ソフトウェア品質工学の尺度とモデル

ソフトウェア品質工学の尺度とモデル
著者 Stephen H.Kan 著古山 恒夫 監訳富野 壽 監訳
分野 情報・コンピュータ  > ソフトウェア工学
発売日 2004/11/01
ISBN 9784320097438
体裁 B5変・448頁
定価 5,280円 (本体4,800円 + 税10%)
在庫 品切れ・重版未定
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    内容
  • 目次
近年、ソフトウェア開発においては、品質や生産性もそれ自体重要課題ではあるが、「ソフトウェア開発の工学としての成熟」こそが本質的課題であるとの認識が広まりつつある。プロセスの確立と継続的改善を目指して、いわゆるCMMやSPAといったアセスメントの手法が確立し始め、品質はもとよりさらに幅広い見地から顧客満足度を把握して組織能力を高めようという動きもようやく世界的に広がってきた。そのような中で、ソフトウェアエンジニアリングの一分野としてソフトウェア品質工学あるいはソフトウェア信頼性工学と呼ばれる分野が生まれてきている。
本書は、ソフトウェア品質工学についての基本的な理解のための書である。品質の意味するところに始まり、品質に関して既に幅広く認知されている尺度・モデルを含め、そこで用いられるさまざまな測定技術や分析手法について網羅している。また、先端的ソフトウェア開発組織での利用事例も数多く示される。
おりしも我が国においてもソフトウェアの重要性に鑑み、ソフトウェア開発の基盤技術に関する現場の実状に深く想いを致した、国を挙げての戦略的取組みの必要性が声高に取りざたされるようになった。本書の発行時点では、実証的研究を1つの軸にしたソフトウェアエンジニアリングセンターが、IPA(情報処理機構)の下に発足していることであろう。そこでは、要求工学や設計・開発の課題に対する取り組みと肩を並べ、むしろそれらの活動の基本となる、品質や生産性を含めた現場の実態の定量的把握を助ける枠組みや、基盤の研究、ベースライン・ベンチマーク研究に基づく先進的ソフトウェア開発のベストプラクティス作りとその普及努力が、長期にわたり継続的に行われるはずである。これらのテーマがいずれも尺度とモデルなしには達成できないことは言うまでもないであろう。本書はこのような「時」にふさわしい1冊であると確信する。
一方、高度ソフトウェア技術者の育成も業界と産業界にとって緊急の重要課題であり、同じIPA下のITSS(情報技術スキル標準)センターの下で産学協同の動きが進み始めている。今後の人材育成が企業のみならず大学でも重要になることを考えると、本書はまた、既に外国における前例が示すように、大学における情報工学の基礎教材の一部としての利用も大いに価値をもつだろう。 (監訳者の言葉より抜粋)
[原著StephenH.Kan:MetricsandModelsinSoftwareQualityEngineering、2ndEdition、Addison-Wesley、2003]
(発行元:(株)構造計画研究所、発売元:共立出版)
第1章:ソフトウェア品質とは?
1.1 品質:一般的な見方
1.2 品質:専門家の見方
1.3 ソフトウェア品質
1.4 総合的品質管理
1.5 要約
参考文献

第2章:ソフトウェア開発プロセスモデル
2.1 ウォータフォール開発モデル
2.2 プロトタイプアプローチ
2.3 スパイラルモデル
2.4 反復開発プロセスモデル
2.5 オブジェクト指向開発プロセス
2.6 クリーンルーム手法
2.7 欠陥予防プロセス
2.8 プロセス成熟度の枠組みと品質標準
2.9 要約
参考文献

第3章:測定理論の基礎
3.1 定義,運用的定義,測定
3.2 測定のレベル
3.3 基本測定
3.4 信頼性と妥当性
3.5 測定誤差
3.6 相関についての留意
3.7 因果関係の評価基準
3.8 要約
参考文献

第4章:ソフトウェア品質尺度概観
4.1 製品品質尺度
4.2 プロセス品質尺度
4.3 ソフトウェア保守の尺度
4.4 尺度プログラムの例
4.5 ソフトウェア工学データの収集
4.6 要約
参考文献

第5章:7つの品質ツールをソフトウェア開発へ応用する
5.1 石川の品質7つ道具
5.2 チェックリスト
5.3 パレート図
5.4 ヒストグラム
5.5 実績図
5.6 散布図
5.7 管理図
5.8 特性要因図(魚の骨図)
5.9 関連図
5.10 要約
参考文献

