ランダムウォークとくりこみ群―確率論から数理物理学へ― 

書籍情報
シリーズ名新しい解析学の流れ 
ISBN978-4-320-01733-7
判型A5 
ページ数372ページ
発行年月2004年08月
本体価格4,700円
ランダムウォークとくりこみ群 書影
ランダムウォークとくりこみ群

くりこみ群とは,精度のスケール変換に対する元の系の応答を適当なパラメータ空間上で記述した力学系であって,その固定点近傍の振る舞いが系の漸近的性質を定めるものを言う。理論物理学では無限自由度系の数学的構造をとらえるときの一つの鍵になる概念であるが,その数学的研究は入り口に近い段階にある。
本書では,くりこみ群の本質を損なわない範囲でもっとも簡単な対象と考えられる,path上の確率測度(確率連鎖)を題材とすることで,専門的な背景をできるだけ用いずに,かつ数学的正確さを損なわずにくりこみ群を説明している。
ランダムウォークとself-avoiding pathの数学の入門的解説を最初に置き,やや専門的と思われる証明などは補遺にまわすなど,初学者を意識した構成となっている。一方,基礎事項から本書の題材までを一冊で学べるように詳しい補遺を用意したので,専門的に研究したい場合にも参考になる。特に,指数型のタウバー型定理の紹介や統計力学との関係の解説は他の教科書では得がたい知識であろう。

目次

序章 「ぎざぎざ」からくりこみ群へ
第I部 Path空間上の確率測度
1章 Z上の有限長のpathの確率論
1.1 Pathの集合
1.2 Pathの集合の上の確立
1.3 変位の指数
1.4 中心極限定理
1.5 到達点を固定したときのpathの本数

2章 Z上の単純ランダムウォーク
2.1 単純ランダムウォーク
2.2 大数の法則
2.3 重複対数の法則

3章 Zn上の単純ランダムウォーク
3.1 ネットワーク上のランダムウォーク
3.2 Zn上の単純ランダムウォークの変位の指数
3.3 マルコフ性
3.4 電気抵抗回路網とランダムウォーク

4章 Zn上のself-avoiding path
4.1 Self-avoiding pathの本数
4.2 Zn上のself-avoiding pathの2乗平均変位の指数
4.3 自己相似性と指数

第II部 くりこみ群によるpath空間上の確率測度の解析
5章 Z上のpathのくりこみ群
5.1 Decimationからくりこみ群へ
5.2 くりこみ群の解析
5.3 くりこみ群から確率連鎖へ
5.4 一般化された重複対数の法則
5.5 変位の指数
5.6 確率連鎖の例

6章 Sierpiński gasket上のself-avoiding path
6.1 定義と主結果
6.2 くりこみ群
6.3 くりこみ群から漸近的性質へ

7章 Pre-d次元gasket上のランダムウォークと等方性の回復
7.1 Pre-Sierpinski gasket上の単純ランダムウォークのくりこみ群
7.2 電気抵抗回路とアインシュタイン関係式
7.3 フラクタルにおける等方性の回復

8章 書ききれなかったことについて

補遺
A 指数型のタウバー型定理
B 母関数の再帰式で定義された非負実数上の確率測度の弱収束
C くりこみ群が定める確率測度の列と確率連鎖との対応(定理5.11の証明)
D Pre-d次元gasket上のself-avoiding pathのくりこみ群解析
E Pre-d次元gasket上のself-avoiding pathの変位の指数
F 測度論と確率論の基礎事項から