2次元超伝導
―表面界面と原子層を舞台として―
近年の目覚ましいテクノロジーの発展により、原子レベルの厚さと高い結晶性をあわせ持つ「理想的な」2次元超伝導体が、 さまざまな物質系で発見されている。そもそも2次元系で超伝導は起こるのだろうか? また起こるとしたら一般的なバルクの 超伝導体と比較してどのような特徴があるだろうか? 本書では、超伝導の基礎知識から出発して、2次元系における超伝導ゆらぎと相転移、さらには表面界面や原子層を舞台にした最先端の研究に至るまでを解説する。
本書は、量子力学と固体物理の基礎を履修した大学専門課程から大学院の学生に加え、超伝導にはこれまであまりなじみのなかった研究者も興味をもって読み進むことのできる内容になっている。
第2章 超伝導の基礎知識
2.1 超伝導の基本的性質とロンドン理論
2.2 BCS理論
2.3 GL理論
2.4 超伝導の破壊機構と臨界磁場
第3章 2次元超伝導のゆらぎと相転移
3.1 超伝導の次元性とゆらぎ
3.2 コスタリッツ・サウレス(KT)転移
3.3 超伝導-絶縁体(S-I)転移
第4章 表面界面・原子層における2次元超伝導
4.1 半導体表面上の金属原子層
4.2 銅酸化物超伝導体
4.3 鉄系超伝導体
4.4 LaAlO3/SrTiO3界面
4.5 電気2重層電界効果トランジスタ(FET)界面
4.6 グラフェン
第5章 2次元超伝導体の物理 ―最近の進展―
5.1 原子ステップ欠陥が及ぼす影響
5.2 磁場誘起S-I転移における異常
5.3 空間反転対称性の破れとスピン軌道相互作用
第6章 まとめと展望
付 録
A.1 単位系の変換表
A.2 2次元超伝導に関する実験手法
参考文献
索 引
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