生物物理学とはなにか

―未解決問題への挑戦―

生物物理学とはなにか
著者 日本生物物理学会 シリーズ・ニューバイオフィジックス刊行委員会 編・ 曽我部 正博 担当編集委員・ 郷 信広 担当編集委員
分野 生物学・生物科学  > 生物物理学
シリーズ 生物学・生物科学  > シリーズ・ニューバイオフィジックスII 全10巻 10
発売日 2003/09/25
ISBN 9784320055490
体裁 308頁
定価 4,180円 (本体3,800円 + 税10%)
  • この本の
    内容
  • 目次
生物物理学は、生命のあらゆる現象に興味をもつたいへん欲張りな学問である。生命科学における20世紀最大の成果は、遺伝子DNAの発見である。この発見によって、生命の起源、進化、細胞・個体のきのう、疾病の機構など、生命の基本的機能・機構の背後に遺伝子とタンパク質という明瞭な物質の働きがあることが明らかになり、今日の分子生物学の隆盛がある。しかし、すべての遺伝子とコードされるタンパク質の正体がわかればすべての問題は解決するのであろうか?残念ながらそう簡単ではない。
 本巻の主旨は、生物物理学の現在の達成点を位置づけ、先のゴールに近づくために近未来に何をなすべきかを一線の研究者にできるだけ素直に吐露してもらおうということである。
 第1章は、研究者の本音を俯瞰することによって、「生物物理学とはなにか」という疑問に答えようという試みである。
優れた研究は普遍性や再現性をもつとともに、その研究者しかなしえない個人性、独創性、芸術性を内包している。基礎科学が個人の営為に基づくことは言うまでもないが、一方で研究の学際化と巨大化によって、費用のかかるプロジェクト型研究チームに比重が傾きつつあるのも事実である。第2章では、これらの問題を分析する中で総体としての生物物理学の将来を考察する。
 第3章では、研究者に、この学問分野と個人としてのかかわりを自由に書いていただくことによって、その秘密の香りを読者に嗅いでもらおうという主旨である。
第1章 生物物理がめざすもの
1-1 生物物理は何をめざすか―生物機械論と生物らしさ
1-2 基本高分子:タンパク質
1-3 基本高分子:核酸・ゲノム・遺伝子
1-4 細胞機能:受容体―明順応した時の感度と雑音の問題
1-5 細胞膜シグナリングシステムの動作機構―1分子生物物理学によるアプローチ
1-6 エネルギー変換:1分子ナノテクノロジーと分子モーター
1-7 エネルギー変換:ATP合成酵素
1-8 高次機能:脳の物質系のメタ学習モデル
1-9 高次機能:発生を制御する原理とは
1-10 理論生物学:バイオインフォマティクス
1-11 理論生物学:理論生物物理学

第2章 生物物理学を支えるもの
2-1 日本の生物物理学の歴史と展望
2-2 世界の生物物理学
2-3 生物物理学の研究体制
2-4 生物物理学の研究と教育―進化学論と実践的学問のすすめ
2-5 生物物理学への期待―新しい機能生物学を目指して

第3章 生物物理学と私
3-1 生物物理とはなにか?―個人の研究史(べん毛モーターに生きる)
3-2 生物物理とわたし―生物物理の極意は面白さ
3-3 生物物理学の「追っかけ」の一人として―生物物理は異星人の集まり
3-4 私の生物物理学―生物物理はHowの世界
3-5 ゆらぐ生物世界―進化の仕組みを内蔵か
3-6 私にとっての生物物理
3-7 タンパク質に訊いてみる
3-8 生物物理学―受け継ぐ革命のスピリット
3-9 ヘモグロビンの研究に生物物理の限界を見る
3-10 生物物理学と私―物理から生物学へそしてまた物理学へ
3-11 試験管の世界と細胞の世界―細胞のスケールで考える

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