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森のつくられかた―移りゆく人間と自然のハイブリッド― 

書籍情報
シリーズ名森林科学シリーズ 全13巻 【2】巻
ISBN978-4-320-05818-7
判型A5 
ページ数252ページ
発売日2021年02月10日
価格3,630円(税込)
森のつくられかた 書影
森のつくられかた

新刊

森林と人間の関わりは深く,森林は人間による改変を最も受け続けた自然といえる。産業革命以来影響力を強めてきた人間による自然の征服と改変は,グレート・アクセラレーションと呼ばれる1950年代以降,地球全体にまで及ぶようになった。そして,それはグローバルな気候変動をはじめとする地球のさまざまな「変調」へとつながり,人間の生存自体を脅かしている。この現実にどのように向き合い,自然との関係を,今後どのように結んでいけばよいのだろうか。森と人間の密接な関わりは,このような問いを考える際に格好の事例だといえる。以上をふまえ,本書では,自然と人間の「ハイブリッド(混成物)」-すなわち自然のみでなく,人間によってもつくられる自然と人工の混成物-として森林をとらえてみる。そして,あるハイブリッドがつくられ,変容し,ときに崩壊していくプロセス自体をみつめることによって,人間によってつくられてきた森の「レシピ」を再考してみたい。

人間による「森のつくられかた」をある程度網羅的に論じていくという本書の試みは,少なくとも日本においては非常にユニークなものである。本書を読むことで,未来に向けた森林の見取り図がどうあるべきか,森林と人間の関係をどのように(再)構築していけばよいのか,着想する一助になれば幸いである。

目次

第1章 森のつくられかた:ハイブリッドとしての森林(生方史数)
はじめに
1.1 本書のねらい
1.2 自然の社会的構成とその批判
  1.2.1 自然と人間の二元論
  1.2.2 自然の「本質」と社会的な構成
  1.2.3 社会構成主義への批判とハイブリッド
1.3 本書の枠組みと構成
  1.3.1 ハイブリッドの生成と変容
  1.3.2 本書各章の構成

第2章 森を認識する:森林とは何か?(生方史数)
はじめに
2.1 森林とは何か?
  2.1.1 写真はどこで撮られたか
  2.1.2 「森」と「森林」のあいだ
2.2 森林の定義にみる2つの基準
  2.2.1 日本の森林法における定義
  2.2.2 定義のグローバル化と2つの基準
2.3 認識の実体化と矛盾
  2.3.1 定義における「ゆらぎ」と「ずれ」
  2.3.2 「ゆらぎ」と「ずれ」の実体化
  2.3.3 実体化とその矛盾:3つの例
おわりに

第3章 森の彼方を見る:近代化以前の山村を見るまなざし(葉山アツコ)
はじめに
3.1 国家がリードする価値観形成
3.2 近世の奥山紀行に見る山村の暮らし,山村へのまなざし
3.3 明治末期の山地空間へのまなざし
おわりに
コラム1 森とつながる文化(小林 知)

第4章 森を区切り,所有する:ラオスと日本における「領域化」(百村帝彦)
はじめに:境界にあるプレート
4.1 ラオスにおける領域化
  4.1.1 ラオス概要
  4.1.2 森林関連法令による全国レベルの森林区分の確定とその領域化
  4.1.3 土地森林分配事業による村落レベルの土地森林区分の確定と領域化
  4.1.4 経済・社会のグローバル化による土地・森林の経済的価値の変容
  4.1.5 REDDプラスによる森林の領域化
  4.1.6 ラオスにおける森林の領域化と今後
4.2 不完全な領域化:日本における所有者不明土地問題
  4.2.1 日本における森林の所有者不明問題
  4.2.2 所有者不明土地問題の「課題」:入会林と割地制度
  4.2.3 日本における森林所有者「不明」の実態とズレ
おわりに:ラオスと日本における領域化とその課題

第5章 森に科学を導入する:科学的林業・森林管理とその現地化(生方史数)
はじめに
5.1 科学的林業の起源とその普及
5.2 東南アジアにおける熱帯林業の成立と蹉跌
  5.2.1 林野の所有制度とコンセッション・システム
  5.2.2 天然更新技術
  5.2.3 造林技術
5.3 自然・社会・制度・技術のリンク
  5.3.1 東南アジアの森林管理におけるリンク
  5.3.2 国家と在来社会の関係性
おわりに:森林に科学・技術を導入するための基盤

第6章 森を開発する:マレーシア・サバ州における森林開発とその後の森のゆくえ(内藤大輔,生方史数)
はじめに
6.1 マレーシア・サバ州における森林開発の歴史
  6.1.1 サバ州の社会と木材産業
  6.1.2 森林開発の担い手と制度
6.2 森林転用の担い手と制度
  6.2.1 カントリー・リース
  6.2.2 アブラヤシ栽培への転用
6.3 開発後の土地利用と残された森林
  6.3.1 森林転用後の農地管理
  6.3.2 ポスト木材ブーム期における残された森林の管理
おわりに:開発で変わりゆくもの,変わらないもの

第7章 森に環境価値を付与する:グローバルな環境主義が変える森林のあり方(生方史数,内藤大輔)
はじめに
7.1 まなざしの変化
  7.1.1 日本人の森林認識から
  7.1.2 拡張された便益認知
7.2 まなざしの変化とその影響
  7.2.1 日本の里山
  7.2.2 インドネシアの泥炭湿地
  7.2.3 まなざしの担い手と実体化
7.3 まなざしの実体化がもたらすもの
おわりに

第8章 森を「資本」にする:経済的アプローチと森林保全(生方史数,百村帝彦)
はじめに
8.1 グローバルな森林環境問題への対処と経済的アプローチ
  8.1.1 グローバルな森林環境問題と森林保全制度・手法
  8.1.2 経済的アプローチ
8.2 自然の「資本化」とその基盤整備
  8.2.1 ベトナムのPFESにおける基盤整備
  8.2.2 REDDプラスにおける基盤整備
おわりに
コラム2 森と里山の価値が失われる:原発事故と森林(満田夏花)

第9章 森のよりよい共創に向けて(生方史数)
はじめに
9.1 森がつくられるプロセス
  9.1.1 認識と社会化
  9.1.2 制度化
  9.1.3 働きかけと相互作用
9.2 ハイブリッドの変容と零れ落ちたもの
  9.2.1 空間・価値・管理手法の再編成
  9.2.2 零れ落ちたもの
  9.2.3 相互作用の重要性
9.3 森の「つくりなおし」に向けて
  9.3.1 目標の転換
  9.3.2 森の共創へ
おわりに:人新世の時代における森林

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