人間の学習がどのように生じるのかをみることができる。ACT-Rは、人間の心(認知)のプロセスをコンピュータ上で表現(シミュレーション)するだけではなく、神経科学的なエビデンスに基づいて、人間の脳の「構造」と「機能」についても教えてくれる。

著者のJohn Andersonは、このACT-R理論を用いた膨大な研究により数多くの名誉ある賞を受賞してきた。米国心理学会の著名なDistinguished Scientific Career Award、米国認知科学学会からは、人間の認知過程を形式的に理解することへの貢献を称えてDavid E Rumelhart賞、および Heineken賞を含む数々の賞を受賞している。また、米国認知科学会の会長やAmerican Psychological Associationから米国科学アカデミー、全米科学アカデミー、米国哲学協会などにも選出。この1冊は、これまでの彼の膨大で奥深い研究のレガシーを扱っており、未来の認知科学の姿や心のメカニズムを探求していくうえでの、究極の科学の問いを扱っている。本書は認知科学のメイントピックを扱う、認知モデリングに関するバイブルである。

[原著:How Can the Human Mind Occur in the Physical Universe?、 Oxford University Press、 2009]
訳者まえがき
日本語版への序文
序文

第1章 認知アーキテクチャ
1.1 Newell博士による究極の科学的問い
1.2 認知アーキテクチャとは何か?
1.3 認知アーキテクチャ以外の研究
1.4 ACT-R:認知アーキテクチャ
1.5 認知アーキテクチャにおけるシンボル対コネクショニスト
1.6 付録:ACT-Rの歴史を概観する

第2章 脳内のモジュールの構成
2.1 機能と構造
2.2 モジュールを考慮したアーキテクチャ
2.3 車の運転:モジュールの動作
2.4 二重課題:モジュールによる並列性と直列性
2.5 モジュールを脳機構とマッピングする
2.6 総括
2.7 付録:脳の血中酸素量を予測する

第3章 人間の記憶のメカニズム
3.1 学習の多様性
3.2 宣言的記憶の構造と機能
3.3 認知アーキテクチャにおける宣言的記憶
3.4 ヒューリスティック判断における記憶の役割
3.5 認知システムにおける宣言的記憶の役割:リプリーズ
3.6 付録:記憶情報の検索時間プロセスの分析

第4章 思考の適応的な制御
4.1 思考と行動の関係性について
4.2 関連する脳の構造
4.3 アーキテクチャ
4.4 エビデンス
4.5 総括
4.6 付録:プロダクションコンパイルについての留意点

第5章 人間になるためには何が必要か?:高校の代数学から得られた知見
5.1 人間の認知を研究するために,代数学をショウジョウバエ(モデル生物)のように用いる
5.2 比較発達研究からみた,人間が持つ数学の能力
5.3 社会的伝達能力の学習
5.4 代数学の学習に関する実験室研究:抽象化の制御
5.5 霊長類による逐次的なシンボリック操作との比較
5.6 一次方程式の解き方の学習:動的パターンマッチング
5.7 代数学的な概念の習得:メタ認知のために特別なアーキテクチャの特徴は必要か?
5.8 総括
5.9 付録:教示による知識処理に関する補足

第6章 どうして人間の心が存在しうるのか
6.1 現時点での回答
6.2 Newellの基準
6.3 意識の問題
6.4 付録:ACT-R の未来

文献

解説 ACT-Rと脳科学および教育心理学との接点(寺尾 敦) 
解説 究極の問いを追求するコミュニティの形成にむけて(森田純哉) 
解説 HCIにおける認知アーキテクチャ(松室美紀)

訳者あとがき

索引

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