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進化生態学入門―数式で見る生物進化― 

書籍情報
ISBN978-4-320-05723-4
判型A5 
ページ数208ページ
発行年月2012年10月
本体価格2,500円
進化生態学入門 書影
進化生態学入門

 生物の世界は感動的であると同時に謎に満ちている。その謎に切り込むにはいろいろなアプローチがある。本書はその中でも,「理論生態学」に基づいた進化へのアプローチを紹介している。それは数式を使って生物の性質の解明に取り組んでゆく分野である。生物のことを考えるのになぜ数式なのか,と違和感をもつ読者もおられるかもしれない。ご存知のように物理学の分野では,基本的な理論が数式で表現されることで様々な現象の理解が進展してきた。それは数式が,現象に作用する力学やそのメカニズムを明確にする上で有効なツールであるからにほかならない。それと同様に生物学においても,数式を用いることで基本的な因果関係や過程に作用する力学をより明確に理解することができるのである。
 本書では,そうした数式を用いて生物の適応進化に作用する基本メカニズムを解明するアプローチを紹介する。その内容は,現実の生物の進化への言及は必要最低限で,しかも少なくない数式を伴うものとなる。生物の進化を扱うというイメージからは,ギャップを感じる読者もいるかもしれない。しかし,それらの数式は生物の適応を考える上での強力なツールであり,それを駆使することで生物の進化にはたらく一般的な法則性を明らかにすることができるのである。この本を通じて,読者諸氏に適応進化を理解する上での理論の力と有効性をかいま見てもらいたい。そして同時に,進化研究の奥深さを知ってもらうことが本書の目的である。

目次

序 章 生物学と進化学
  現代科学の枠組み
  「なぜ」と進化
  生物の共通祖先から続く「遺伝子の川」
  進化研究における理論の役割と本書の目的

第1章 進化に関する基礎知識
1.1 遺伝情報の実体
1.2 遺伝情報と進化

第2章 自然淘汰に基づく適応戦略の進化
2.1 自然選択と適応度
2.2 数理モデルの前提とその役割
2.3 基本となる2つの定式

第3章 適応度の最大化に基づく進化モデル
3.1 単純な最適化
3.2 最適化モデルの拡張1:変動環境への適応
3.3 最適化モデルの拡張2:動的最適化
3.4 最適化モデルの拡張3:表現型可塑性

第4章 ゲーム理論とその展開
4.1 ゲーム理論の基礎
4.2 ゲーム理論の発展
4.3 適応ダイナミクス

第5章 血縁関係と利他行動の進化
5.1 血縁淘汰理論
5.2 プライス方程式

第6章 性淘汰と配偶者選択の理論
6.1 ダーウィンからフィッシャーへ
6.2 ランナウェイ・メカニズム
6.3 インジケーター・メカニズム
6.4 ランナウェイと同所的種分化

第7章 有性生殖の進化
7.1 有性生殖の特性
7.2 有性生殖の有利さ
7.3 有望な仮説はどれか?

付録A 一年生植物の最適成長スケジュール
付録B 血縁淘汰と群淘汰の相同性

おわりに
参考文献
索引

コラム1 集団遺伝学の3賢人とその弟子たち
コラム2 ジョン・メイナード-スミス
コラム3 ウィリアム・ハミルトン
コラム4 ジョージ・プライス