みんなの圏論
―演習中心アプローチ―
著者 | David I. Spivak 著・ 川辺 治之 訳 |
---|---|
分野 |
数学
> 代数学 |
発売日 | 2021/10/28 |
ISBN | 9784320114548 |
体裁 | B5・382頁 |
定価 | 5,500円 (本体5,000円 + 税10%) |
圏論は1940年代に数学の異なる領域をまとめて統一的に扱うために考案された。そして、数学の中の異質な分野間での強力な情報交換を可能にすることにおいて目覚ましい成功を収めている。本書は、科学全般にわたる精密かつ柔軟かつ一貫性のある言語として圏論が数学以外でも役立つことを示す。情報は本質的に変化を伴い、一つのアイディアも数え切れないやり方で体系化され再構成されうる。そしてそのように構成された構造どうしを翻訳する能力は、さまざまな科学においてますます重要になってきている。圏論は情報をモデル化するための統一した枠組みを提供し、それは専門分野間での知識の移転を円滑に進める。
本書は、読みやすく素直なスタイルで書かれていて、数学の前提知識をあまり必要としないので、厳密であるものの数学者でなくても取り組みやすい。また、定理と証明に重点を置くのではなく、例題と演習によって圏論を説明している。本書には300題以上の解答つき演習が含まれている。
圏論への入り口としてデータベースを用い、集合と関数から始めて、数学の基礎となる概念であるモノイド、群、順序、グラフを導入する。これらはすべて見かけを変えただけの圏である。圏論の「三大」概念である圏、関手、自然変換を説明したあとは、極限、余極限、関手圏、層、モナド、オペラッドなどさまざまな話題を扱う。
本書は、数学者が使うさまざまな数学的概念と、計算機科学、神経科学、物理学のような専門分野におけるモデルや枠組みの間の橋渡しとなることを目指している。
[原著:Category Theory for the Sciences、 The MIT Press、 2014]
1.1 圏論の簡単な歴史
1.2 本書の狙い
1.3 学生に求めること
1.4 圏論の参考文献
第2章 集合の圏
2.1 集合と関数
2.2 可換図式
2.3 オントロジーログ
第3章 Setに関する基本的考察
3.1 積と余積
3.2 Setの有限極限
3.3 Setの有限余極限
3.4 Setのそのほかの概念
第4章 背後に潜む圏と関手
4.1 モノイド
4.2 群
4.3 グラフ
4.4 順序
4.5 データベース:スキーマとインスタンス
第5章 圏論の基本
5.1 圏と関手
5.2 純粋数学で一般的な圏と関手
5.3 自然変換
5.4 圏とスキーマの同値性
第6章 圏に関する基本的考察
6.1 極限と余極限
6.2 Catのそのほかの概念
第7章 活躍する圏
7.1 随伴関手
7.2 関手の圏
7.3 モナド
7.4 オペラッド
参考文献
訳者あとがき
索引