現在,リチウムイオン電池やニッケル水素電池あるいは乾電池や鉛蓄電池が,いろいろなところで使用されている。最近では,電気自動車用の電池や非常用電源用の電池なども研究が行われ,徐々に我々の社会に入り込んでいる。新幹線や最新鋭の飛行機にも搭載され,新しいエネルギー社会あるいは輸送システムの構築に貢献している。本書は,このように身近に存在し,我々の生活に欠かせない電池の化学について,歴史から分類,反応,活物質,および最新の情報までをまとめたものである。
本書では,電池の構造や特徴を可能な限り図を用いて解説した。また,電池の中で生じる現象はあくまでも化学反応であるので,この化学反応を用いてどのようにして電気を得ることができるのか,あるいは電気を用いてどのようにして化学反応を生じさせるのかについて述べた。また,電池の中にエネルギーを貯蔵するメカニズムや特性を向上させるためのキーとなっている現象に関しても説明した。
電池とは何か? 電池の中でどのような現象が生じているのか? どのような電池が我々の現実社会において使用されているのか? 電池に関するいろいろな疑問を解決できるように記述された本である。