方程式が織りなす代数学
なお、付記IIとして「数学の三相」という小論が付けられている。これは現場のひとりの数学者が行っている数学の営みについての現象学といったものであり、「数学ってなんだ?」という論議に一石を投じ、活気をもたらそうとする仕掛けである。
1. 古代
2. イスラームの代数学
3. 輝けるイタリア・ルネサンス
4. ヨーロッパにおける展開―記号代数の成立
5. ニュートンと代数学
6. 18世紀における展開―代数学の基本定理と代数方程式の理論
7. アーベルとガロア
8. 代数的構造について
第I章 代数方程式
1. 根の公式(その1:1次と2次)
2. 雉兎問題(つるかめ算)
3. 連立1次方程式
4. 負の数,十進小数
5. 2次方程式(その1:中国)
6. 2次方程式(その2:バビロニア)
7. ピュタゴラスの三つ組
8. 3次方程式(古代ギリシャ)
9. 根の公式(その2:3次)
10. 4次方程式の解法
第II章 多項式と数の四則演算
1. 多項式(整式)の除法
2. 1次と2次の場合
3. 数体
4. 数体の例
4-1 2次体
4-2 体の例
4-3 方程式X 4+1=0
5. 3次の場合
5-1 純3次体
5-2 巡回3次体
5-3 3次多項式の最小分解体(一般の場合)
6. 「代入」と環の準同型写像
第III章 数
1. 自然数
2. 三角数と四角数
2-1 三角数
2-2 四角数
3. 素数
4. 整数環Z
5. 有理数
6. 2次無理数
6-1 算術の基本定理の応用
6-2 量に関する「ユークリッドの互除法」
7. 代数的数
8. 実数
8-1 数直線
8-2 角と無限小
8-3 実数体Rの諸性質
8-4 奇数次代数方程式の実数根
9. 複素数
第IV章 線形代数
Part 1 線形空間
1. 曲がっていない空間
2. 線形空間
3. 極小生成系と次元
4. 次元が確定すること
5. 次元公式
Part 2 線形写像と行列
6. 線形写像とそのグラフ
7. 線形写像の核と像と次元公式
8. 線形写像のデータ化
9. 線形写像の合成と行列の積
10. 正方行列の環
Part 3 行列式とその応用
11. 連立1次方程式とその行列式
11-1 1元1次方程式
11-2 2元連立1次方程式
11-3 3元連立1次方程式
12. 行列式
13. 行列の性質
14. 行列式の展開式と行列式の特徴づけ
15. 行列式の行に関する性質
16. 余因子行列と逆行列
17. 連立1次方程式の理論
18. 正方行列の固有多項式
第V章 代数学の基本定理
1. 代数学の基本定理
2. 対称式についての基本定理
3. 多項式の最小分解体
4. 係数体の同型写像による多項式環の同型写像の構成
5. 代数学の基本定理の証明の概略
第VI章 ガロアの理論
1. 代数方程式の構造について
2. 3次方程式の場合
3. 対称式の場合
3-1 対称群
3-2 対称群Sn のK (x1, x2, ..., xn)への作用
4. 拡大体,部分体,拡大次数
5. ガロアの基本定理,その1
6. ガロアの基本定理,その2
7. 有限群について
8. ガロアの基本定理,その3
9. 代数方程式がいくつかの冪根を用いて解かれるための条件
9-1 アーベルの判定条件
9-2 アーベル群
9-3 可解群
10. 5次以上の一般の代数方程式は冪乗根では解けない
11. 有限体について
11-1 標数と素体
11-2 フェルマの定理とその拡張
11-3 有限体の自己同型群
第VII章 ガロアの逆問題から
1. ガロアの逆問題
2. ヒルベルトの「既約性定理」とその応用
3. 3次の場合
3-1 3次の生成的多項式
3-2 3次の場合の降下生成性
3-3 単拡大としての表示
3-4 同型問題
4. ネーターの問題
5. 生成的多項式
付記I 代数系の公理
1. 群
1-1 加群
1-2 乗法群
1-3 群の準同型写像と正規部分群
2. 環とイデアル
2-1 環
2-2 イデアル
2-3 環の準同型写像と剰余環
3. 体
付記II 数学の三相
1. 序
2. プラトン主義と人間主義
3. 有限体の取り扱いに関するガウスとガロア
4. クンマー,クロネッカー,デデキント
5. 代数学の基本定理へのガウスの第2証明
6. 負の数と複素数
7. 量の比
参考文献