ゼロからわかる生態学―環境・進化・持続可能性の科学― 

書籍情報
ISBN978-4-320-05619-0
判型A5 
ページ数252ページ
発行年月2004年09月
本体価格2,200円
ゼロからわかる生態学 書影
ゼロからわかる生態学

 本書は,生態学に興味があるが,本格的に学んだことのない読者を想定し,私なりに理解した生態学を解説したものである。M。 ベゴンほかの教科書に準拠し,その中で基本的なこと,最低限知っておいてほしいことに絞って説明した。本書には,数学,化学式,生物名などがいくつか出てくる。高校生に理解できるように工夫した。高校で学ぶ範囲を超える内容については,欄を別に設けて本書を読めば理解できるように説明し,その部分を飛ばして読んでも読み進められるように配慮した。また,インターネットを使う読者に便利なように,多彩な関連資料をそろえたサイトを用意した。
 本書で学ぶ生態学とは,以下の3つの問いから始まる。また,本書の随所に問を設けている。これらの問いに正確に答えることができれば,生態学の本質を理解し,生態学の考え方を学ぶという,所期の目的を読者が果たしたと言えるだろう。生態学で学ぶべき知識は多いが,そのすべてを記憶し続ける必要はない。たいせつなのは考え方である。本書を読み進めるにあたり,常に,これらの問いに立ち返り,自ら考えていただきたい。
  問0.1 なぜ,高山から深海まで,地球上いたるところに生物がいるのか?
  問0.2 自然淘汰によって進化したはずの生物が,なぜ個性豊かなのか?
  問0.3 人類は自然と「共生」しているのか?

目次

第0章 本書の狙いと問題提起
0.1 多様性,成長の限界,進化,そして「共生」を理解する
0.2 問題提起
0.3 補足

第1章 生物が生きるための環境
1.1 生物が必要とする環境条件
1.2 エネルギーの流れと物質循環
1.3 地球環境の長期変動
1.4 個体,個体群,群集の定義
1.5 利用する資源と生活形
1.6 生物相
1.7 種内競争
1.8 補足

第2章 成長の限界と個体群変動(個体群生態学)
2.1 適応度と個体間相互作用
2.2 マルサス増殖と密度効果
2.3 密度効果の判定方法
2.4 齢構造とサイズ構造
2.5 生存曲線と世代時間
2.6 生存曲線と平均寿命
2.7 サイズ構造モデル
2.8 密度効果とカオス
2.9 変動環境下の動態
2.10 補足

第3章 種間相互作用と群集
3.1 ニッチ(生態的地位)
3.2 種間競争
3.3 競争する2種の共存の仕組み
3.4 空間構造と2種共存
3.5 捕食と寄生
3.6 機能的反応
3.7 限界値定理と最適な餌場滞在時間
3.8 理想自由分布
3.9 消費型競争と「見かけの競争」
3.10 行動変化を通じた相利関係
3.11 左右非対称性
3.12 捕食者の共存
3.13 共生と相利
3.14 補足

第4章 群集
4.1 群集の種多様度
4.2 群集の種数と面積の関係,環境諸要因との関係
4.3 群集の多様度,食物網,複雑さ
4.4 群集の多様性と安定性
4.5 種多様性の維持機構
4.6 間接効果
4.7 補足

第5章 適応進化
5.1 最適採餌行動
5.2 被食回避行動
5.3 最適な卵の大きさ
5.4 親子間コンフリクト
5.5 同型配偶と異型配偶
5.6 性差の起源と性淘汰
5.7 性比の理論
5.8 雌雄同体と性転換
5.9 移動と分散
5.10 一回繁殖と多回繁殖
5.11 縄張り争いと儀式化
5.12 有性生殖
5.13 補足

第6章 人間と生態系
6.1 人類の環境への負荷
6.2 人間がもたらした大量絶滅
6.3 個体群管理とその限界
6.4 自然保護の根拠
6.5 管理・保全計画の作り方
6.6 生物多様性保全の指針
6.7 補足

第7章 問題解答例

おわりに
索引