走査プローブ顕微鏡―正しい実験とデータ解析のために必要なこと― 

書籍情報
シリーズ名実験物理科学シリーズ 【6】巻
ISBN978-4-320-03381-8
判型A5 
ページ数452ページ
発行年月2009年03月
本体価格9,000円
走査プローブ顕微鏡 書影
走査プローブ顕微鏡

様々な出身分野の学部上級生,大学院生,研究者,技術者が,プローブ顕微鏡を初めて取り扱う場合を出発点とし,かつ,プローブ顕微鏡ユーザの出身分野の多様性から,幅広い読者のニーズ,(1)機器制作を主目的とする,(2)既存の機器を利用して新しい試料の測定をしたい,(3)測定結果のデータ解析により,試料の特性を明らかにしたい,(4)より進んだ計測法や応用事例を知りたい,といった要求に応えるべく,内容を3編構成としている。
 基礎編「プローブ顕微鏡を使う前に」として,I部では,プローブ顕微鏡を支える基礎技術である,エレクトロニクス,信号測定・計測,振動の物理を扱う。II部では,プローブ顕微鏡の仕組みとその多種にわたる顕微鏡(STM, AFM, 各種SPMなど)の解説,実際の計測での主となるスペクトル計測の原理と,顕微鏡観察に必要となる各種の周辺技術を解説する。
 実践編「プローブ顕微鏡の使い方」では,プローブ顕微鏡を実際に扱うにあたっての重要な項目,探針の作製と評価,調べる試料をどのように作製するか,実際の計測にあたっての信号の検出,そしてのその信号のデータ解析法,さらに,データ解析にあたっての最新の理論シミュレーション法を扱う。
 発展編「よりレベルの高い使い方をするための先端技術」として,より効果的にプローブ顕微鏡の力を発揮するための,様々な試料や多種にわたる測定状況下での計測法を14章に分けて解説する。
 読者がその出身分野以外の内容も理解できるような丁寧な記述を本書の執筆者陣に心がけていただいた。

目次

基礎編 プローブ顕微鏡を使う前に
I.プローブ顕微鏡を使うために知っておきたいこと
第1章 回路を使うための基礎
1.1 制御の基礎
1.2 エレクトロニクス

第2章 信号を取り出すための基礎
2.1 信号測定の基礎
2.2 雑音の基礎
2.3 微小信号・ロックイン計測

第3章 振動を扱うための基礎
3.1 振動の運動方程式
3.2 カンチレバーにおける共振曲線

II.プローブ顕微鏡の基礎
第1章 プローブ顕微鏡の仕組み
1.1 プローブ顕微鏡の動作原理
1.2 探針(または試料)位置の制御
1.3 除振について

第2章 プローブ顕微鏡のファミリー
2.1 各種プローブで得られる情報と分解能
2.2 同じプローブでも―測定方法による違い―

第3章 スペクトル測定の原理と留意点
3.1 トンネル分光
 3.1.1 トンネル分光法
 3.1.2 非弾性トンネル分光法
 3.1.3 スピン計測
3.2 力の分光
 3.2.1 原子間相互作用
 3.3.2 分子間相互作用-動的力分光測定まで-

第4章 周辺技術
4.1 真空の作り方と測り方
4.2 温度可変観察
4.3 薬品を扱うために
4.4 その他の技術

実践編 プローブ顕微鏡の使い方
第1章 探針の作製と評価
1.1 はじめに
1.2 探針の種類
1.3 アーティファクト
1.4 探針先端の評価
1.5 カーボンナノチューブ探針

第2章 試料の作り方
2.1 金属酸化物試料の扱い
2.2 平坦な金属基板の作製
2.3 有機分子試料測定のために
2.4 自己組織化膜の作り方
2.5 バイオ試料の扱い

第3章 信号の取り方
3.1 測定に必要なパラメータ
3.2 測定条件と参照信号値の選択
3.3 変調測定:変調の種類と得られるデータ
3.4 外部同期を使うとできること

第4章 データ解析の方法
4.1 はじめに
4.2 SPMデータの歪み
4.3 雑音の低減
4.4 明るさ軸の調整
4.5 物理量を引き出すために
4.6 その他の解析手法

第5章 SPMの理論シミュレーション法とその応用
5.1 はじめに
5.2 STMシミュレーション法の原理
5.3 非接触AFMシミュレーション法の原理
5.4 液中AFM法の原理
5.5 タンパク質AFMシミュレーション
5.6 探針の設計と解析
5.7 おわりに

発展編 よりレベルの高い使い方をするための先端技術
第1章 溶液中の計測
1.1 電気化学STM
1.2 溶液環境におけるAFM計測

第2章 生体材料計測
2.1 生体材料のプローブ顕微鏡計測でわかること
2.2 AFM・高速測定

第3章 高分子の弾性計測
3.1 はじめに
3.2 ヘルツ接触
3.3 JKR接触
3.4 おわりに

第4章 デバイス特性評価への応用
4.1 はじめに
4.2 不純物分布の観察
4.3 半導体試料内の電位分布の観察
4.4 電流フローの観測
4.5 おわりに

第5章 化学反応を観る
5.1 はじめに
5.2 STMを用いた実験方
5.3 おわりに

第6章 相転移を観る
6.1 はじめに
6.2 低温測定
6.3 おわりに

第7章 スピンを測る
7.1 はじめに
7.2 SP-STMでスピンを見るための実験技術
7.3 交換相互作用力顕微鏡
7.4 おわりに

第8章 微細加工とSPM
8.1 はじめに
8.2 SPMによる加工法
8.3 SPM用カンチレバーに関連した加工法
8.4 おわりに

第9章 ステップインモード計測
9.1 はじめに
9.2 AFM計測の課題
9.3 動作原理
9.4 測定例
9.5 おわりに

第10章 非接触AFMの展開
10.1 はじめに
10.2 探針-試料間の相互作用の解析の試み
10.3 印加電圧に依存する相互作用力の考察
10.4 おわりに

第11章 光技術との融合
11.1 NSOMの展開
11.2 走査トンネル顕微鏡(STM)発光分光
11.3 光STM

第12章 走査型アトムプローブ
12.1 はじめに
12.2 原理と構造
12.3 分析例
12.4 他の分析器との比較
12.5 おわりに

第13章 マルチプローブ計測
13.1 はじめに
13.2 4探針STM装置の概要
13.3 4探針STMでの技術的課題
13.4 温度可変4探針STM装置
13.5 おわりに

第14章 原子・分子操作
14.1 はじめに
14.2 固体電解質探針と原子スイッチ
14.3 STM誘起連鎖重合反応
14.4 おわりに