ノーベル化学賞の受賞領域を見ても分かるように,現代化学の領域の広さに驚かれるでしょう。マテリアルサイエンスから分子生物学へと広がっているのです。特に顕著なのが化学の言葉で生物学,なかでも遺伝学を理解しようとする「ケミカルバイオロジー(化学生物学)」は,新しい学問分野として理解しておきたいものです。世界的に有名な大学におけては,従来の化学教室から化学・ケミカルバイオロジー教室と移行した状況が現在の化学の動向を如実に示しています。
本書ではケミカルバイオロジーの基礎となる事項を最先端の研究者によって分かりやすく紹介してあります。通読してみるには十分な内容を含むように企画してあります。前半部分は特に知っておきたい生物有機化学の内容,後半はケミカルバイオロジーの研究動向も含めての紹介が的確に記してあります。また,随所に最先端のトッピクスが若手研究者によって紹介されています。
本書の内容を興味を持って読んで頂き,ケミカルバイオロジー研究の理解を達成して頂くことを祈ります。