この本は「流れの力学」と題している。具体的には「水理学」と「流体力学」の本である。水理学は通常学部の1、2年生程度から、流体力学は学部の2、3年程度で始める。この時学生は高校や学部教養課程の物理と数学を履修している段階である。力学で言えば質点の力学や剛体の力学を理解している段階であろう。一方、水理学とか流体力学の先生は優秀な方々が多いから、高度の偏微分などの数学を駆使して系統的に力学体系を講義するきらいがある。しかし、学生と教える側の姿勢との間にはかなりのギャップがある。教養教育での物理学・力学から専門教育における水理学・流体力学へ進むにはかなりの頭の切り替えが必要である。この本は、学生が一般教育の力学から専門教育の水理学・流体力学へスムースに頭の切り替えができるような教科書とすることを試みている。
I 基礎編
第1章 はじめに
第2章 水圧
第3章 質点の力学から流れの力学へ
第4章 摩擦の無視できる開水路の流れ
第5章 エネルギー損失のある管路の流れ
第6章 管路の非定常流れ:水撃圧とサージング
第7章 損失のある開水路の定常流れ
第8章 せき・ゲート・オリフィスの流れ
第9章 流れの中におかれた物体にかかる力
第10章 次元解析と相似則
第11章 地下水の流れ
II 発展編
第12章 数学の復習・準備
第13章 完全流体の力学
第14章 波の力学
第15章 粘性流体の流れ
第16章 境界層の流れ
第17章 乱流