本書は「炭素骨格形成/酸化・還元/官能基変換」を枠組みとする有機合成の中で,特に「酸化・還元」に焦点を置いて書かれている。合成的視点から「酸化・還元」を見直し,基本概念の修得から「コラム」を介して最前線の化学に触れることができるように配慮されている。反応には「電子の流れ図」を明示し,化学基礎の教育を受けた人が,もう一度復習できるようにもなっている。さらに,I部:酸化(佐藤一彦),II部:還元(北村雅人)のいずれにおいても,反応剤の種類で分類することによって,できる限り反応機構の統一化を図っている。本書を一読することによって,今ひとつよくわからなかった機構を「電子の流れ図」を介して理解を深めるとともに,有機合成に必要な酸化・還元の基本合成単位操作の修得に役立つ。