相対論入門
―時空の対称性の視点から―
読者が基礎的な力学、電磁気、微分積分と線形代数を学んでいることだけを前提に、30題の例題を通して一歩ずつ学んでいく。
1章は現代の物理でもっとも重要な概念である対称性について学び、ニュートン力学、特殊相対論、マクスウェル方程式、一般相対論を対称性という観点から理解できるようになるための準備を行う。2章では、ローレンツ変換をキーワードとして特殊相対論を学んで行く。第3章では、ベクトル解析の復習をしながら、マクスウェル方程式の構造を調べ、ローレンツ変換との関係を学ぶ。第4章では、リーマン幾何学を簡単な例から始めて、リーマンテンソルやリッチスカラーが計算できるように訓練をする。第5章ではアインシュタイン方程式がどのように構成され、どのように解かれるのかを例題で学んでいく。具体例としてシュバルツシルト解を求め、ブラックホールがそこに現れることを見る。第6章では宇宙論の発展の概略を学び、重力波、フリードマン方程式を例題で理解しながら、宇宙論の学習の準備をする。
各章の始めに「まとめ」を置いてその章の内容を説明し、例題には「解答」のまえにまず「考え方」を置いた。読者の意欲持続の助けになるように、アインシュタインやその周りの人たちの逸話や写真も記載している。
「専門家をうならせる」ことではなく、「読者が相対論を理解する」ことを最優先として執筆された本であり、読者が自ら手を動かして、無理なく相対論が学べる演習書となっている。
例題1【ニュートン方程式と対称性】
例題2【直交行列】
例題3【ガリレイ変換と不変性】
2 特殊相対性理論
例題4【ローレンツ変換の不変量】
例題5【エネルギーと運動量】
例題6【実験室系と重心系】
例題7【速度の合成】
例題8【光速とローレンツ変換】
例題9【光円錐,時間的領域,空間的領域】
3 マクスウェル方程式
例題10【勾配,発散,回転】
例題11【クーロンの法則とガウス則】
例題12【電磁ポテンシャル】
例題13【電磁波】
例題14【重力ポテンシャル】
例題15【電荷保存則】
例題16【マクスウェル方程式とローレンツ変換】
4 リーマン幾何学と時空の構造
例題17【計量と基底ベクトル】
例題18【反変ベクトル・共変ベクトルと計量テンソル】
例題19【半球の計量とクリストッフェルの記号】
例題20【半球のリーマン幾何学】
例題21【測地線】
5 一般相対性理論重力と宇宙の理論
例題22【アインシュタイン方程式(1)】
例題23【一般相対論における測地線方程式】
例題24【アインシュタイン方程式(2)】
例題25【シュバルツシルト解】
例題26【GPS】
6 宇宙論と一般相対性理論
例題27【宇宙の理解】
例題28【重力波】
例題29【ロバートソン・ウォーカー計量】
例題30【フリードマン方程式】
付録A 付録特殊相対性理論の基本原理の原文
付録B 関連図書
付録C 発展問題略解