第6章:欠陥除去率
6.1 文献のレビュー
6.2 欠陥除去率に関する詳細な検討
6.3 欠陥除去率と品質計画
6.4 フェーズ欠陥除去のコスト効果
6.5 欠陥除去率とプロジェクト成熟度レベル
6.6 要約
参考文献

第7章:Rayleighモデル
7.1 信頼性モデル
7.2 Rayleighモデル
7.3 基本的仮定
7.4 実装
7.5 信頼性と予測妥当性
7.6 要約
参考文献

第8章:指数分布と信頼度成長モデル
8.1 指数形モデル
8.2 信頼度成長モデル
8.3 モデルの仮定
8.4 モデル評価のための基準
8.5 モデル化のプロセス
8.6 テスト圧縮要因
8.7 時間軸上の総欠陥分布の見積り
8.8 要約
参考文献

第9章:品質管理モデル
9.1 Rayleighモデルの枠組み
9.2 コード統合パターン
9.3 PTRサブモデル
9.4 PTR発生とバックログ予測モデル
9.5 信頼度成長モデル
9.6 モデル評価の基準
9.7 プロセス内尺度と報告
9.8 直交欠陥分類
9.9 要約
参考文献

第10章:ソフトウェアテストのプロセス尺度
10.1 ソフトウェアテストのプロセス尺度
10.2 プロセス尺度と品質管理
10.3 ベンダ開発のソフトウェアを評価するための受入れテストの尺度
10.4 製品が出荷に耐えうる品質であるかをどのように判断するか?
10.5 要約
参考文献

第11章:複雑度尺度とモデル
11.1 コード行数
11.2 Halsteadのソフトウェア科学
11.3 循環的複雑度
11.4 シンタックスの構成要素
11.5 構造尺度
11.6 実際のモジュール設計尺度の例
11.7 要約
参考文献

第12章:オブジェクト指向プロジェクトの尺度と教訓
12.1 オブジェクト指向の概念と構成
12.2 設計と複雑度尺度
12.3 生産性尺度
12.4 品質と品質管理尺度
12.5 OOプロジェクトからの教訓
12.6 要約
参考文献

第13章:可用性尺度
13.1 システム可用性の定義と測定
13.2 信頼性,可用性,欠陥率
13.3 品質改善のための顧客先機能停止データの収集
13.4 システム停止と可用性のためのプロセス尺度
13.5 要約
参考文献

第14章:顧客満足度の測定と分析
14.1 顧客満足度調査
14.2 満足度データの分析
14.3 会社に対する顧客満足度
14.4 どのくらい良ければ十分か?
14.5 要約
参考文献

第15章:プロセス品質アセスメントの実行
15.1 準備フェーズ
15.2 評価フェーズ
15.3 要約フェーズ
15.4 提言とリスク軽減策
15.5 要約
参考文献

第16章:ソフトウェアプロジェクトのアセスメント
16.1 監査とアセスメント
16.2 ソフトウェアプロセス成熟度アセスメントと
ソフトウェアプロジェクトアセスメント
16.3 ソフトウェアプロセスアセスメントサイクル
16.4 ソフトウェアプロジェクトのアセスメント手法
16.5 要約
参考文献

第17章:ソフトウェアプロセス改善においてなすべきこととなさざるべきこと
17.1 プロセス成熟度の評価
17.2 プロセス能力の評価
17.3 段階的表現対連続的表現――宗教論争
17.4 レベルの評価だけでは十分ではない
17.5 照準政策の確立
17.6 急がば回れ
17.7 単純さを保つ――あるいは複雑化させない
17.8 プロセス改善の価値を測る
17.9 プロセスの実行の測定
17.10 プロセス遵守度の測定
17.11 到達点だけでなくその過程を楽しむ
17.12 要約
参考文献

第18章:ファンクションポイント尺度によるソフトウェアプロセス改善の測定
18.1 ソフトウェアプロセス改善の手順
18.2 プロセス改善の経済性
18.3 アクティビティレベルでのプロセス改善の測定
18.4 要約
参考文献

第19章:おわりに
19.1 データ品質管理
19.2 ソフトウェア尺度プログラムを始めるには
19.3 ソフトウェア品質工学モデル
19.4 統計的プロセス管理
19.5 測定とその将来
参考文献

付資料:プロジェクトアセスメント 質問票

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