レーザーは1960年に発明され,化学のみならず広い分野で利用されている。例えば,植物の光合成では光励起後,高速のエネルギー移動,電子移動(酸化還元反応)が進行するがこの機構の解明必要であり,このためレーザーによる超高速の時間分解スペクトル測定の方法が有効である。分子の構造や反応の理解には分子振動を調べることが有効でありこれにはレーザーラマン散乱分光が利用されている。
光の励起,その後の過程では光化学とレーザーとで共通した部分がある。
そこで,本書では光の励起,その後の過程については有機分子を中心に紹介し,その後,「レーザー」を解説した。
また,レーザーの,他の光源にない特徴を有効利用し,「高強度のレーザーを利用した化学」が開かれてきた。それらは多光子吸収,高強度レーザーによるイオン化,クーロン爆発,多価イオン超高速水素原子移動,物質プロセッシング,反応制御,アト秒の化学である。これらの内容を最近のレーザー化学として,「最先端研究」で紹介するとともに,演習問題やコラムも充実している。
〔日本図書館協会選定図書〕