複素数入門
自然数から数を順次拡大する必然性を“代数方程式の原理”(根の存在)に求め、これを柱に複素数の理論を展開する。代数方程式の定理(ガウス)の証明を実数の完備性に基づき厳密に証明する。応用として、超越性の判定において古典的なリュービルの定理や、eやπの無理数性と超越性の初等的証明を与える。一次変換と等角性を解説し、その結果を用いて非ユークリッド幾何学を平易に解説する。
各所に複素数の演算を「定規とコンパス」で実現する解説と演習が与えられている。この延長線上で最終的には、非ユークリッド双曲幾何を定規とコンパスで描くことを実行する。本書を最後まで読まれた読者は、非ユークリッド双曲幾何の無矛盾性がポアンカレモデルを通してユークリッド幾何のそれに帰着し、結局は実数論の無矛盾性に帰することを経験することになる。一見抽象的と思われるロバチェフスキー・ボリアイの非ユークリッド双曲幾何もその原理は定規・コンパスで紙上に実現されるということを体験することとなる。
巻末補足では、対称式、代数的数の四則、集合論的実数の構成の解説をする。
1.1 虚数の表すもの
1.2 数と方程式
1.3 複素平面と作図
1.4 高次の代数方程式
第2章 代数学の基本定理
2.1 実数の完備性
2.2 複素数列
2.3 連続関数
2.4 代数学の基本定理
2.5 代数的数と超越数
2.6 e とπの無理数性
第3章 一次変換と等角性
3.1 一次変換
3.2 一次変換の円々対応
3.3 等角性
3.4 一次変換の分類
第4章 非ユークリッド幾何
4.1 上半平面と開円板
4.2 非ユークリッド幾何
4.3 三角形の内角の和
A 補足
A.1 対称多項式
A.2 代数的数の四則
A.3 実数論
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索 引