常微分方程式は歴史が古く,基礎的ではあるが,分野や対象によっては現実的 な問題を解決するための手段としてきわめて有効に用いられている。なぜならば,基礎的な手法ほど状況の変化に対応することが容易であり,結果的に,広範囲な応用をもつ傾向が見られるからである。
本書は,高校から大学初年級までに学ぶ数学の「応用」であり,これまでに習得してきた知識を微分方程式を解くという目的に沿って,整理し直すことに力点を置いている。読み進めるうちに,「これまで何となくぼんやりしていたことが,ハッキリわかった」とか「わかったつもりでいたことが,実は,よくわかっていなかった」というたぐいの発見があるであろう。