景観生態学

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著者 日本景観生態学会
分野 生物学・生物科学  > 生理・生態学  > 生態学
生物学・生物科学  > 生理・生態学  > 環境・自然保護
土木工学  > 土木工学一般
建築学  > 建築学一般
建築学  > 都市工学
発売日 2022/03/10
ISBN 9784320058347
体裁 A5・272頁
定価 3,520円 (本体3,200円 + 税10%)
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    内容
  • 目次
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自然の過程や
風土を活かした、
国土・地域計画のために

40名の第一線の研究者が、
①基礎理論と手法
②森林、農村、水辺、海辺、都市の景観生態
③地域社会への展開
をわかりやすく解説!

[日本景観生態学会創立30周年記念出版]


 景観生態学は、複数の生態系の相互作用系として存在している景観(ランドスケープ)の諸特性を、様々なスケールから空間階層的に解明しようとする学問分野である。「地域を基盤とする生態系・生物多様性の保全管理」の基盤として、国土・地域計画に役立てられる。自然資本としての生態系を活用した地域創生や地域防災、また、ポストコロナ社会での暮らし方の見直しが進むなか、景観生態学の考え方は極めて重要なものとなっている。
 本書は、日本景観生態学会中心的メンバー40名によって執筆された景観生態学の教科書である。第Ⅰ部「景観生態学の理論と手法」、第Ⅱ部「代表的な景観(森林、農村、水辺、海辺、都市)の構造と機能」、第Ⅲ部「地域社会への展開」の3部15章で構成されており、景観生態学の基礎、理論から応用、社会実装までの考え方を網羅した一冊である。様々な分野の第一線の研究者や技術者が、最新の知見にもとづいて平易かつ深い内容で解説している。これまでの景観生態学の教科書に比べて、日本の読者の関心の高い内容(里地里山の話など)が盛り込まれ、具体的にイメージしやすい景観を対象としており、初めてこの分野を学ぼうとする方に最適の入門書である。15章はそれぞれが独立したテキストとなっていて、「景観生態学の考え方事典」のように使用でき、興味に応じてどの章から読み進めても構わない。
 景観生態学を学ぶ人には必携の書となるだけでなく、生態学や地理学といった基礎学問領域や、造園学、建築学、土木工学などの応用学問領域の学生、研究者、そして、環境計画、地域計画、景観計画、景観デザインなどの実務に携わるコンサルタントや行政、地域で活動するNPOなどの方々にも有用なものとなっている。国土から地域レベルの自然環境保全計画、公園緑地計画などに関わる実務者や、公務員試験(森林、造園、自然環境)対策にも有用である。
 景観生態学を学ぶ人は、何かの専門(例えば都市計画学や森林科学、草地学など)をもっていて、自分の対象フィールド(例えば森林)が他の生態系(例えば農地)から受ける影響を考慮することや、それまで対象として地域(の人々)との関係に目を向けるために、景観生態学に足を踏み入れることが多いだろう。この点でも、様々な景観の特徴や地域協働を含めた管理のあり方を包括的に解説する本書の有用性は極めて大きい。

第I部 景観生態学の理論と手法

第1章 景観生態学とは(鎌田磨人)
1.1 景観生態学の概要
 1.1.1 景観生態学における「景観」の概念
 1.1.2 景観の構造・機能と景観生態学
1.2 景観生態学と社会
 1.2.1 生態系サービス
 1.2.2 自然資本
 1.2.3 景観の構造・機能・価値・サービスと地域社会の結びつき
 1.2.4 社会実装と地域づくり・地域協働
1.3 景観生態学と周辺学問領域
 1.3.1 景観の基層を理解するために
 1.3.2 景観生態学の応用 ―造園学・建築学・土木工学との接点

第2章 景観生態学の歴史(原 慶太郎)
2.1 景観生態学のはじまりと興隆
 2.1.1 景観生態学の誕生
 2.1.2 植物社会学による展開
2.2 景観生態学の2つの潮流
 2.2.1 大陸欧州の流れ
 2.2.2 北米の流れ
2.3 景観生態学の世界的展開と日本の景観生態学
 2.3.1 2つの潮流の合流
 2.3.2 日本における導入と展開
 2.3.3 これからの景観生態学

