DNA情報で生態系を読み解く

―環境DNA・大規模群集調査・生態ネットワーク―

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DNA情報で生態系を読み解く
著者 東樹 宏和 著占部 城太郎 編日浦 勉 編辻 和希 編
分野 生物学・生物科学  > 遺伝子・遺伝  > DNA
生物学・生物科学  > 遺伝子・遺伝  > ゲノム
生物学・生物科学  > 生理・生態学  > 生態学
シリーズ 生物学・生物科学  > 生態学フィールド調査法シリーズ 5
発売日 2016/03/28
ISBN 9784320057531
体裁 A5・224頁
定価 3,080円 (本体2,800円 + 税10%)
  • この本の
    内容
  • 目次
  • 関連情報
 自然生態系の再生や農業生態系の設計において生態学的な知見に期待が寄せられている中、微生物学者たちは、膨大なデータを抱えつつ、その解釈のしかたに悩んでいる。従来の微生物学では、バイオアッセイやゲノム解読等を通じて、個々の種の性質を深く掘り下げて理解するのが常道であったが、複雑な微生物群集の動態をそうした研究戦略のみで理解するのは無理であり、種間関係に関する生態学の理論を導入しようという試みが世界各地で始まっている。

 本書は、生態学者に限らず、「DNA情報を基にして生物の多様性や群集を調査するすべての学生・専門家」を対象とする。医学・農学・工学分野において微生物を扱う研究者にも生態学的な解析の基本を理解してもらえるよう、群集構造や生物種間ネットワークの統計に関する章も充実させた。調査計画の立案やサンプリング方法に始まり、次世代シーケンシングからバイオインフォマティクス処理、生態学的統計解析までの全工程を解説しており、おそらく世界的に見ても類書が存在しない独自な構成になっているかと思われる。

 外注による次世代シーケンシングが普及してきた現在、高校生や大学学部生を対象とした実習や環境に関わるNPO等の活動においても、本書で述べるような分析技術が今後浸透していくことであろう。
第1章 生態系研究における情報革命
1.1 はじめに
1.2 DNAバーコーディング
1.3 環境DNAによる生物群集調査の高速化
1.4 人類はどこまで生態系を理解したか?
1.5 生態学の使命
1.6 本書の構成

第2章 生物群集調査 ―調査計画編―
2.1 はじめに
2.2 研究を始める前に
2.3 環境の異なるサンプル間での群集構造の比較
2.4 群集構造の時系列解析

第3章 生物群集調査 ―サンプリング編―
3.1 はじめに
3.2 サンプリングの設計と準備
3.3 サンプルの保存
3.4 動物サンプルの保存
3.5 植物サンプルの保存
3.6 真菌サンプルの保存
3.7 土壌サンプルの保存
3.8 水サンプルの保存
3.9 その他のサンプル(胃内容物・糞)の保存

第4章 生物群集調査 ―DNA抽出編―
4.1 はじめに
4.2 動物サンプルからのDNA抽出
4.3 植物サンプルからのDNA抽出
4.4 真菌サンプルからのDNA抽出
4.5 土壌サンプルからのDNA抽出
4.6 水サンプルからのDNA抽出
4.7 その他のサンプル(胃内容物・糞)からのDNA抽出

第5章 生物群集調査 ―DNAマーカー選択編―
5.1 はじめに
5.2 シーケンサーの種類を把握する
5.3 PCRプライマーの選択における一般的基準
5.4 原核生物(細菌とアーキア)のマーカー領域
5.5 真核生物全般のマーカー領域
5.6 動物のマーカー領域
5.7 植物のマーカー領域
5.8 真菌のマーカー領域

第6章 生物群集調査 ―PCRプライマー設計編―
6.1 はじめに
6.2 フュージョン・プライマーの作成にあたって
6.3 MiSeq向けのインデックス配列
6.4 MiSeq向け1stPCR用フュージョン・プライマー
6.5 MiSeq向け2ndPCR用フュージョン・プライマー
6.6 GSFLX+およびGSJunior+向けフュージョン・プライマー
6.7 IonPGM向けフュージョン・プライマー

第7章 生物群集調査 ―PCR・次世代シーケンシング編―
7.1 はじめに
7.2 PCR酵素とバッファーの選択
7.3 キメラ形成の阻害
7.4 PCR実験:MiSeq利用における1stPCR
7.5 PCR実験:MiSeq利用における2ndPCR
7.6 PCR実験:IonPGM,GSFLX+,GSJunior+
7.7 PCR産物の精製とライブラリ調製
7.8 シーケンシング
7.9 PCRレプリケート法

第8章 生物群集調査 ―バイオインフォマティクス編―
8.1 はじめに
8.2 データ解析環境の整備
8.3 FASTQファイル
8.4 次世代シーケンシング・データの前処理
8.5 ノイズを含むリードの除去
8.6 クラスタリング
8.7 キメラ配列と見なされるOTUの削除
8.8 低頻度出現OTUの除去
8.9 DNAバーコーディングによる生物同定(理論)
8.10 DNAバーコーディングによる生物同定(適用)
8.11 集計表の作成
8.12 次世代シーケンシング・データの登録

第9章 生物群集調査 ―データ準備編―
9.1 はじめに
9.2 対象分類群の絞り込み
9.3 Rのインストールとデータの読み込み
9.4 低頻度出現OTUの除外
9.5 集計表の希釈化
9.6 希釈化曲線の描画
9.7 二値データ化

第10章 生物群集調査 ―統計解析編―
10.1 はじめに
10.2 β多様性の計算
10.3 群集データの視覚化
10.4 PerMANOVA解析
10.5 環境データとの関連性
10.6 Mantelテストによる環境変数の評価
10.7 空間的自己相関

第11章 生態ネットワーク調査 ―調査計画編―
11.1 はじめに
11.2 DNAバーコーディングと生態ネットワーク
11.3 相互作用ネットワーク研究における前提の確認
11.4 調査計画とサンプル採取

第12章 生態ネットワーク調査 ―次世代シーケンシング編―
12.1 はじめに
12.2 PCRプライマーの選択
12.3 DNA実験
12.4 捕食者や宿主のデータ処理と同定
12.5 被食者や共生者のデータ処理と同定
12.6 異なる生物群(栄養段階)データの統合
12.7 種レベルの相互作用行列

第13章 生態ネットワーク調査 ―ネットワーク描画編―
13.1 はじめに
13.2 共生関係のネットワーク:Rの利用
13.3 共生関係のネットワーク:Pajekの利用
13.4 捕食-被食関係のネットワーク
13.5 栄養段階内やギルド内のネットワーク

第14章 生態ネットワーク調査 ―ネットワーク構造解析編―
14.1 はじめに
14.2 ネットワーク構造の評価:bipartiteパッケージの利用
14.3 次数分布:スケール・フリー性の有無
14.4 ネットワーク指標の有意性検定:入れ子度と相互作用特殊化度
14.5 ネットワーク指標の有意性検定:モジュール度

第15章 生態ネットワーク調査 ―各種の特性編―
15.1 はじめに
15.2 中心性
15.3 種特異性

付 録 DNA分析に関する用語解説

あとがき

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