社会システムモデリング

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社会システムモデリング
著者 高橋 真吾 著後藤 裕介 著大堀 耕太郎 著
分野 情報・コンピュータ  > 人工知能
経済・経営  > 一般  > マーケティング
経済・経営  > 情報  > システム
発売日 2022/04/05
ISBN 9784320096516
体裁 A5・382頁
定価 5,500円 (本体5,000円 + 税10%)
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    内容
  • 目次
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ますます多様化し複雑化する社会の課題に対し、ITの進歩への期待が高まっている。しかし大量のデータの処理技術がいかに発達しても、それらはシステム的な観点からみれば要素技術にすぎない。複雑化した社会的課題に取り組むためには、全体的なシステム思考によって関係のダイナミズムを描くことが今後ますます求められる。その基礎スキルとして、社会システムのモデリングがある。

本書の主題は、そのような複雑性という特徴をもつ社会システムのモデリングと社会的課題にアプローチするためのエージェントベース社会シミュレーションの方法論である。解決したい社会的な課題の状況があったとき、モデルは何を表現し、シミュレーションではどのように分析をしたらよいのだろうか。これらに応えるには、社会システムのモデリングをモデルやシミュレーションの基本的概念から理解することが必要である。そこで本書では、システム科学の複雑適応システムの観点から関係性と全体性に着目したシステム思考とモデルの基礎的な理解にはじまり、最新の社会システムのモデリングと社会シミュレーションの方法とその適用事例まで、一貫して理解できるように工夫して執筆されている。社会システムのモデリングに関してこのように包括的にまとめられている類書は、本書のほかにはない。

本書は3部構成になっている。まず第Ⅰ部にて、社会システムとモデルに関する基礎概念について歴史的な背景や流れを踏まえて解説する。第Ⅱ部で社会シミュレーションの方法論について解説し、続いて第Ⅲ部にて、ミドルレンジモデルの分析とファクシミリモデルの分析を3事例ずつと、現場介入における固有の話題として、問題関与者から実行承認を得る方法を3事例紹介する。第Ⅱ部と第Ⅲ部を相互に参照することで、理解を深められる。

本書は、社会システムのモデリングと社会シミュレーションを基礎から習得したい方のみならず、社会シミュレーションに関心のある実務家にとっても非常に有用な1冊となっている。


主要目次

【第I部 社会システムのモデル】第1章 複雑適応システムとしての社会システム/第2章 モデルの考え方/第3章 機能的観点からのシステムモデル/第4章 エージェントベースモデル:社会システムの多元的モデリング 

【第II部 社会シミュレーションの方法論】第5章 ビジネス複雑性下での意思決定支援/第6章 社会シミュレーションのためのモデルの解像度/第7章 問題状況への介入とモデリング/第8章 シミュレーションの設定/第9章 シナリオ分析:不確実性の影響の分析

【第III部 社会シミュレーションの実際】第10章 ミドルレンジモデルの分析:異なるタイプのシナリオ分析を理解する/第11章 ファクシミリモデルの分析:実データを用いたモデリングとパラメータ値の設定方法を理解する/第12章 社会シミュレーションによる現場介入:問題関与者から実行承認を得る方法を理解する


著者略歴

・高橋真吾(タカハシシンゴ)
東京工業大学大学院総合理工学研究科システム科学専攻博士後期課程1989年修了、理学博士
現 職:早稲田大学理工学術院創造理工学部教授
専 門:システム科学、ソフトシステムアプローチ、社会シミュレーション

・後藤裕介(ゴトウユウスケ)
早稲田大学大学院理工学研究科経営システム工学専攻博士後期課程2010年修了、博士(工学)
現 職:芝浦工業大学システム理工学部准教授
専 門:システム科学、システム工学

大堀耕太郎(オオホリコウタロウ)
早稲田大学大学院創造理工学研究科経営システム工学専攻博士後期課程2011年修了、博士(工学)
現 職:富士通株式会社研究本部人工知能研究所プロジェクトディレクター
専 門:システム科学、社会システムデザイン

【第I部 社会システムのモデル】

第1章 複雑適応システムとしての社会システム
1.1 社会システムの考え方の変遷
1.2 社会システムの構成要素の類型化
1.3 社会・経済システムへの進化概念を用いたアプローチ
1.4 社会システムモデリングへの多元的アプローチ

第2章 モデルの考え方
2.1 原型とモデル
2.2 システム思考の基本
2.3 システム科学におけるモデル観:モデリング関係
2.4 同型性
2.5 数学的モデル観
2.6 モデルの一般的妥当性

第3章 機能的観点からのシステムモデル
3.1 基本的システムモデル
3.2 機能的システム観によるシステムモデルの変遷

第4章 エージェントベースモデル:社会システムの多元的モデリング
4.1 エージェントモデルの構成要素と構造
4.2 エージェントの多元性と多元的モデリング
4.3 エージェントによる多元性の表現:内部モデル
4.4 エージェントベース組織サイバネティクスの枠組み
4.5 エージェントベースモデリングとシミュレーションの分類
4.6 エージェントベースモデリングのための数理的システム理論の課題

【第II部 社会シミュレーションの方法論】

第5章 ビジネス複雑性下での意思決定支援
5.1 ビジネス複雑性
5.2 組織における不確実性
5.3 不確実性への意思決定支援
5.4 組織シミュレーション

第6章 社会シミュレーションのためのモデルの解像度
6.1 アブストラクトモデル
6.2 ミドルレンジモデル
6.3 ファクシミリモデル
6.4 解像度とモデリングフロー

第7章 問題状況への介入とモデリング
7.1 問題状況への介入のための方法論
7.2 関連システムの同定
7.3 モデル構成要素の同定と構造化
7.4 正当性,妥当性,実行承認性
7.5 共創的モデリングとしての参加型アプローチ

第8章 シミュレーションの設定
8.1 正当性,妥当性,実行承認性の評価
8.2 パラメータ値の設定
8.3 感度分析によるパラメータ調整
8.4 逆シミュレーションによるパラメータ推定
8.5 バーチャルグラウンディングによるパラメータ推定
8.6 ベイジアンネットワークによるパラメータ推定

第9章 シナリオ分析:不確実性の影響の分析
9.1 シナリオ分析とは
9.2 what-if分析
9.3 定型化事実による妥当性分析
9.4 不確実性分析
9.5 仮説シナリオ分析
9.6 問題関与者との対話への活用

【第III部 社会シミュレーションの実際】

第10章 ミドルレンジモデルの分析:異なるタイプのシナリオ分析を理解する
10.1 新製品・サービスの普及プロセスの分析
10.2 業績評価制度における従業員特性のもたらす影響の分析
10.3 エスカレーターの規範形成プロセスの分析

第11章 ファクシミリモデルの分析:実データを用いたモデリングとパラメータ値の設定方法を理解する
11.1 ハード・ソフト製品サポートセンターのナレッジマネジメント施策の分析
11.2 マウンテンバイク市場のユーザーイノベーション活用施策の分析
11.3 特定テーマパークの混雑緩和施策の分析

第12章 社会シミュレーションによる現場介入:問題関与者から実行承認を得る方法を理解する
12.1 シミュレーション結果の共有による実行承認
12.2 モデリングへの参加による実行承認
12.3 シミュレーションの体験による実行承認

参考文献
索 引

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