X線分光―放射光の基礎から時間分解計測まで― 

書籍情報
シリーズ名化学の要点シリーズ 【31】巻
ISBN978-4-320-04472-2
判型B6 
ページ数126ページ
発行年月2019年07月
本体価格1,900円
X線分光 書影
X線分光

 19世紀末にレントゲンによって初めてX線が発見されて以来,X線光源の進歩は目覚ましく,X線を用いた数々の重要な研究が行われてきた。X線光源の進歩は,加速器から放射されるシンクロトロン放射光発生技術の進歩と切っても切り離せない関係にあり,物質科学,生命科学などの研究分野において放射光は不可欠なツールとなっているとい言っても過言ではないだろう。本書は,物質科学におけるX線分光の基礎と応用について解説する。特に,X線分光の基礎的な事項からスタートし,その応用として時間分解モードでのX線分光計測法を重点的にカバーしている点に特徴がある。
 X線はそのエネルギー(波長)域に対応して,赤外,可視,紫外光を使って得られる情報とは相補的な情報を与える。したがって,これからの物質科学者は,計測に用いる光のエネルギー域を敢えて限定せず,赤外,可視,紫外から真空紫外,X線に至る広いエネルギー域での時間分解分光計測を相補的に行うことによって,対象とする物質から様々な有益な情報を引き出すことが可能になるだろう。本書が,その一助となれば幸いである。

目次

第1章 X線分光とは
1.1 X線と計測
1.2 X線の"扱いにくさ"の克服

第2章 シンクロトロン放射光と自由電子レーザー
2.1 シンクロトロン放射光
  2.1.1 光源加速器と蓄積リング
  2.1.2 挿入光源
  2.1.3 ビームライン
2.2 X線自由電子レーザー

第3章 X線吸収分光
3.1 光電子分光
  3.1.1 X線光電子分光
  3.1.2 角度分解光電子分光
3.2 X線吸収微細構造
  3.2.1 X線吸収微細構造とは
  3.2.2 X線吸収
  3.2.3 広域X線吸収微細構造の原理
  3.2.4 広域X線吸収微細構造スペクトルの解析
  3.2.5 X線吸収微細構造計測:透過と蛍光
  3.2.6 X線吸収端近傍構造による化学状態分析
3.3 総電子収量法
  3.3.1 総電子収量法とは
  3.3.2 X線磁気円二色性

第4章 X線散乱・回折
4.1 ヤングの干渉実験
4.2 X線散乱・回折の原理
  4.2.1 1個の自由電子による散乱
  4.2.2 1個の原子による散乱
  4.2.3 3次元結晶による回折
  4.2.4 消滅則

第5章 時間分解計測
5.1 さまざまな現象の時間スケールと適した光源の選択
5.2 時間分解計測とは
  5.2.1 いくつかの時間分解計測法
  5.2.2 放射光とパルスレーザーを組み合わせたポンプ-プローブ計測
5.3 時間分解計測の例
  5.3.1 X線吸収分光法の時間分解計測
  5.3.2 X線回折・散乱の時間分解計測
  5.3.3 軟X線吸収分光の時間分解計測
5.4 X線自由電子レーザーを利用する時間分解計測
  5.4.1 X線自由電子レーザーとパルスレーザーの同期
  5.4.2 X線自由電子レーザーを活用した時間分解計測

付録A 実空間格子と逆格子の関係
付録B ポンプ-プローブ法による時間分解計測の概略と時間分解能
付録C 時間分解XMCD-PEEM

あとがき
引用文献
記号一覧
索  引