考える道具としてのLisp入門

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書籍情報
ISBN978-4-320-02285-0
判型B5 
ページ数200ページ
発行年月1986年07月
本体価格2,800円
考える道具としてのLisp入門 書影
考える道具としてのLisp入門

(まえがきより抜粋)

 「人工知能」ということばがよく聞かれるようになった。では,世の中でいわれている人工知能とは何だろうか?コンピュータをよく知らないけれど,人工知能について理解したい,あるいはこれから人工知能のプログラムを書けるようになってみたい。そんな人にとって一番の早道は,人工知能によく用いられるプログラミング言語をまず学んでみることだろう。この本は第一に,そんな人が人工知能の最も基本的な言語であるLispを,楽しみながら学べるように書かれた学習書である。特に,パソコンでBASICが少し使える程度の人ならば十分理解できるように,また,載せてあるプログラムはすべてパソコン上で動くものにしてある。
 ただし,この本にはもうひとつの目的がある。それは,本の表題が示すように,Lispのプログラムを書くという作業が,私たちがものごとを「考えるための道具」になりうることを示すことである。たとえば,ふだん私たちは何気なく友達と話をしたり,本や雑誌の文章を読んだりしている。しかし,日常の会話が一体どんなメカニズムで行なわれているのかは,実は私たち自身はっきりわかっているわけではない。そこで,日常会話のできるようなLispプログラムを書こうとすることによって,日常会話のメカニズムをより深く理解してゆくことができるのである。 上にあげた2つの目的をまとめてみると,本書は,「考える道具としてのLisp」のプログラミングについて学ぶための本だということになる。
 この目的のために,本書では,Lispによる質問応答システムを解説することを目標にした。つまり,まず前半の第1章~7章でLispのプログラミングの基本的考え方について述べ,後半の第8~13章で,自然言語文章の意味解析,推論,文章生成を含む質問応答システムについて述べる。前半の部分では,例として,パーソナル・ユースのため情報検索システムのプログラムを合わせて解説してある。それに,エディタやプリティプリンタ,ファイルセーブなどのプログラミング・ツールをLispでどう書くかということも述べてある。また,後半の質問応答プログラムの多くの部分は,エール大学のSchankらによって開発されたシステムを参考にしている。
 上にも述べたように,本書に含まれているプログラムは,すべてパソコンレベルのLispで十分動かすことができる。一応ここでは,バソコンとしてAPPLE II ,LispシステムとしてAPPLE II 上で動くAPPLE-LISPを想定している。しかし,最近現われてきたいくつかのパソコンLispにも,比較的容易に書き直すことができる。
 本書は,Bit誌に1983年10月号~1984年10月号にわたって連載された文章をまとめたものである。
 最後にもう一度お断りしておくが,この本は,Lispのプログラミングの仕方を,綿密に1から10まで細かく解説したものではない。そうではなくて,「考える道具としてのLisp」の可能性をコンピュータに慣れていない方にわかっていただくために書かれたものである。この点を念頭に置いて,リラックスして読んでいただきたいと患う。

昭和61年6月 著者

目次

第1章 考えるための道具としてのコンピュータ

第2章 Lispの基本的な使い方

第3章 ソフトウェア・ツールズの使い方

第4章 Lispの基本関数

第5章 ASSOCを使った検索関数

第6章 パーソナル・ユースを目的とした情報検索システム

第7章 ソフトウェア・ツールズ(2)

第8章 PARSER MicroELI

第9章 PARSER JUMP

第10章 文脈の理解 SCRIPT APPLIER MicroSAM

第11章 QUESTION ANSWERER MicroQA

第12章 文章中の意図の推論 PLAN APPLIER MicroPAM

第13章 日本語 GENERATOR MicroJAG