• 教科書献本のご案内
  • ニュースメール
  • アフターサービス
  • facebook

天秤の魔術師アルキメデスの数学

書籍情報
ISBN978-4-320-01910-2
判型A5 
ページ数268ページ
発行年月2009年12月
本体価格3,300円
天秤の魔術師アルキメデスの数学 書影
天秤の魔術師アルキメデスの数学

 アルキメデスは古代世界で最も有名な数学者であり,技術者でもあった。しかしその数学の内容を説明することは,それほど容易ではない。そこで本書では,『方法』というそれほど大きくない著作を中心に展開し,アルキメデスの議論の背景や意図を徹底的に探求して解説することを目指した。この『方法』という著作は,理論的(あるいは仮想的)な天秤の使用によって驚くような結果を導き出す,非常に魅力的な技法を含む―本書のタイトルの「天秤の魔術師」がここから来ることは言うまでもない。しかも幾何学と機械学の二つの分野にまたがるアルキメデスの数学的活動をいわば要約する著作であり,アルキメデスの数学のかなりの部分を把握することができる。読者は,アルキメデスが問題解決の技法を発見し,それを利用し,さらに他の問題を解くために変形・発展させていく場面に立ち会える。『方法』を伝える唯一の写本の最新の解読成果も利用しつつ,数学史の書物では例を見ないほどに証明や議論の展開を丁寧に解説した本書は,数学教育の教材としても十分な意義をもつだろう。アルキメデスの数学の世界を堪能してほしい。

目次

第1章 アルキメデスとその著作
1.1 アルキメデスの2つの顔と著作『方法』
1.2 アルキメデスの時代と逸話
1.3 著作を伝える写本
1.4 甦ったC写本と『方法』
1.5 数学的予備知識:本書で使われる定理

第2章 回転放物体の切片(命題4, 5)
2.1 『方法』の構成と内容
2.2 回転放物体の切片の体積(命題4)
2.3 回転放物体の切片の重心位置(命題5)
2.4 回転放物体の重心位置に関する補足

第3章 球(回転楕円体)の体積と半球の重心(命題2, 3, 6)
3.1 球の体積(命題2)
3.2 回転楕円体の体積(命題3)
3.3 半球の重心位置(命題6)
3.4 半球の重心位置に関する補足

第4章 球の切片(命題7-10)
4.1 球の切片の体積(命題7)
4.2 回転楕円体の切片(命題8)
4.3 球の切片の重心位置(命題9)
4.4 回転楕円体の切片の重心位置(命題10)

第5章 残された立体:回転双曲体命題11の復元
5.1 回転双曲体の切片の体積
5.2 証明の復元(回転双曲体の切片の体積)
5.3 回転双曲体の切片の重心位置
5.4 証明の復元(回転双曲体の切片の重心位置)

第6章 放物線の切片の面積(命題1)
6.1 放物線の切片と『方法』の命題の順序
6.2 『方法』命題1:放物線の切片の面積
6.3 放物線の切片:同じ結果に3つの議論
6.4 『放物線の求積』(1):天秤を使った求積
6.5 『放物線の求積』(2):後半の幾何学的証明
6.6 アルキメデスの発見と証明:著作の執筆順序
6.7 新たな謎:『方法』の末尾とアルキメデスの意図

第7章 爪形の体積(命題12+13:天秤による求積)
7.1 命題の概要
7.2 アルキメデスの議論
7.3 見落とされた球との関連

第8章 爪形の2つの求積法(命題14, 15)
8.1 命題14の概要
8.2 アルキメデスの議論
8.3 命題14をどう評価するか
8.4 参考:命題15(二重帰謬法による爪形の求積)

第9章 交差円柱とアルキメデスの意図
9.1 残された図形:交差円柱
9.2 球・爪形・交差円柱の共通性

第10章 交差円柱:失われた証明
10.1 『方法』の羊皮紙の構成
10.2 方法の末尾部分の謎
10.3 残された可能性:爪形との比較
10.4 アルキメデスの意図をさぐる
10.5 浴場の丸屋根と交差円柱

第11章 補章
11.1 『平面のつり合いについて』と失われた著作
11.2 天秤を使った爪形の求積
11.3 アルキメデスの時代の円錐曲線とその回転体の名称
11.4 『方法』命題4:原文の全訳

参考文献