生態リスク学入門―予防的順応的管理― 

書籍情報
ISBN978-4-320-05667-1
判型A5 
ページ数228ページ
発行年月2008年03月
本体価格2,800円
生態リスク学入門 書影
生態リスク学入門

“環境問題”は不確実であり,人は他の野生生物と同様に常に死の危険を背負っている。そこでは“絶対安全”は不可能だ。「リスクの科学」は,潜在的な危険性を合理的に対処する方法を研究する新しい科学である。ただし―危険性が実証される前に対策をとり,避けるべき事態の重大さを比べる価値判断を含むなど―従来の自然科学にない問題をはらんでいる。それは社会の意思決定のための判断材料を提供する。

目次

chapter1 リスクに備える 予防原則
1.1. 不確実性の時代
1.2. 二つの誤り
1.3. リスクコミュニケーション
1.4. 生態系サービスの価値
1.5. リスクトレードオフと環境正義

chapter2 リスクを飲む 飲料水の健康リスク
2.1. 閾値の有るモデルと閾値の無いモデル
2.2. 水道水による原虫の感染リスク
2.3. 塩素殺菌によるトリハロメタンの発ガンリスク
2.4. 原虫リスクと発癌リスクを比較する

chapter3 リスクを食らう 魚の水銀含有量
3.1. 魚の水銀含有量
3.2. 『注意事項』からリスクの自主管理を考える
3.3. 高リスク群のリスク評価

chapter4 リスクを冒す 水産資源管理とリスク評価
4.1. 最大持続漁獲量(MSY)理論
4.2. 漁獲可能量(TAC)制度
4.3. 水産資源の順応的リスク管理
4.4. 生物学的許容漁獲量決定規則のリスク管理
4.5. マイワシとマサバの乱獲問題
4.6. サンマの国際管理

chapter5 リスクに染まる 化学物質の生態リスク評価
5.1. 化学物質の環境基準の考え方
5.2. 亜鉛の生態リスク評価
5.3. 大量の化学物質の環境リスクを評価する
5.4. 化学物質の野生生物への生態リスクを評価する

chapter6 リスクを避ける 外来魚とバラスト水
6.1. 外来生物問題
6.2. 海域におけるバラスト水問題
6.3. 外来種侵入対策の費用対効果
6.4. 侵入経路を絶て
6.5. 外来生物の繁殖を妨げよ

chapter7 リスクを払う マングース防除計画
7.1. 不妊雄による外来種根絶
7.2. 外来種の防除
7.3. 外来種の空間分布の推定
7.4. 確率論的リスクとリスクの段階分け

chapter8 リスクを示す 絶滅危惧植物の判定基準
8.1. IUCNのレッドリスト掲載基準
8.2. 環境省植物レッドリスト
8.3. 絶滅リスク評価の見直し

chapter9 リスクを嫌う トドの絶滅リスク
9.1. 生物多様性条約と持続可能な資源利用
9.2. ミナミマグロの絶滅リスク
9.3. トドの絶滅リスク
9.4. 野生生物保護におけるリスク管理の重要性

chapter10 リスクを操る ダムと生態系管理
10.1. 知床世界遺産登録と「ダム」問題
10.2. ダムのリスク管理とは
10.3. 洪水の生態系サービスへの貢献
10.4. 減ってしまった野生生物の絶滅リスク
10.5. 堰堤建設で重視されるべきこと

chapter11 リスクを凌ぐ 魚の最適漁獲年齢
11.1. 成長乱獲を防ぐ
11.2. 加入乱獲を防ぐ
11.3. リスクは比較できるか?

chapter12 リスクを比べる 風力発電と鳥衝突リスク
12.1. いずれなくなる化石燃料
12.2. 風力発電の開発目標と発電費用
12.3. 風力発電の好適な立地
12.4. 人工建造物による鳥の事故死リスク
12.5. 風力発電の鳥衝突リスク評価
12.6. 鳥衝突の順応的リスク管理モデル

chapter13 リスクを御する エゾシカの保護管理計画
13.1. ニホンジカの大発生
13.2. 北海道エゾシカ保護管理計画
13.3. 北海道エゾシカ保護管理計画の個体数推定法

chapter14 リスクを容れる ヒグマの保護管理計画
14.1. クマは絶滅危惧種か?
14.2. 人への避け方から二種類のクマを考える
14.3. ウェンカムイを数える
14.4. 捕獲数から個体数を推量する
14.5. ウェンカムイを管理する

chapter15 リスクに学ぶ 新たな自然観へ
15.1. リスクをめぐる諸問題
15.2. 生態リスク管理の基本手続き
15.3. 国際捕鯨委員会

引用文献
演習問題回答案
索引