生体防御

生体防御
著者 日本生化学会 編集・ 谷口 克 編・ 谷口 維紹
分野 生物学・生物科学  > 免疫・がん・ホルモン  > 免疫
シリーズ 生物学・生物科学  > シリーズ・バイオサイエンスの新世紀 全15巻 13
発売日 2001/01/30
ISBN 9784320055643
体裁 248頁
定価 4,290円 (本体3,900円 + 税10%)
  • この本の
    内容
  • 目次
免疫学は生命の基本現象のなぞ解きに最も貢献した学問の一つである。生体防御としての免疫系には獲得免疫系と自然免疫系が存在することが明らかにされたが、これまでの免疫系の理解は、いわゆる獲得免疫系の理解であって、自然免疫系に関してはほとんど理解されていなかった。また獲得免疫系は多くの場合、タンパク質を抗原としているのに対して、生体の環境を取り巻く抗原は糖脂質、脂質などさまざまである。これまでの免疫学では取り扱われなかった問題の解決が、いま問われている。どのような生命基本原理がその中に隠されているのか。またこれまでの免疫系とどのようにかかわっているのか、その興味は尽きない。
 免疫に関するもう一つの問題は、免疫の生命原理が他の生命科学領域の重要問題にどのくらい貢献できるかである。もちろん、リンパ球受容体遺伝子再構成によって多様性を獲得するという驚嘆すべき免疫メカニズムの発見だけでなく、受容体の架橋によってシグナルが伝達されるメカニズムのアイディアは抗原抗体複合体が生物活性を持つという発想がヒントになったし、ナノグラムレベルの物質を同定するのに生物活性を利用してついにはその構造決定までなしとげるなど現代生命科学の基本問題の多くが、免疫研究から提起されたことは、免疫系がいかに生命科学に普遍的な問題を包含しているかという証拠でもある。
 本書は、免疫研究に携わる人々にとっては、複雑でしかも細分化して断片的にしか理解できなくなった免疫現象を系統的に考えるよすがとし、免疫研究の専門外の研究者にとっては生命科学の基本原理探求の一助となれば幸いである。
第1章 免疫系の発達―自然免疫系と適応免疫系の連携
? 自然免疫系と適応免疫系
? ショウジョウバエにおける自然免疫系
? Toll-like receptor(TLR)の同定
? TLRファミリーの自然免疫系における役割
? 自然免疫系と適応免疫系の相互作用

第2章 抗原受容体遺伝子の構造と発現
? 抗原受容体の構造
? 抗原受容体遺伝子の構造
? 抗原受容体遺伝子多様化の分子機構
? DNA再構成による抗原受容体遺伝子の発現の活性化
? V(D)J組換えの分子機構
? リンパ細胞の分化とV(D)J組換えの制御
? 体細胞突然変異
? 免疫グロブリンH鎖のクラススイッチ

第3章 リンパ球の分化と分化誘導組織
? リンパ球分化誘導組織
? リンパ球の運命決定と系列分化

第4章 リンパ球亜群とその機能調節――NK細胞とNKT細胞
? 免疫細胞の機能分化と進化
? NK細胞
? NKT細胞
? NKT受容体とCD1dリガンドの構造
? NKT細胞とNK細胞の分化

第5章 MHC分子群による抗原提示の機構
? MHC Iを介する抗原提示
? MHC IIを介する抗原提示
? MHC Ibを介する抗原提示

第6章 Tリンパ球における分化と活性化のシグナル伝達
? T細胞の抗原認識
? T細胞受容体複合体
? 2種のチロシンキナーゼによるT細胞初期活性化
? シグナルカスケード
? アダプター分子によるシグナル分岐
? チロシンキナーゼの制御
? 抗原ペプチドによる活性化制御
? 活性化の負の制御
? 膜ドメインと免疫シナプス
? T細胞分化とプレTCR複合体
? ポジティブ/ネガティブ選択のシグナル伝達
? CD4/CD8細胞経路の選択のシグナル系
? T細胞の機能分化のシグナル制御

第7章 Bリンパ球における分化と活性化のシグナル伝達
? B細胞分化
? BCR複合体からのシグナル伝達様式
? これからの進展

第8章 免疫系細胞によるアポトーシス
? キラー細胞による標的細胞破壊のメカニズム
? エフェクター分子と疾患との関連
? アポトーシスを起こした細胞の運命

第9章 先天性免疫不全症の分子生物学
? リンパ球異常を特徴とする免疫不全症
? 食細胞機能に異常を呈する免疫不全症
? 免疫系以外にも異常を呈する複合病

第10章 HIVとAIDS
? HIVが引き起こす臨床的免疫異常
? CD4T細胞減少の機構
? HIV感染におけるTh1からTh2への変移
? ケモカインと免疫
? LTNP(long term non progressor)における免疫
? HIVに対する宿主側の応答
? 多剤併用療法による免疫系の回復

第11章 インターフェロンと生体防御
? IRFファミリー転写因子
? ウイルス増殖抑制におけるIFNの役割および細胞内分子機構
? ウイルスによるI型IFNの発現誘導
? 免疫系におけるIFNの役割

第12章 生体防御系におけるサイトカインの作用機構
? 免疫応答
? 免疫応答とサイトカイン
? サイトカインの機能的特徴
? サイトカインのシグナル伝達
? STATファミリー
? STATファミリーのノックアウトマウス
? STAT3のコンディショナルノックアウト
? サイトカインシグナル伝達とSTAT

第13章 ウイルス感染と生体防御
? 感染阻止免疫と中和抗体
? 中和モノクローナル抗体の作製とチンパンジーでの感染抑制実験
? HIVクワシスピーシスとその中和抗体
? 発症阻止免疫と細胞傷害性T細胞
? HIV感染症治療における免疫療法の可能性

第14章 黄色ブドウ球菌の感染と生体防御
? ヒトの皮膚に住むブドウ球菌
? 感染防御に働く自然免疫
? S. aureusは化膿性疾患を起こす.
? 黄色ブドウ球菌は感染に役立つ表層タンパク質をもっている.
? より強毒なS. aureusが生まれている.

第15章 がんと免疫
? がん細胞に対する免疫応答
? がん免疫にかかわる免疫細胞
? 免疫系の標的となるヒトがん抗原
? 腫瘍エスケープ機構

第16章 免疫系の破綻――自己免疫疾患
? 免疫学的寛容(トレランス)のメカニズム
? 自己免疫疾患発症のメカニズム
? 自己免疫モデルマウスにおける知見

コラム
大きなファミリーを形成するToll-like receptor
Complementation assay
CD1を介する抗原提示
トランスロコン(translocon)
TNFファミリー
ヒト免疫不全症と,ノックアウトマウスにおける表現型の相違
コンディショナルノックアウト
新しいがんの免疫療法
HLAテトラマー

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