微生物の生態学

微生物の生態学
著者 日本生態学会 編・ 大園 享司 担当編集委員・ 鏡味 麻衣子 担当編集委員
分野 生物学・生物科学  > 生理・生態学
シリーズ 生物学・生物科学  > シリーズ 現代の生態学 全11巻 11
発売日 2011/03/15
ISBN 9784320057395
体裁 A5・276頁
定価 3,300円 (本体3,000円 + 税10%)
  • この本の
    内容
  • 目次
微生物は地球上で最初に生まれた生命体であり、生態系において分解、寄生、相利共生などユニークな役割を担っている。微生物は、有機物・無機物の代謝を通じて生態系の物質循環を推進すると同時に、植物や動物との相互作用を通じて、生態系における生物多様性の創出・維持に深くかかわっている。
 しかし微生物は、これまでの生態学のテキストのなかで「ブラックボックス」として扱われることが多かった。微生物は「生態系における分解者」、「植物に害を及ぼす寄生者」、「共生的な養分吸収を担う菌根菌」などといったトピックにおいて個別的・記載的に扱われるに過ぎなかった。微生物の世界を、生態学的な観点から理解しようという試みはあまり進んでこなかったといえる。
 微生物生態学は、このような微生物の群集にみられるパターンや、遺伝的な構造および機能を理解しようとする学問分野である。微生物生態学は、様々な研究手法を開発・応用しながら発展してきた。特に近年では、生態学のなかに分子生物学的手法が浸透してきたことで、微生物生態学と生態学とのギャップは埋まりつつある。「ブラックボックス」の中身が解析されつつあるのだ。
 こうして近年では、微生物の種多様性や機能的な多様性が解明されはじめている。野外や室内での研究結果に基づいて、微生物の個体群動態や群集の構造および機能に関する新知見が集積している。また生態系という視点から、様々な機能を担う微生物の生態的な特性と、植物群集の動態や生態系の物質循環における微生物の役割が実証的に明らかになりつつある。さらに、系統学・進化学の研究成果に基づいて、生物進化の歴史における微生物の位置づけに関する新展開も起こっている。
 本書は、このような微生物生態学のフロンティアを集大成し、展望することを目的として編纂された。これまで想像することすら困難であった微生物の、新しい、そして豊かな世界が、いまこの瞬間にも明らかにされつつある。本書では、新進気鋭の研究者に執筆を依頼し、おもに2000年以降に発表された、微生物生態学の最新の知見を紹介・解説することに主眼をおいた。
 本書の構成は大きく4つに分けられる。微生物生態学の基礎知識(第1、 2章)、微生物の多様性(第3、 4、 5、 6章)、生物間相互作用(第7、8、9、10章)、微生物の機能(第11、12、13、14章)の4つである。
 第1章では微生物の生態を学ぶ上で必要な基本的な項目について簡潔に説明する。つづく第2章では、近年の微生物生態学の発展を支えてきた分子生物学的手法について概説する。
 第3~6章では、微生物の多様性を紹介したい。第3章では、生物界における菌類の位置づけの変革について概説する。熱帯の菌類(第4章)、鞭毛菌類(第5章)および辺境の微生物(第6章)を例に、微生物の種の多様性や機能的な多様性をみていく。
 第7、8、9、10章では、微生物と他の生物との相互作用に関する新しい知見を解説する。第7章では、共生菌、病原菌と植物との相互作用について紹介する。動物との相互作用として、昆虫(第8章)、ウシやヒトの腸内(第9章)および土壌動物(第10章)を例に紹介する。
 さらに、「生態系」という視点から、物質循環において様々な機能を担う微生物の生態的な特性を概説する(第11、12、13章)。特に、陸上の分解者としての菌類(第11章)、窒素やメタンなどのガスの循環を担う細菌、古細菌(第12章)、および海洋の生産者としての細菌類(第13章)に焦点を当てる。最後に、集団生物学という視点から、微生物の生態の根本にあるメカニズムが、数理モデルにより一般化できることを、動物や植物の生態と比較しながら紹介する(第14章)。
(まえがきより)
微生物生態学の基礎知識
第1章 生態学からみた微生物の世界(大園享司・鏡味麻衣子)

第2章 微生物生態学における分子生物学的手法(小島久弥・広瀬 大)

微生物の多様性
第3章 分子系統解析と化石記録から紐解く菌類多様化のみちすじ(白水 貴・高松 進)

第4章 熱帯林における菌類の生態と多様性(山下 聡・大園享司)

第5章 鞭毛菌類の多様性と生態系機能(稲葉重樹・松井宏樹・鏡味麻衣子)

第6章 辺境の微生物(中井亮佑・長沼 毅)

生物間相互作用
第7章 共生菌・病原菌との相互作用が作り出す植物の種多様性(谷口武士・大園享司)

第8章 昆虫の共生微生物:その多様性と生態(菊池義智)

第9章 腸内微生物の生態(本郷裕一)

第10章 土壌動物と微生物の相互作用:その多様性と生態系機能(中森泰三・長谷川元洋)

微生物の機能
第11章 植物リター分解菌とブナ林の土壌分解系(深澤 遊・大園享司)

第12章 窒素サイクル,メタンサイクルに果たす微生物の役割(村瀬 潤)

第13章 細菌群集が支える海洋物質循環(横川太一)

第14章 微生物の集団生物学(三木 健)

索引

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