前頭葉のしくみ―からだ・心・社会をつなぐネットワーク― 

書籍情報
シリーズ名ブレインサイエンス・レクチャー 【8】巻
ISBN978-4-320-05798-2
判型A5 
ページ数272ページ
発売日2019年10月31日
本体価格3,600円
前頭葉のしくみ 書影
前頭葉のしくみ

新刊

脳は多様なリズムが共存しながら,多くのネットワークでさまざまな部分が結び合わされている。前頭葉は一つの統合されたものというより,多数のネットワークが時空間的に複雑に連携したものとして考えることができ,脳が他の体の部分に比べとんでもなく大きなエネルギーを使う組織であることもうなずける。このような脳の新しいとらえ方に基づいて前頭葉のはたらきを解説したのが本書である。前頭葉は,身体,注意,外界の認知,自己や社会の認知,情動などたくさんの役割を担っている。本書では,人の心の動き,精神活動についてこの多様な前頭葉のはたらきという点から解説を試み,人の心のあり方を俯瞰する。

・多様なリズムではたらく前頭葉は指揮者のいないオーケストラ?
・「事物を考える」のと「人物を考える」のは前頭葉の違う場所?
・前頭葉では身体とのコミュニケーションが情動として構成される?
・多様で動的な環境とのやり取りが前頭葉のはたらきを進化させた?

目次

第1章 はじめに―振動する脳のネットワーク
1.1 平衡状態から離れた系としての振動
1.2 皮質の構造
1.3 アルファ波と大脳皮質―視床回路による注意機構
1.4 ベータ波とガンマ波と大脳皮質における予測符号化
1.5 シータ波とモニタリング―複数情報の保持や比較による行動調節
1.6 デルタ波とスローオシレーションによる脳回路の状態調節
1.7 安静時のインフラスローオシレーションと脳の主要なネットワーク

第2章 前頭運動関連領野―身体性認知機能
2.1 手の運動にはなぜ多数の運動野があるのか
2.2 一次運動野―随意運動による時空間パターン生成
2.3 腹側運動前野―座標変換とアフォーダンス
2.4 背側運動前野―ルールによる感覚運動変換と分散型コンセンサス
2.5 補足運動野と前補足運動野―行動の時間・順序制御と更新
2.6 帯状皮質運動野―アウトカムによる行動の維持と切替え
2.7 前頭葉運動系と社会性―ミラーニューロンとシミュレーション

第3章 前頭前野後部―外界の注意対象の探索と維持
3.1 注意の時空間調節―プライオリティと振動によるフィルター
3.2 前頭眼野―背側注意ネットワークと目の動き
3.3 補足眼野および前帯状皮質―モニタリングと行動調整
3.4 腹側前頭前野後部―腹側注意ネットワーク

第4章 外側前頭前野―目標設定し企画する執行機能
4.1 前頭前野と執行機能
4.2 背外側前頭前野―ゴール生成とルールに基づいた行動調節
4.3 腹外側前頭前野―多感覚からのオブジェクト概念操作と自己統制
4.4 前頭前野前方部―メタ認知またはマルチタスクの柔軟な切替え

第5章 内側前頭前野と頭頂連合野―行為者としてのモニタリングとメンタライズ
5.1 内側系と外側系―内的モニタリングと外界モニタリング
5.2 内側前頭前野―行動戦略,モニタリングそしてメンタライズ
5.3 海馬と連携によるスキーマ構築と二重トレース説
5.4 頭頂葉内側部(楔前部)とのシーン構築とシミュレーション
5.5 側頭―頭頂接合部による視点変換と側頭部による意味理解

第6章 眼窩前頭前野と帯状皮質―内感覚とソマティックマーカーによる情動機能
6.1 情動の捉え方
6.2 眼窩前頭前野―主観的価値の形成と自己を巡る価値の記憶
6.3 前部または中部帯状皮質―内感覚と情動表出と自律反応
6.4 島皮質―内感覚と情動からセイリエンス

第7章 基底核,扁桃体,小脳と前頭葉―手続き的学習と認知的柔軟性
7.1 誤差から学ぶ脳のしくみ
7.2 前頭葉と基底核のアウトカムによる強化学習
7.3 前頭葉と扁桃体による脅威,恐怖からの学習
7.4 前頭葉と小脳による適応学習
7.5 海馬の認知的ナビゲーションによる脳内情報空間の探索

第8章 前頭葉を巡る動的ネットワーク―脳内,脳-身体,そして脳と社会
8.1 前頭葉ネットワークの柔軟な脳内連携と活動リズム
8.2 個体としての前頭葉―自己と他者のネットワーク