物理学における古典統計力学,量子統計力学,有限自由度の量子力学,量子場の理論等において,形式的な無限次元積分-"経路積分"あるいは"汎関数積分"と呼ばれる-が広く利用され,有用な道具して使用されている。しかしながら,物理学の本や文献では"汎関数積分"は頻繁に使われるが,非常に直感的・表面的・皮相的であり,数学的に厳密な取扱いはなされていないのが実情である。数理物理学との関連における"汎関数積分"の数学的理論を,数理物理を志す大学院生を主対象に"入門的専門書"としてまとめることを主題とし,より先端的な応用にもページを割いた。