第3章 景観生態学の理論(夏原由博)
3.1 スケールとパターン
 3.1.1 スケール
 3.1.2 スケールの階層性
 3.1.3 空間パターン
 3.1.4 空間パターンの生物への影響
3.2 空間・時間的な不均質性とプロセス
 3.2.1 不均質性が生じる原因
 3.2.2 不均質性のスケール依存性
 3.2.3 攪乱
 3.2.4 レジリエンス
3.3 空間の生態学と景観生態学
 3.3.1 空間の不均質性と個体群の持続性
 3.3.2 孤立した生息・生育地に関する理論
 3.3.3 種分布モデル

第4章 空間情報の収集と分析の技術(今西純一(4.1)丹羽英之(4.2)今西亜友美(4.3,4.4)竹村紫苑(4.5))
4.1 リモートセンシングによる空間情報の収集
 4.1.1 リモートセンシングとは
 4.1.2 リモートセンシングの種類
 4.1.3 リモートセンシングの利用
4.2 地上や地表付近における空間情報の収集
 4.2.1 衛星測位システム(GNSS)
 4.2.2 UAV
 4.2.3 林内の情報収集
4.3 景観や生物に関する過去の情報の収集
 4.3.1 絵図・地図・空中写真
 4.3.2 生物標本
4.4 社会調査法に基づく人間の意識や関わり方の情報収集
 4.4.1 社会調査
 4.4.2 量的調査
 4.4.3 質的調査
4.5 GISによる空間情報の分析
 4.5.1 GISと空間情報
 4.5.2 既存の空間情報の収集
 4.5.3 GIS を用いた主な分析

第5章 風土と景観生態学(鎌田磨人(5.1-5.3)伊東啓太郎(5.4))
5.1 社会―生態系としての景観
 5.1.1 人・社会と自然との相互作用の結果としての景観
 5.1.2 人が景観に及ぼす影響
 5.1.3 景観の変化が人の価値観や意思決定に及ぼす影響
 5.1.4 景観を理解するための視座
5.2 風土・風景・景観
 5.2.1 風土
 5.2.2 風景
5.3 豊かな空間の再生・創造
 5.3.1 風土の喪失と国土空間の危機
 5.3.2 空間の履歴を読み解く
5.4 地域の風土と景観のデザイン
 5.4.1 風土の重要性を認識する
 5.4.2 風土を分析するための方法論
 5.4.3 風土を活かしたプランニングとデザインと異分野協働
 5.4.4 社会実装に向けて

第II部 景観の構造と機能

第6章 森林の景観生態(伊藤 哲(6.1,6.4)平田令子(6.2)光田 靖(6.3)深町加津枝(6.5))
6.1 森林の分断・孤立と生物多様性
 6.1.1 森林景観の構造とその変化要因
 6.1.2 小面積化・分断・孤立に伴う生物多様性の低下
 6.1.3 林縁形成による森林景観の形成
 6.1.4 林業と森林景観
6.2 林縁効果
 6.2.1 線としての林縁,幅をもつ林縁
 6.2.2 林縁効果と動物群集
6.3 人工林問題と景観生態学
 6.3.1 日本の人工林問題に対するアプローチ
 6.3.2 生態学的立地区分(ESC)に基づくゾーニング
 6.3.3 拡大した人工林のGAP 分析
 6.3.4 Eco-DRR としての人工林管理
6.4 里山の萌芽林
 6.4.1 萌芽林の成り立ち
 6.4.2 萌芽林の危機
 6.4.3 景観構造と萌芽林のこれから
6.5 森林に関する伝統的知識
 6.5.1 伝統的知識とは
 6.5.2 日本の森林に関する事例

第7章 農村の景観生態(夏原由博(7.1,7.2)内藤和明(7.3)井田秀行(7.4)増井太樹(7.5))
7.1 農村景観の構造・機能とその変遷
 7.1.1 農村景観の構造と機能
 7.1.2 農村景観の生物多様性
 7.1.3 農村景観の変化
 7.1.4 農村のランドスケープアプローチ
7.2 農村における生態系サービス
 7.2.1 生態系サービスをめぐる農業と社会の関係
 7.2.2 自然生態系から農業への生態系サービス
 7.2.3 農業生態系による周囲へのサービス
 7.2.4 農村と生物多様性保全
7.3 水田を中心とする農地景観と生物多様性
 7.3.1 代替環境としての水田
 7.3.2 水田生物への景観構造の影響
 7.3.3 環境保全型農法と水田生物
7.4 里山の資源管理と利用
 7.4.1 里山の定義と実情
 7.4.2 里山景観の成り立ちと変遷
 7.4.3 里山の資源利用の例―古民家の使用木材
7.5 半自然草原の成り立ちと管理
 7.5.1 日本の半自然草原の成り立ち
 7.5.2 草原面積の減少とその要因
 7.5.3 半自然草原の管理

