五感を探るオノマトペ―「ふわふわ」と「もふもふ」の違いは数値化できる― 

書籍情報
シリーズ名共立スマートセレクション 【29】巻
ISBN978-4-320-00929-5
判型B6 
ページ数192ページ
発行年月2019年06月
本体価格1,800円
五感を探るオノマトペ 書影
五感を探るオノマトペ

 オノマトペとは,擬音語・擬態語の総称である。従来のオノマトペに関する書籍は言語学や心理学分野のものであり,関心はオノマトペという言語現象そのものであった。
 それに対して本書は,人の感性を定量化するためのメソッドとしてのオノマトペの強みと面白さ,言語学・認知科学・工学まで幅広い研究で活用される可能性を伝える。オノマトペ研究の第一人者である筆者のこれまでの研究をたどりながら,五感・感性・感情までオノマトペで表される豊かな情報を数値化する手法として,筆者が提案したシステムを紹介する。さらに,そのシステムを使った産業界(製造業,医療など)での応用例もいくつか挙げる。
 本書の対象としては,言語学や心理学だけでなく,人工知能など工学分野に関心をもつ学生や一般の読者に読んでいただきたい。さらに,消費者が製品から何をどのように感じているのか,どうしたら消費者の感性に効果的に訴求するものが作れるのか知りたい産業・マーケティングに関わる読者にも役立つ本になることを期待している。

目次

1 日常に欠かせないオノマトペ
1.1 どのような時に,どのようにオノマトペは使われるのか?
1.2 そもそもオノマトペとは何か?
1.3 擬音語と擬態語

2 さまざまな分野で研究されるオノマトペ
2.1 言語学におけるオノマトペ
  2.1.1 世界の言語に見られる音象徴的現象
  2.1.2 日本語に見られる音象徴性
  2.1.3 音象徴性について音声学的に考える
2.2 心理学におけるオノマトペ
2.3 脳科学におけるオノマトペ
2.4 マーケティング分野におけるオノマトペ
2.5 工学におけるオノマトペ

3 オノマトペの強み
3.1 負担のない感性の定量化方法
3.2 感覚を微細に表現できる

4 オノマトペの音に感覚が結びつくことを示す科学実験
4.1 味覚の世界
  4.1.1 食べたり飲んだりした時の感覚を伝えるオノマトペ
  4.1.2 オノマトペに使われる音は美味しさの感じ方と関係がある
  4.1.3 味覚の評価方法
  4.1.4 美味しい飲み物と美味しくない飲み物で実験
  4.1.5 味の微細な印象もオノマトペに表れる
4.2 触覚の世界
  4.2.1 手触りは感性に直結する
  4.2.2 手触りの快・不快がオノマトペに表れる
  4.2.3 触覚研究の難しさへのオノマトペによる挑戦
4.3 視覚の世界
  4.3.1 見た目の粘性を表すオノマトペ
  4.3.2 粘性がオノマトペの音に表れる

5 擬音語を数値化してみる
5.1 聴覚の世界
  5.1.1 人は聞こえた音を擬音語で表現する
  5.1.2 音質の評価方法
5.2 擬音語による音質評価
  5.2.1 効果音の音質評価実験
5.3 擬音語を数値化するシステム

6 あらゆるオノマトペを数値化するシステムへの拡張
6.1 視触覚的印象を表すオノマトペを数値化するシステムの作り方
6.2 味覚的印象を表すオノマトペを数値化するシステムも作ってみた
6.3 オノマトペ生成システム
6.4 オノマトペを数値化するシステムからわかる認知メカニズム
  6.4.1 音象徴性は生得的? 後天的?
  6.4.2 真正オノマトペと境界オノマトペ
  6.4.3 生得性と学習に支えられるオノマトペ能力

7 オノマトペを数値化するシステムの産業応用
7.1 模造金属を実金属に近づけるデザイン提案
  7.1.1 なぜオノマトペ?
  7.1.2 質感とは?
  7.1.3 実金属と模造金属から感じる質感
  7.1.4 実金属からはオノマトペが想起されやすかった
  7.1.5 非専門家は見た目から手触りを想起していた
  7.1.6 オノマトペを数値化するシステムでデザインの最適化
7.2 商品イメージを強調する色が提案できる
  7.2.1 色はオノマトペで表せない?
  7.2.2 色は質感を強調する
  7.2.3 オノマトペから色を提案するシステム
  7.2.4 オノマトペから色を提案するシステムの応用例
7.3 オノマトペで商品検索
  7.3.1 インターネットショッピングの課題
  7.3.2 質感を重視した商品検索を可能にする方法

8 オノマトペを数値化するシステムでもっと個人に寄り添う
8.1 患者の主観を尊重した医療への貢献
  8.1.1 オノマトペで医療面接支援
  8.1.2 痛みとは
  8.1.3 痛みを表す言語表現
  8.1.4 痛みを表す言語表現の評価の難しさ
  8.1.5 痛みを表すオノマトペを数値化する
  8.1.6 オノマトペと比喩の結びつきが重要
8.2 個人ごとに違う感性に寄り添うために
  8.2.1 ものの感じ方は個人によって異なる
  8.2.2 オノマトペによる個人差可視化システム

引用文献

おわりに 人工知能でも重要なオノマトペの大いなる可能性

オノマトペが描き出す,新しい人間像(コーディネーター 鈴木宏昭)

索引