基礎量子物理学

書籍情報
ISBN978-4-320-03086-2
判型A5 
ページ数220ページ
発行年月2000年10月
本体価格2,800円
基礎量子物理学 書影
基礎量子物理学

 量子論と相対論の出現によって,古典物理学の概念や法則の見方は決定的な変革と受けた。19世紀末頃,ミクロの領域まで観察領域が拡大するについて,人間の日常的な経験と矛盾するような現象が現れ,古典物理学の枠組みでは説明不能の事態が生じた。これを解決したのが,量子力学である。今日,半導体や超伝導体をはじめとする,多くの物質中の電子の振舞いは,量子力学によって解明される。量子力学の理解は,現在,物理を学ぶ学生にとって必須のものとなっている。
 量子力学をはじめて学ぼうとする人にとって,その量子力学の枠組みは馴染みにくいものである。本書では,古典物理学における光の性質の論争から前期量子論,量子力学の成立といった歴史的発展に即した構成によって,その概念と法則を分り易く解説する。量子力学の理解に不可欠なシュレーディンガー方程式の解法も丁寧に紹介する。次いで,物質科学の分野でもっとも重要な,原子や電子さらに固体中の電子状態が量子力学ではどのように記述されるかを詳細に述べている。また,量子力学のなかでも,相対論の結論を引用することがあるため,付録として,特殊相対性理論の主要部を解説する。

目次

1章 波動性と粒子性
1.1 量子論の起こり
1.2 黒体放射,プランクの量子仮説
1.3 光の粒子性
  1.3.1 光電効果
  1.3.2 コンプトン効果
1.4 物質波

2章 前期量子論
2.1 原子のスペクトル
2.2 モーズレーの法則
2.3 ラザフォード散乱
  2.3.1 原子核の大きさ
2.4 ボーアの原子模型
2.5 フランク・ヘルツの実験
2.6 ゾンマーフェルドの量子化規則

3章 量子力学の成立
3.1 ハイゼンベルグの不確定性原理
  3.1.1 前期量子論の問題点
  3.1.2 量子力学の建設
  3.1.3 波動性と粒子性の融和
  3.1.4 ハイゼンベルグの不確定性原理
  3.1.5 量子化状態
3.2 波束と粒子
  3.2.1 波の重ね合わせと波束
  3.2.2 波束の運動とシュレーディンガー方程式
  3.2.3 確率波としての波動関数

4章 量子力学の基本的な考え方
4.1 古典力学での系の記述
4.2 波動関数に対する要請
4.3 古典論との対応
4.4 固有値方程式
4.5 確率の流れの密度
4.6 固有関数の直交性

5章 シュレーディンガー方程式の解法
5.1 シュレーディンガー方程式のつくり方
5.2 自由粒子
5.3 階段型ポテンシャル
5.4 トンネル効果
5.5 井戸型ポテンシャル
  5.5.1 無限大井戸型ポテンシャル
  5.5.2 有限な井戸型ポテンシャル
5.6 調和振動子

6章 原子の電子構造
6.1 原子のシュレーディンガー方程式
6.2 水素原子の波動関数
  6.2.1 角度関数Φ(Φ)
  6.2.2 角度関数θ(θ)
  6.2.3 動径関数R(r)
6.3 原子内の電子状態
6.4 軌道角運動量
6.5 電子のスピンとスピン‐軌道相互作用

7章 多電子原子の電子配列
7.1 パウリの排他原理
7.2 多電子原子の電子状態
7.3 電子配置と原子のスペクトル
7.4 特性X線,発生と吸収

8章 分子の構造
8.1 分子構造一般論
8.2 分子軌道法
8.3 水素分子
8.4 σ結合とπ結合
8.5 混成軌道
8.6 分子の回転,振動
  8.6.1 2原子分子の回転
  8.6.2 2原子分子の振動

9章 固体中の電子:結晶格子とその相互作用
9.1 周期ポテンシャル内の電子
9.2 ブリルアン・ゾーン
9.3 結晶構造と3次元ブリルアン・ゾーン
  9.3.1 ウィグナー・ザイツセル
  9.3.2 並進ベクトル
  9.3.3 固体のエネルギーバンド

10章 固体中の電子:自由電子
10.1 フェルミ・エネルギー
10.2 エネルギー状態密度
10.3 電子の有効質量

付録A 特殊相対性理論
A.1 ガリレイ変換
A.2 エーテル仮説
A.3 マイケルソン・モーレーの実験
A.4 ローレンツ変換
A.5 特殊相対性理論
A.6 速度の変換則
A.7 長さ,時間,同時性
  A.7.1 ミンコフスキー空間
  A.7.2 ローレンツ収縮
  A.7.3 時間ののび
  A.7.4 同時性
A.8 相対性力学

付録B 周期律表
付録C 物理定数