生体ナノマシンの分子設計

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バイオテクノロジー、情報技術(IT)と並んで最近テレビや新聞でも話題になっているのがナノテクノロジーである。人類が文明の中で創り出してきた機械は、メートルのサイズからセンチメートル、ミリメートルへとだんだんと細かく精緻になってきた。パソコンやテレビゲームの心臓部であるCPUの内部ではマイクロメートルを越える精度の加工が施されるようになり、また走査トンネル顕微鏡を応用して金属原子の一つ一つを思いのままに動かすことができる技術も登場した。フラーレンやカーボンナノチューブなどのナノメートルの太さを持つ新たな材料も注目を集めている。ナノメートルサイズの技術が21世紀の産業を支える新たな技術として期待されるのは当然であろう。
実は生物は何十億年も前から、このナノメートルサイズの世界でのノウハウを蓄積してきている。マイクロメートルのサイズの細胞で、ナノメートルやこれ以下のサイズの分子や原子・イオンなどを扱うためには、ナノメートルの大きさの道具がどうしても必要であった。特定の分子や原子だけを強力に結合し、特定の反応だけを迅速に起こさせるために、生物が長い進化の中で育て上げたナノメートル技術の粋が生体ナノマシンである。
生体ナノマシンの設計には、「検証」あるいは「評価」という過程が重要な位置を占める。より確実な設計をめざすためには、設計されたマシンの形や性能、働きをなるべく多面的に調べて、設計の効果を検証することが必要になる。そして、なぜそのような結果になったのかを、より深く探る研究に必然的につながることになる。これは、生体ナノマシンに関する科学そのものであり、現代の生物物理学の最も重要な研究分野の一つである。検証の段階を「設計」に含めて考えるならば、現代生物物理学のあらゆる知識や技術が、生体ナノマシンの分子設計に生かされることになる。
序章 生体ナノマシンとは何か
1 生体ナノマシンの物理的特徴
2 進化する生体ナノマシン
3 生体ナノマシンの有用性
4 生体ナノマシンを設計する

第1章 生体ナノマシン分子設計の戦略
1-1 タンパク質立体構造のデザイン
1-2 物理的摂動法による高機能化
1-3 分子進化の方法

第2章 生体ナノマシン設計の最前線
2-1 酵素反応の合理的分子設計
2-2 人工タンパク質の合理的設計
2-3 ペプチド立体構造の設計
2-4 抗体の分子設計
2-5 イオンチャネルの設計―分子工学からのアプローチ―
2-6 リボザイムの分子設計
2-7 進化分子工学による酵素の高安定化

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