図説竹工芸
―竹から工芸品まで―
科学の進歩につれて良いものができても、自然物の良さがまた見直されてくる。中でもすぐれた性質を持つ竹は、利用の面は広大で、その工芸品もまた限りなく多いが、その技術を体系的にまとめたものはない。昭和8年竹芸を志し、昭和23年に出した「図説竹細工の実際」は、その意を尽くすことは出来なかった。が、その後もあとう限りつとめて、これをまとめたのが本書である。
“竹はその心になって加工せよ”といわれるように、竹の性質を無視しては良いものは生まれない。すなわち、
1.繊細で軽快さは竹の生命であるが、精巧になればなるほど健康さを失うともいわれ、その軽快さの中にいかにして重厚さをもたせるか、
2.竹の張り・たわみ・質感など、竹の持ち味をどのようにして作品に発揮するか、
3.竹の弾力性を生かした力強い構成はいかにするか、……等々。
このような見地にたって、竹のもつ野趣と力感があますところなく発揮され、竹でなくては味わえない風韻をもつ、表情豊かな作品の構成に向かって、いそしもうとするときに、本書がいささかでもお役に立てば幸いである。
第2章 竹材
第3章 竹材の調達
第4章 材料(部材)への加工(基本工作法)
第5章 製品への構成
第6章 着色と仕上げ
第7章 ざる目編みの竹工
第8章 四つ目編みの竹工
第9章 いかだ編みの竹工
第10章 菊底編みの竹工
第11章 あじろ(網代)編みの竹工
第12章 六つ目編みの竹工
第13章 輪口編みの竹工
第14章 くもの巣およびその他の編み方の竹工
第15章 その他の竹工