ゲノム医学のための遺伝統計学

ゲノム医学のための遺伝統計学
著者 田宮 元 著植木 優夫 著小森 理 著照井 伸彦 編小谷 元子 編赤間 陽二 編花輪 公雄 編
分野 数学  > 統計  > 統計学
生物学・生物科学  > 遺伝子・遺伝  > ゲノム
医学・薬学  > 生理・生化学  > 分子生物学
シリーズ 数学  > クロスセクショナル統計シリーズ 3
発売日 2015/03/25
ISBN 9784320111172
体裁 A5・264頁
定価 3,300円 (本体3,000円 + 税10%)
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    内容
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 ゲノム医学は、ヒトゲノムの諸特徴を利用することで人類が直面しつつある問題に正しく対処し、持続可能な医療の実現を期待して創始された新しい学問分野であり、遺伝的統計学は定量的側面からその根幹を支えている。定量的な遺伝学は、1900年代の初めから数々の研究者たちによって高度な理論体系として完成されたが、ここ20年間で行われたヒトゲノム解読プロジェクトをはじめとした多くの関連プロジェクトの成果は、この理論体系の意味するところについて具体的理解を可能にし始めている。

 本書は、そのような集団遺伝学・進化遺伝学や量的遺伝学・遺伝疫学に基づき、ヒトの複雑でありふれた疾患や形質に関する、ゲノム医学のための遺伝統計学を紹介する。古典的な遺伝数理の概念のみならず、昨今のゲノムビッグデータ解析にも言及し、ヒトゲノム解読やヒトゲノム多様性研究、ゲノムコホートに代表される現代的なゲノム医学研究について、定量的側面と定性的側面の両方から迫っていく。
第1章 ヒトゲノムを形作った諸力
1.1 自然淘汰とヒトゲノム
1.2 自然淘汰のコスト
1.3 ヘテロ接合を有利とする淘汰
1.4 偶然の影響の重要性
1.5 集団サイズの重要性

第2章 人類の進化の歴史と集団サイズ
2.1 人類の集団サイズ(人口)
2.2 人類の長期有効集団サイズの推計
2.3 人類の長期有効集団サイズの解釈
2.4 人類の誕生と世界への移住のモデル(多地域進化説)
2.5 人類の誕生と世界への移住のモデル(アフリカ単一起源説)
2.6 ゲノム医学に対する意味
2.7 CDCV仮説
2.8 対立する仮説

第3章 人類の突然変異荷重
3.1 致死相当量と遺伝的死
3.2 個々人のゲノム中に存在する有害バリアントの数
3.3 突然変異の運命:ホールデン・マラーの原理
3.4 有害突然変異の不可逆的蓄積:マラーのラチェット
3.5 ヒトゲノム有害突然変異率
3.6 若干の整理

第4章 ヒトゲノムのバリアントサイト数の予測
4.1 ゲノムの遺伝的多様性を測る2 つの統計量:平均塩基多様度πとWattersonのS
4.2 人類集団全体でのバリアント数:KruglyakのSf
4.3 ヒトゲノムのバリアントを取得する確率
4.4 バリアント検出実験の追試デザイン
4.5 人類集団中でのバリアントの分布:サイト頻度スペクトラム
4.6 Tajima のD検定
4.7 後半に向けて

第5章 SNP・HapMapからNGS解析
5.1 ヒトゲノム解読プロジェクト(HGP)
5.2 SNPマッピングプロジェクト
5.3 必要なSNPs数の見積もり
5.4 HapMapプロジェクト
  5.4.1 フェーズ1 (HapMap1)
  5.4.2 フェーズ2 (HapMap2)
  5.4.3 フェーズ3 (HapMap3)
5.5 1000人ゲノムプロジェクト(1kgp)
  5.5.1 1kgpフェーズ1
5.6 若干のまとめ

第6章 ヒト疾患の遺伝性
6.1 異質性(heterogeneity)
6.2 再発リスク比λ
6.3 罹患同胞対解析法(ASP)へのλの応用
6.4 疾患の遺伝性を測るもう1つの統計量:遺伝率
6.5 ゲノムワイドアソシエーション解析の理論的根拠

第7章 複雑なヒト疾患の遺伝子探索
7.1 同祖性(IBD,identity by descent)と同型性(IBS,identity by state)
7.2 マーカー品質管理(マーカーQC)
7.3 サンプル品質管理(サンプルQC)
  7.3.1 個体ヘテロ接合度
  7.3.2 性別チェック
  7.3.3 未確認血縁性の除去
  7.3.4 集団階層化の除去
7.4 疾患アソシエーションの統計的仮説検定
7.5 追試デザイン
7.6 集団ベースの連鎖分析
7.7 メタアナリシス
7.8 遺伝子型インピュテーション
7.9 若干の整理

第8章 ゲノムコホートと個別化医療
8.1 「失われた遺伝率」の問題
8.2 ゲノムコホート研究
  8.2.1 疫学研究のデザイン
  8.2.2 リスク因子の効果サイズ
  8.2.3 メンデル性無作為化と操作変数
  8.2.4 バイオバンクとゲノムコホート
8.3 ゲノムコホート研究の困難
8.4 ゲノムコホート研究における家系情報の利用
8.5 疾患発症リスクの予測問題
8.6 まとめ

第9章 最新の遺伝統計手法
9.1 多数の遺伝子座位からの病因遺伝子の探索
9.2 連鎖不平衡による検定の保守化
9.3 統計モデル,推定,仮説検定
9.4 レアバリアントアソシエーション
9.5 回帰モデル
9.6 重回帰係数の解釈と有意性検定,多重共線性
9.7 モデル選択
9.8 まとめ

第10章 疾患リスクの基礎とAUCの理論と実際
10.1 疾患リスク
10.2 関連解析
10.3 判別精度
10.4 感度,特異度,AUC
10.5 AUCの理論的性質
10.6 ベイズルール
10.7 AUCBoost
10.8 まとめ

第11章 補 講
11.1 ヒトゲノムに潜む不可知
11.2 自然淘汰の影響
11.3 その他の問題

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