人類紀自然学―地層に記録された人間と環境の歴史― 

書籍情報
ISBN978-4-320-04646-7
判型A5 
ページ数324ページ
発行年月2007年03月
本体価格3,800円
人類紀自然学 書影
人類紀自然学

 人類が地上に現れて以降,その人類が自身を取り巻く自然から受けた影響や,その自然に作用することによって自然自体を改変してきた歴史を明らかにして,そこから法則性を導き出し,将来の予測や対策に結び付けようという目的で研究されているのが「人類紀自然学」である.
 本書は,「人類紀自然学」の基本的基盤である「第四紀学」の関係分野の概要に加えて,いくつか実践的な研究手法やその結果などの事例を収録した.まず,第1章では時間軸である層序学の基本的事項を解説し,第2章は人類紀の長期的変化,とくに第四紀が別名「氷河時代」と呼ばれるような気候の周期的な変化の説明に費やした.将来予測は現在の数値に予想される数値を挿入すれば事足りるのではなく,ミランコビッチ・サイクルなど長期的な変化パターンがベースにあるということを認知していなくてはならない.第3章では短期的な変化サイクルとそれに重なる人類の作用をいくつかの例で解説する.中でも後期更新世のダンスガード・オシュガーサイクルなど急激な気候変化は今後人類の環境汚染結果のような急激な変化の予測に有益な資料を提供するものと思われる.最後の第4章は,まさに人類による環境へのインパクトと,生産活動が及ぼす人類自身の改変の様子を紹介する.最後に第5章では人類紀に特有な災害について,人類紀自然学的アプローチからの研究例を収録した.ことに,津波災害の周期性の予測などには地層から読み解く災害史が重要な資料となることを示した.〔日本図書館協会選定図書〕

目次

第1章 第四紀層序
1.1 年代層序
1.2 「第四紀」主要年代細区分
1.3 日本の第四系層序
1.4 ホモ属の系譜
1.5 古地磁気層序
1.6 火山灰層序
引用文献

第2章 第四紀の長期環境変遷
2.1 氷期・間氷期の繰り返しとミランコビッチ・サイクル
2.2 千年周期の気候変動とダンスガード・オシュガーサイクル
2.3 火山活動
引用文献

第3章 短周期変動
3.1 地磁気の短周期変動
3.2 過去の植物燃焼を示す堆積物中の微粒炭
3.3 最終間氷期以降の河成段丘堆積物の周期性と気候変化
3.4 植物珪酸体でみる微地形の変化
引用文献

第4章 人間活動による自然の変化
4.1 完新世の内湾貝形虫と環境変動―特に広義の人為汚染の影響―
4.2 人類紀自然学分野における珪藻研究
4.3 第四紀堆積物中の重金属元素濃度の変化と人為汚染の歴史
4.4 考古遺跡にみる地層形成と土地改変
4.5 球状炭化粒子による化石燃料燃焼史
4.6 人工微粒子分布(都市化と道路粉塵)
4.7 人工地質
4.8 人類自身の生産活動による身体改変
引用文献

第5章 災害
5.1 地すべり
5.2 液状化
5.3 地層から巨大地震と津波災害史を読む
引用文献

あとがき
索引