新ミトコンドリア学

書籍情報
ISBN978-4-320-05581-0
判型B5 
ページ数452ページ
発行年月2001年11月
価格12,430円(税込)
新ミトコンドリア学 書影
新ミトコンドリア学

細胞を構成するさまざまな分子の特性はその生物機能と密接に関係しているが,両者を共役させて解析することがミトコンドリア研究ではとくに重要である。ミトコンドリアの機能解析法の多くは1970年代までにほぼ確立されており,それらは現在でも現役で活躍している。しかし,その後の約30年間に分子生物学的研究が大きく発展し,ミトコンドリアの構造と機能に関する詳細な知見とその分子生物学的解析法が飛躍的に進化してきた。残念ながら,この間の進歩や研究法に関する体系化された書籍がなく,多くの研究者が新しく体系化されたミトコンドリア学に関する本の出版を熱望していた。
このような背景をもとに,近年のミトコンドリア研究の知的財産を現在の研究と未来への発展に伝承することをめざし,ミトコンドリア学の新たなパラダイムを開く鍵となり,生命科学における発掘作業や医療の発展に大きく寄与する1冊となるよう,新たな観点から本書は企画された。細胞とミトコンドリアの命運を支配する重要な新知見や各種のエネルギー代謝疾患を左右するメカニズムを中心に,第一線で活躍している研究者により体系的に執筆されている。また,第7章にはミトコンドリアの機能解析に有用な実験法プロトコールが収録されている。

目次

第1章 ミトコンドリアの構造と機能
1.1 ミトコンドリアの膜構造と組成 (寺田 弘)
1.2 電子伝達とエネルギー転換系 (金森 崇・太田成男)             
1.3 エネルギー転換系と分子モーター (宗行英朗・吉田賢右)          
1.4 シトクロムオキシターゼの機能と構造 (水島恒裕・月原冨武)        
1.5 ミトコンドリア膜タンパク質のアセンブリー (三原勝芳)           
1.6 ミトコンドリアマトリックスタンパク質の輸送 (森 正敬・寺田和豊)     
1.7 ミトコンドリアとポーリン (篠原康雄・寺田 弘)              
1.8 ミトコンドリアとヘム・鉄代謝 (竹谷 茂・古山和道・藤田博美)     
1.9 ミトコンドリアとステロイド代謝 (岡本光弘・堀家なな緒)         
1.10 ミトコンドリアの細胞内移動機構と神経細胞傷害 (阿部康二)
1.11 ミトコンドリア溶質輸送担体 (山崎尚志・篠原康雄・寺田 弘)

第2章 ミトコンドリアの分子生物学
2.1 ミトコンドリア核の特性 (佐々木成江・黒岩常祥)    
2.2 ミトコンドリアの遺伝子構造とその特徴 (宝来 聰)      
2.3 ミトコンドリアDNAの複製と変異 (康 東天)         
2.4 ミトコンドリアのバイオジェネシス (姫田敏樹・樋口富彦)         
2.5 ミトコンドリアRNAとタンパク質の合成 (太田成男)          
2.6 核とミトコンドリアゲノムの種特異的相互作用 (山岡万希子・磯部0ことよ・林 純一) 
2.7 ミトコンドリアからみた日本人の起源 (宝来 聰)

第3章 ミトコンドリアの細胞生物学
3.1 高等動物のミトコンドリア特性 (篠原康雄・寺田 弘)
3.2 寄生虫のミトコンドリア特性 (北 潔)                
3.3 粘菌のミトコンドリア特性 (河野重行)                 
3.4 酵母ミトコンドリアの特性と形態制御 (若林 隆)            
3.5 ミトコンドリアのATPaseインヒビターと遺伝子変異 (橋本忠雄)    
3.6 ρ0細胞の細胞特性 (米田 誠)         
3.7 サイブリッドの細胞生物学 (米田 誠)      
3.8 ミトコンドリアの相互作用と物質交換 (伊藤清香・磯部ことよ・林 純一) 
3.9 ミトコンドリアの相互作用と融合 (遠藤仁司)        
3.10 生殖細胞形成におけるミトコンドリアの役割 (樫川真樹・小林 悟)  
3.11 有性生殖とミトコンドリア (河野重行)            
3.12 胎生期の発生分化とミトコンドリア (長尾恭光)        
3.13 周産期の組織ミトコンドリア特性 (佐藤英介・吉岡 保・内海耕慥・井上正康)  
3.14 褐色脂肪細胞のミトコンドリア―脱共役タンパク質の発現と脂肪代謝の亢進 (篠原康雅・梶本和昭・山崎尚志・寺田 弘)

