入門構造生物学―放射光X線と中性子で最新の生命現象を読み解く― 

書籍情報
ISBN978-4-320-05704-3
判型B5 
ページ数240ページ
発行年月2010年04月
本体価格3,800円
入門構造生物学 書影
入門構造生物学

生物学の基本原理を理解する上で,構造生物学は必要不可欠である。どのような形をした生体機能分子がどのように働いて生命現象を担っているかは,現在まさに構造生物学による研究が進行中である。本書では,第一線の専門家による最新の構造生物学の研究成果を解説する。生物学は非常に幅広い学問分野であるが,本書の第1章と第4章で,遺伝情報の維持,転写,翻訳,そして生合成されたタンパク質がどのように細胞内で働くか,といった主要な部分について重点的に解説する。特に第4章は,構造生物学の専門家がその切り口で生命現象の最新の解説をしているという点で貴重でかつ興味深い内容である。第2章では,生体分子の形を計測する手法について解説する。第4章で述べた最新の知見は,ここで解説された様々な手法と細胞生物学的研究成果から得られたものであり,その中でも最も重要な放射光X線結晶構造解析は,KEKで実際にその測定装置の開発を行った専門家によって第3章に執筆された。第2章,第3章で扱う最新の構造解析の測定手法や装置の実際の詳細はまとまった成書が無く,ぜひ多くの読者に目を通して頂きたい。

目次

巻頭言

第1章 はじめに-構造生物学の夜明け
1.1 種と遺伝子とDNA
1.2 WatsonとCrickによるDNA構造解析
1.3 初めてのタンパク質の構造解析
1.4 遺伝子操作技術との出会い
1.5 現在のタンパク質結晶構造解析

第2章 生物を構成する分子の立体構造(形)を決定する手法
2.1 X線結晶構造解析-X線で分子の形を見る
2.2 中性子結晶構造解析
2.3 X線溶液散乱
2.4 その他の手法

第3章 タンパク質結晶構造解析の放射光ビームライン
3.1 高輝度X線源としての放射光-どうやって明るいX線が発生するのか
3.2 構造生物学研究のための放射光ビームライン
3.3 放射光ビームラインの過去,現在,未来
3.4 ビームラインの自動化技術-効率的な実験環境を目指して

第4章 生命現象の理解に迫る構造生物学研究
4.1 遺伝子の修復-DNA損傷とDNA修復機構
4.2 転写
4.3 翻訳
4.4 分子シャペロンとタンパク質のフォールディング
4.5 糖鎖修飾と細胞内輸送
4.6 生体分子モーター
4.7 酵素反応
4.8 発生と分化

第5章 高次生命現象-これからの構造生物学のターゲット
イントロダクション
5.1 匂いに対する情動や行動を先天的に制御する神経回路の発見-構造生物学と行動生物学の遠くて近い関係
5.2 脊椎動物網膜視細胞のシナプス形成機構
5.3 メンフクロウの音源定位における神経ネットワーク-細胞"構造" の合目的性
5.4 眠りの調節機構-睡眠覚醒調節の分子機構
5.5 メタボロームで体内時刻を測る-血中物質の"花時計"

文献
索引