第8章 水辺の景観生態(真鍋 徹(8.1,8.4)丹羽英之(8.2)比嘉基紀(8.3)深町加津枝(8.5))
8.1 水辺景観の機能と人との関わり
 8.1.1 水辺の機能
 8.1.2 水辺と人々の暮らし
 8.1.3 水辺の管理
8.2 河川流域と景観生態学
 8.2.1 河川流域と流程区分
 8.2.2 河川の攪乱
8.3 湧水と地形,その利用
 8.3.1 湧水とは
 8.3.2 河川縦断方向の地形と扇状地の湧水
 8.3.3 火山体周辺の湧水
 8.3.4 地すべり地の湧水
 8.3.5 湧水の利用
8.4 ため池のハビタット機能と保全・管理
 8.4.1 ハビタット機能 
 8.4.2 ため池の減少による影響
 8.4.3 保全・管理 
8.5 流域文化の継承
 8.5.1 流域文化と河川整備
 8.5.2 桂川(京都府)の流域文化
 8.5.3 流域文化の継承に向けて ―桂川の事例から

第9章 海辺の景観生態(松島 肇(9.1)永松 大(9.2)平吹喜彦(9.3)藤原道郎(9.4)岡 浩平(9.5))
9.1 海辺の総合的管理
 9.1.1 海岸の生態系サービス
 9.1.2 海浜の危機
 9.1.3 グリーンインフラとしての海浜
 9.1.4 総合的沿岸域管理に向けて
9.2 海岸砂丘の形成と今日の危機
 9.2.1 日本列島の海岸砂丘とその成立要因
 9.2.2 流砂系の視点
 9.2.3 砂浜と海岸砂丘の減少
9.3 水圏と陸圏をつなぐ砂浜海岸エコトーン
 9.3.1 水陸緩衝系としての海辺
 9.3.2 砂浜海岸エコトーンの形成と変遷
 9.3.3 海辺のレジリエンスの発現機構
9.4 クロマツと海岸林
 9.4.1 自然植生と海岸クロマツ林
 9.4.2 海岸クロマツ林の構造と機能
 9.4.3 海岸クロマツ林の現状と今後
9.5 砂浜の生物多様性
 9.5.1 海浜植物
 9.5.2 海浜植物と小型動物のつながり

第10章 都市の景観生態(日置佳之(10.1,10.5)森本幸裕(10.2)橋本啓史(10.3)石松一仁(10.4))
10.1 景観生態学から見た都市景観の機能
 10.1.1 景観生態学と都市生態学
 10.1.2 都市環境の劣化と都市生態系の機能
10.2 都市の生物多様性と景観生態
 10.2.1 政策レベル
 10.2.2 計画レベル
 10.2.3 事業レベル
 10.2.4 保護区としての民有緑地
10.3 鳥類を指標とした都市の景観生態
 10.3.1 景観生態の研究対象としての鳥類
 10.3.2 都市の鳥類にとってのパッチ・コリドー・マトリックス
 10.3.3 都市化に対する鳥類の適応
10.4 都市の水循環
 10.4.1 水循環の概況
 10.4.2 人工的水循環システムの限界
 10.4.3 水循環系の回復に向けた都市緑化
10.5 都市の生態系ネットワークと緑道網
 10.5.1 都市の生態系ネットワーク
 10.5.2 緑道網

第III部 地域社会への展開

第11章 景観のプランニングとデザイン(上原三知(11.1)廣瀬俊介(11.2)伊東啓太郎(11.3)須藤朋美(11.4))
11.1 生態学的プランニングと景観生態学
 11.1.1 景観を対象としたプランニングとデザインの課題
 11.1.2 McHarg の生態学的プランニング(EP)
 11.1.3 Forman らによる景観生態学(LE)の考え方とデザイン
11.2 環境形成技術としてのランドスケープデザイン
 11.2.1 土地利用と環境形成技術
 11.2.2 住民参加の意義
 11.2.3 地域課題とランドスケープデザイン
11.3 ランドスケープデザインの社会実装と実践
 11.3.1 実践上の課題
 11.3.2 水辺のデザインの実際 ―遠賀川魚道の事例
11.4 景観生態学に基づく設計手法と設計後の活用
 11.4.1 プロセスプランニングとMFLP
 11.4.2 直接的自然体験を提供する自然環境の再生
 11.4.3 設計後の活用と維持管理