第4章 ミトコンドリアと抗酸化防御系
4.1 ミトコンドリアの活性酸素代謝と抗酸化防御系 (佐藤英介・井上正康)    
4.2 ミトコンドリアの抗酸化酵素 (藤井順逸)            
4.3 ミトコンドリアのリン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキターゼ (中川靖一)
4.4 Cu,Z‐スーパーオキシドジスムターゼの細胞内超微局在 (吉良幸美・井上正康)   
4.5 ミトコンドリアとグルタチオン代謝 (井原義人・近藤宇史)         
4.6 ミトコンドリアと脂質過酸化反応 (小暮健太朗・寺田 弘)          
4.7 カルニチン輸送病態と脂質代謝障害 (佐伯武頼・小林圭子)    
4.8 カルチニンとミトコンドリア機能障害 (菅野智子・有田佳代・内海俊彦・井上正康・内海耕慥) 
4.9 全身麻酔薬とミトコンドリア (土屋正彦・浅田 章・井上正康)

第5章 ミトコンドリアと細胞傷害
5.1 活性酸素によるミトコンドリアDNAの変異発生 (田中雅嗣)  
5.2 ミトコンドリア依存性アポトーシスと膜電位 (菅野智子・石坂瑠美・内海耕慥) 
5.3 放射線障害における細胞内ミトコンドリアの役割 (馬嶋秀行・山口千鶴・柿沼志津子・本告成淳・平井 太・山口洋子・富田和男・小澤俊彦) 
5.4 Bcl-2ファミリータンパク質によるアポトーシス時のミトコンドリア制御 (清水重臣・辻本賀英)
5.5 C.elegansのミトコンドリア障害と老化 (石井直明)  
5.6 抗癌剤の副作用とミトコンドリア障害 (西川 学・井上正康)  
5.7 パラコート毒性とミトコンドリア障害 (平井圭一・島田ひろき)  
5.8 環境物質とミトコンドリア代謝 (吉塚光明)

第6章 ミトコンドリア関連病態
6.1 ミトコンドリア病の病態特性と臨床診断 (後藤雄一) 
6.2 ミトコンドリア脳筋症とDNA変異 (太田成男)   
6.3 ミトコンドリア電子伝達系の分子異常 (埜中征哉・井出口 博・後藤雄一)  
6.4 ATP合成酵素と病態 (新垣尚捷・樋口富彦)              
6.5 糖尿病とミトコンドリア病態 (岡 芳知)           
6.6 パーキンソン病とミトコンドリア障害 (池邊紳一郎・水野美邦)       
6.7 ミトコンドリア特性と長寿者 (田中雅嗣)            
6.8 ミトコンドリア病の遺伝子治療 (田中 雅嗣)           
6.9 ミトコンドリア病の治療 (後藤 雄一)

第7章 ミトコンドリア研究法
7.1 ラット肝ミトコンドリア分離法 (竹原良記)           
7.2 ラット脳ミトコンドリアの分離法 (前田好正・樋口富彦)          
7.3 ラットとマウスの心筋ミトコンドリア分離法 (樋口 富彦)     
7.4 ラット肝マイトプラスト,亜ミトコンドリア粒子,および巨大マイトプラストの調製法 (樋口富彦)
7.5 ρ0細胞の作製法 (米田 誠)
7.6 サイブリッドの作製法と大量培養法 (安川武宏・太田成男)
7.7 ミトコンドリアDNAの分離法 (平安一成)           
7.8 ミトコンドリアDNAA酸化産物の検出法 (川西正祐・井上純子)            
7.9 ミトコンドリアの活性酸素産生測定法 (竹重公一郎・甲斐陽一郎)
7.10 細胞内および単離ミトコンドリアの膜電位測定 (小渕浩嗣)
7.11 ミトコンドリアの膨潤とMPTの解析法 (菅野智子・石坂瑠美・内海耕慥)      
7.12 電位依存性アニオンチャンネルの解析法 (清水重臣・辻本賀英)      
7.13 細胞質へのシトクロムc遊離の測定 (石坂瑠美)   
7.14 細胞質タンパク質のミトコンドリア膜結合解析法 (吉良幸美・井上正康) 
7.15 ミトコンドリアタンパク輸送の解析法 (寺田和豊)
7.16 マイトトラッカーと抗体による細胞内ミトコンドリアの解析 (吉良幸美・井上正康)
7.17 シグナルぺプチド含有GFPによる細胞内ミトコンドリア解析法 (矢野正人・森 正敬) 
7.18 蛍光タンパク質ベクターによる細胞内ミトコンドリア観察法 (末永みどり・大脇浩幸・新垣尚捷・樋口富彦)
7.19 ミトコンドリアのエネルギー転換研究に用いられる阻害剤一覧 (内海耕慥)