ピペット、メスフラスコ等を用いる従来の手作業による化学分析を自動化する方法としてフローインジェクション分析法(FIA)が脚光を浴びている。FIAでは樹脂製細管中を流れている液体(キャリヤーまたは反応試薬液)に試料注入器を用いて一定量の試料を注入し、下流で検出・測定する。極めて簡単な装置・手法であるが、再現性のよい高感度な測定を行うことができる。しかも特別な熟練や経験も必要としない。本書共著者は、FIA発展の初期からこれまで30数年間、自ら装置組立て、改良等を行い、先端的な幅広い研究を進めてきた。その豊富な経験とノウハウそして最新の情報を含んだFIAのバイブルとも言える書となっている。本書では、FIAの原理と原則、装置の組立、実際的応用例などについて6章にわたり詳しく、わかりやすく説明されている。これからFIAを始めたい人にとっても、自分で装置を組み立てることができるように装置構成の原理、必要なパーツ等について豊富な写真、図表を用いて分かりやすく解説されている。すでに始めている人にとっては、装置トラブルの解決や新規な手法開発にも大いに役立つ内容である。副題の関連技術としては、特に最近のIT技術を取り込んだコンピュータ制御流れ分析技術も詳しく解説されている。参考文献も豊富(280)で、研究者にとっても有用な情報源である。付録には流れ化学分析の関連情報、Q&AのFIA解説や、最近JIS化された流れ分析JIS K0170:2011(流れ分析法による水質試験法)、JIS K0102:2013(工場排水試験方法)についても紹介されている。
Chapter1 フローインジェクション分析法(FIA)と液体流れ化学分析法(FCA)
Chapter2 FIAを基盤とするFCAの新しい展開
Chapter3 FCAおよび関連システムの基本構成と装置組み立て
Chapter4:FCAにおける検出法:特徴,利点および実際例
Chapter5:FCAで用いられる化学分析の前処理および前処理装置と技術
Chapter6:FCA関連技術の化学分析への応用
付録1 FCAによる化学分析に関連する情報
付録2 FCA を快適に行うために―FCAにおけるQ&A