人は宇宙をどのように考えてきたか

―神話から加速膨張宇宙にいたる宇宙論の物語―

人は宇宙をどのように考えてきたか
著者 Helge S. Kragh 著竹内 努 共訳市來 淨與 共訳松原 隆彦 共訳
分野 地球科学・宇宙科学  > 天文学・宇宙科学  > 天文学
物理学  > 物理学一般
発売日 2015/12/23
ISBN 9784320047280
体裁 菊判・424頁
定価 5,060円 (本体4,600円 + 税10%)
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本書は人類が自らの住む世界、つまり宇宙をどのように捉えてきたかを統一した視点から論じるユニークな本である。宇宙全体を客観的対象と捉えて研究する学問を宇宙論と呼ぶ。すなわち、本書が扱うテーマは古代メソポタミアの人々から現代の職業研究者まで、数千年のタイムスケールで進化してきた宇宙論のいわば進化の歴史である。自らの目のみを観測装置としていた宇宙神話創生期の人々にとって、宇宙を統べる法則は地上とは切り離され、「理由」を考えることを拒み、ただそこに存在するものであった。時代とともに人々の思索は発展し、宇宙の法則は生きる術としての生活規範からそれ自体を考える対象へと変わってゆく。実は、宇宙論は意外なほど早い時代に神話と決別している。誤解されがちだが、古代ギリシャをはじめとするこの時代の天文学観測は近代から見ても驚くべき精緻な体系を誇る、まさに宇宙論そのものである。著者はとかく素朴で原始的とみなされがちなこの時代の宇宙論が、当時としては最新の理論体系であり、その意味で現代宇宙論の最先端と何ら遜色がないことを最初に強調する。自然哲学の成立の中で宇宙論はその位置づけを何度か変えつつ、美しい天の理論が作られていった。しかし宇宙論の発展は決して単調ではなく、極めて非線形かつ複雑である。キリスト教教義の浸透による停滞を経て、神学、宗教的教条との関係を最後まで引きずりつつも、自然科学の成立の一部として宇宙論もその形を整えてきた。近代物理学の成立とともに宇宙論もついに科学として成立してゆく。銀河宇宙、宇宙膨張という驚異の観測的発見と、古典力学、電磁気学、統計力学、相対論そして量子論までに至る物理学によって、宇宙論は現代も驚くべき速さで発展している。しかし、その流れの中で古代の神話に見られた観点の転換が何度も繰り返されている。本書には物理学の専門的解説も多く含まれるものの、苦手な方はそれを読み飛ばしても十分読みごたえがある内容に仕上がっている。宇宙物理学に関わる研究者はもちろん、天文学史に興味のある読者、宇宙について素朴な疑問を持ち続けている一般の天文ファンの方々、そして単純に宇宙と神話にロマンを感じるすべての方にお薦めする。
第0章 序章

第1章 神話からコペルニクス的宇宙像へ
1.1 古代の宇宙論的思索
1.2 ギリシャ人の宇宙
1.3 中世の宇宙論
1.4 コペルニクス的転回

第2章 ニュートン的宇宙像の時代
2.1 ニュートンの無限宇宙
2.2 啓蒙時代の宇宙論
2.3 宇宙物理学と星雲
2.4 熱力学と重力
2.5 天の川

第3章 現代宇宙論の成立
3.1 初期の相対論的宇宙モデル
3.2 膨張宇宙
3.3 有限の年齢をもつ宇宙へ
3.4 代替宇宙論

第4章 高温ビッグバン理論
4.1 宇宙論?核物理学の一分野か?
4.2 定常宇宙論の挑戦
4.3 相対論的標準宇宙論

第5章 新たな地平
5.1 初期宇宙論
5.2 驚異の観測事実
5.3 人間原理および他の思弁
5.4 創世の問題
5.5 宇宙論の展望

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