第12章 景観管理と協働(鎌田磨人(12.1)望月翔太(12.2)鈴木重雄(12.3)日置佳之(12.4)朝波史香(12.5))
12.1 ボトムアップによる景観管理
 12.1.1 地域・社会の変化と里山景観の変化
 12.1.2 生態系・景観管理のための協働とガバナンス
12.2 野生動物の管理
 12.2.1 野生動物による被害の現状
 12.2.2 集落地図を用いた対策の立案
 12.2.3 野生動物被害の対策を切り口とした地域再生
 12.2.4 協働を促す中間支援
12.3 拡大する竹林とその管理
 12.3.1 里山における竹林の拡大
 12.3.2 所有者と住民の認識の相違
 12.3.3 地域協働による竹林整備
12.4 協働による自然再生
 12.4.1 協働が基本の自然再生
 12.4.2 自然再生の必須要素と協働によるその確保
12.5 ローカルガバナンスに基づく景観管理
 12.5.1 地域自治
 12.5.2 地域での景観管理活動事例
 12.5.3 ローカルガバナンスがうまく機能するために

第13章 景観生態学と地域づくり・地域再生(深町加津枝(13.1)河本大地(13.2)比嘉基紀(13.3)平吹喜彦(13.4)島田直明(13.5))
13.1 伝統の継承と活用・土地利用
 13.1.1 伝統的な土地利用の意義
 13.1.2 伝統的な土地利用の事例 ―琵琶湖西岸
 13.1.3 伝統の継承と活用に向けて
13.2 ジオパークと地域づくり
 13.2.1 ジオパークの定義・特徴と地域資源の捉え方
 13.2.2 地域づくりへの活用
13.3 地域の自然保護・保全とユネスコエコパーク(BR)
 13.3.1 自然保護地域における保存と保全
 13.3.2 ユネスコエコパークと世界自然遺産
 13.3.3  生物多様性の保全と豊かな人間生活とを両立させるための仕組み
13.4 大規模自然災害からの復興・地域づくり
 13.4.1 激甚災害が多発する現代
 13.4.2 景観生態学というプラットホーム
 13.4.3 景観生態学が支援する復興・地域づくり
13.5 海浜植生の再生と環境教育
 13.5.1 東日本大震災による海浜植生への影響と復興工事
 13.5.2 地元小中学校による再生授業
 13.5.3 環境教育による景観再生

第14章 自然環境政策と景観生態学(渡辺綱男(14.1)蔵本洋介(14.2)増澤 直(14.3)白川勝信(14.4))
14.1 環境政策としての景観管理
 14.1.1 自然環境政策の歴史的展開
 14.1.2 自然環境政策における景観管理
14.2 生物多様性国家戦略
 14.2.1 生物多様性国家戦略とは
 14.2.2 国土・空間の考え方
 14.2.3 生物多様性・生態系サービスの回復に向けて
14.2.4 国土空間保全とOECM
14.3 戦略的環境アセスメント(SEA)とミティゲーション
 14.3.1 戦略的環境アセスメントの意義
 14.3.2 重要性を増すミティゲーション
 14.3.3 戦略的環境アセスメントの導入に向けて
14.4 基礎自治体の生物多様性戦略
 14.4.1 戦略の位置づけと条例の整備
 14.4.2 生物多様性の側面
 14.4.3 社会実装の側面
 14.4.4 施策の展開

第15章 持続性と景観生態学(鎌田磨人(15.1,15.5)一ノ瀬友博(15.2)伊東啓太郎(15.3)伊勢 紀(15.4))
15.1 レジリエントな地域・社会
 15.1.1 「人新世」という時代
 15.1.2 レジリエンス ―適応と変革
 15.1.3 社会変革の道筋
15.2 グリーンインフラと生態系減災
 15.2.1 グリーンインフラ(GI)
 15.2.2 生態系減災(Eco-DRR)
15.3 持続可能な景観を目指した国外の事例
 15.3.1 フロリダ州ゲインズビル市の洪水・水質調整地に見る「適応」
 15.3.2 ノルウェーに見る人と自然の関わりの「変革」
15.4 ビッグデータと景観生態学
 15.4.1 人流データを用いた人の動きの定量化
 15.4.2 景観の変化を捉える
 15.4.3 誰もがモニタリングに参加できるデータ時代
15.5 景観生態学の展開
 15.5.1 持続性科学
 15.5.2 持続性科学としての景観生態学の展開

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