論理・集合と位相空間入門
前半では、論理・集合について解説する。まず命題論理では真偽表を用いて論理語を定義し、命題(論理式)の真偽がどのようになるか説明している。初心者が戸惑いがちな論理語の意味についても、わかりやすく説明している。現代数学をマスターする上で不可欠な述語論理については、具体的な例もあげて説明している。次に集合と写像では、有限集合の間の写像も例としてあげ、読者が実際に簡単な「計算」で全単射などの概念が理解できるようにした。最後に濃度を取り扱い、濃度が等しいこと、大小関係などを理解できるよう工夫した。
後半は位相空間の入門である。まず、実数の性質からはじめて、実数全体のもつ距離空間としての性質を説明している。小中高で学んだ実数の代数的・大小関係的な性質を公理的に説明することからはじめて、実数の連続性、閉包などを述べる。次の距離空間では、最初に、距離空間の重要な例としてユークリッド空間を説明しているが、そこでは有限次元のヒルベルト空間ということを意識して、内積を導入してそこから距離を入れた。近傍、触点、内点、閉包、内部など位相的な概念を記載している。一般の位相空間では、近傍の公理と開集合の公理の同値性などを説明し、位相空間を直観的に理解できるよう構成した。最後に、コンパクト空間を取り扱う。
1.1 命題論理
1.2 述語論理
第2章 集合
2.1 集合の基本
2.2 集合族
2.3 直積
2.4 商集合
第3章 写像
3.1 写像の基本
3.2 写像の合成
第4章 濃度
4.1 濃度の基本
4.2 濃度の大小
第5章 1次元ユークリッド空間R
5.1 実数
5.2 1次元ユークリッド空間R
5.3 R上の連続関数
第6章 距離空間
6.1 Rk上の距離
6.2 距離空間
6.3 距離空間から距離空間への連続写像
第7章 位相空間
7.1 近傍の公理
7.2 開集合の公理
7.3 位相空間から位相空間への連続写像
第8章 コンパクト空間
8.1 コンパクト集合
8.2 連続写像